東日本大震災から2日後に始めた全社在宅勤務の今 ── ゾーホージャパン株式会社

東日本大震災から2日後に始めた全社在宅勤務の今 ── ゾーホージャパン株式会社

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2011年に迫 洋一郎さんが代表取締役に就任後、「理念経営(企業理念を中心に置いた経営)」を始めたゾーホージャパン株式会社

前回はそんな同社の「理念経営」についてお届けしました。
理念経営開始後には様々な働き方を取り入れており、テレワークの取り組みもおこなっています。先日もテレワーク国民運動プロジェクト「テレワーク・デイ」に参加するなど、働き方改革推進に向けて積極的に活動しています。
同社がテレワークの前身として導入した在宅勤務のキッカケは2011年に起きた東日本大震災でした。現在はどのような使われ方をしているのか、また今後はどのような働き方を取り入れていきたいのかお話を伺いました。

第1回
「私を信じて一緒に行動を起こせない人は、自ら会社を辞めて下さい」ピンチをチャンスに変えたゾーホージャパン
第2回
東日本大震災から2日後に始めた全社在宅勤務の今 ── ゾーホージャパン株式会社
第3回
妊娠中に子ども3人を育てるママが仕事を続けられる理由 ── ゾーホージャパン株式会社

迫 洋一郎(さこ よういちろう)

ゾーホージャパン株式会社 代表取締役社長 日本鋼管株式会社(NKK・現JFEホールディングス株式会社)で主にエレクトロニクス事業に従事。新規事業の立ち上げ、事業再生、事業撤退を推進。その後、米国で設立されたZOHO Corporationの日本法人立ち上げに参画。2001年ゾーホージャパン株式会社を設立。2011年に代表取締役に就任。

震災をキッカケにおこなった全社テレワーク

ゾーホージャパンは「テレワーク・デイ」に参加するなど、積極的にテレワークを取り入れていますが、テレワークを始めたのはどのようなキッカケがあったからなのでしょうか?

迫 洋一郎(以下、迫):テレワークの原型となる在宅勤務を始めたのは、私が就任して翌月に起こった東日本大震災がキッカケでした。
現在は「スーパーフレックス(※)」、オフィス以外の場所で仕事をしてもいい制度があるのですが、当時は外で仕事はもちろん、在宅勤務も許可されていませんでした。就任した直後で、しかも経営方針を変え、実施していた矢先の出来事で、すごくピンチだと感じた反面、チャンスでもあると思いました。

(※)スーパーフレックスとは…業務の時間、場所の自由度が高い働き方
(参照元:主なゾーホージャパン社内制度/取り組み一覧

なんというタイミング…!そんなすぐにテレワークってできるものなんですか?

迫:やればできるんですよね。震災発生から2~3日で全社員が在宅勤務できるような環境を整えましたね。

我々はソフトウェアを売っているのですが、震災が起こる前はソフトをCDに焼いて、必要な書類をコピーして、パッキングして、宅急便で送っていました。
ところがテレワークではそれができないので、webサイトにソフトを置いてダウンロードしてもらいキーを発行して利用して頂く形式に変えたんです。紙だった注文書も全てPDF化しました。出荷担当はお客さんの対応を誰がどこまでやっているのか見える化するために、簡単なデータベースをつくって。
100%完璧なものをつくって動かしたわけではなく、8割くらいでやってみようと始めました。そして、動かしながら改善していったんです。

家にいてもソフトを届けることができるし、クライアントにソフトの使い方が分からないと言われればメールで対応できる、だから自宅でも作業ができる。みんな自宅で最低3週間は在宅勤務をおこないました。長い人は田舎に帰って2ヵ月在宅勤務をしてましたよ。

一度は止めたテレワークをもう一度始めた理由

迫:しかし、震災のときは緊急で対応しただけなので、震災が落ち着いた後はオフィス出勤に戻しました。理念ができあがってから、正式に「スーパーフレックス」制度を導入したんです。

一度オフィス勤務に戻されているんですね。

迫:私自身、テレワークできる環境が必要だとずっと思っていました。ただ、当時は意識改革の真っ最中で、理念もできあがっていなかった。意識改革が未完成のまま、新しい働き方や制度を導入しても浸透しない、「急にそんな働き方を取り入れても仕事に支障が出ます」と反対の意見が出ると思ったんです。私が代表に就任する前の過去10年間、みんな日本独自の働き方をずっとしてきていましたから。なので、意識改革が進んで、理念が浸透してきたタイミングを見て、導入しました。

なぜ、テレワークできる環境が必要だと感じたのでしょうか?

迫:人生には「出産・育児」と「介護」の2つの山があると言われています。その山を社員が迎えても、会社を辞めないためには、柔軟な時間・場所で働けることが非常に重要だと感じたんです。
10年後、20年後、30年後も良い会社として成長していきたいと考えたときに、今いる社員がずっと残り続けて、一緒に良い仕事をしてくれるような会社にしたい、そのために柔軟に働ける制度がないとダメだと思いました。

「育児」「介護」が理由でテレワークを利用されている方が多いんですか?

迫:もちろん、育児をしていて、お子さんが急に熱を出したから病院に連れて行ってそのまま自宅勤務する人や、出産前に実家に帰って仕事をされている人もいます。さらに、実家が米農家で、田んぼの手伝いをしなければならない時期は実家に帰って、昼は稲刈り、夕方から仕事をする人もいますね。
あと、営業の人だと1日に2社営業に行かなければならないとき、1つ目の営業が終わったら喫茶店や、コワーキングスペース、会社で借りている貸し会議室に行って作業しています。
効果的な仕事ができれば、仕事の仕方は問わないとしているんです。

私自身も、親の介護をしているので、時々利用してます。あとはサテライトオフィスが静岡にあるので、出張に行ったときにはサテライトオフィスで作業することもあります。

みなさん、様々な用途でテレワークを利用しているんですね。

迫:震災時点から社員は2倍強に増えてますけど、テレワーク(スーパーフレックス制度)を利用している人は多いですね。今年入社した新入社員もすでに「体調悪いので今日は自宅勤務で」「私用ができたので時短で帰ります」と言う人もいますよ(笑)

皆さんが利用しているから、使いやすいんでしょうね!

迫:自分がズルをするためにテレワークをするわけではないですからね。
自分を成長させる効果のある働き方をするための訓練だと思っています。先輩社員を見ていると、そういう働き方をしていても質の高いアウトプットを出しています。これは効果性の高い働き方として大きいですね。

様々な人に向き合って経営していきたい

それでは最後に、今後どのような働き方をしていきたい、変化させていきたいと考えていますか?

迫:社会的に良いことをしていきたいですし、社会的弱者に向き合って経営していきたいです。
当社には育児や介護をしている人、シングルマザー、障害や難病を抱えている人がいます。みんなそれぞれ事情を抱えながら働いている。そういう事情を抱えている人が働く上で、モチベーション高く働ける仕組みをつくる、あるいは改善してあげたいと思っています。

ついこの前も2歳のお子さんがいる、シングルマザーの社員にインド出張へ行ってもらいました。1年前にも出張に行ってもらって、そのときは1週間ご両親に面倒を見てもらっていたのですが、今回はもう少し長い期間出張に行ってもらわないといけなくて。
そしたら、その人から「子どもを出張に連れて行ってもいいですか?」と要望がありました。

おお!子連れ出張ですか。

迫:そうなんです。その場で「わかりました!何とかしてみましょう」と返事をして、インド本社の役員に「子どもも一緒に行かせたいので、本社で面倒をみてくれないか?」とメールを送ったら「OK!」と返事がきたので、お子さんを連れてインドへ出張に行ってもらいました。

インドではゲストハウスが用意され、出張中はそこで生活ができます。昼間、お母さん社員はインドのメンバーと仕事をし、子どもはインド本社の社員の子どもがよく利用している保育園が会社の近くにあるので通わせてもらえるようにしてくれたんです。
子どもを保育園に預けて仕事をして、保育園が終わると迎えに行き、その後は会社の中で子どもを遊ばせながら働いてました。
子どもが一緒の出張でもすごく気持ちよく迎えてくれて、インドの子どもたちと関わることでお子さんの成長にも繋がりました。

今回はそんな彼女からの要望で子連れ出張が実現されましたが、一度実現してしまえば今後同じことがあっても働けるようになり、結果として働き方の幅が広がるんです。
利他という視点を大切にして、小さいことでも一つひとつ、社員の働いている環境・生活している環境の中で、「もっとこうしていくとよくなる」を吸い上げて変えていきたいと思います。

今後も社員の声を一つひとつ吸い上げて、実現させていくんですね。貴重なお話ありがとうございました。

まとめ

終始、穏やかな雰囲気で進んでいった今回の取材。
そんな雰囲気からは想像もできないくらい、迫さんの発する言葉から「会社を良くしていきたい」という強い想いが伝わってきました。会社の危機的状況から経営方針を大幅に変え、社員一人ひとりと向き合い、ピンチをチャンスに変えた行動力にも驚かされます。

大切な社員が働き続けられる環境があれば、10年後、50年後、100年後も「良い会社」として繁栄し続けられる。そしてそれを体現していっているゾーホージャパンに魅了されました。

そんな同社で働く3児(さらに1児妊娠中)のママワーカーを発見!実家がある宮崎でテレワークをしています。「育児」と「仕事」をどのように両立しているのか、リモート取材でお話を伺いました。

▼今回お話を伺った会社
ゾーホージャパン株式会社

第1回
「私を信じて一緒に行動を起こせない人は、自ら会社を辞めて下さい」ピンチをチャンスに変えたゾーホージャパン
第2回
東日本大震災から2日後に始めた全社在宅勤務の今 ── ゾーホージャパン株式会社
第3回
妊娠中に子ども3人を育てるママが仕事を続けられる理由 ── ゾーホージャパン株式会社
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