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「私を信じて一緒に行動を起こせない人は、自ら会社を辞めて下さい」ピンチをチャンスに変えたゾーホージャパン

「私を信じて一緒に行動を起こせない人は、自ら会社を辞めて下さい」ピンチをチャンスに変えたゾーホージャパン

「私を信じて一緒に行動を起こせない人は、自ら会社を辞めて下さい」ピンチをチャンスに変えたゾーホージャパン

「人の役に立ち、人と喜びを分かちあう」 を企業理念に営業管理や業務管理などのITツールを製品としているゾーホージャパン株式会社

2011年に迫 洋一郎さんが代表取締役に就任後、「理念経営(企業理念を中心に置いた経営)」を始めており、2017年度「日本における働きがいのある会社」従業員25 - 99人部門第25位、第7回「日本で一番大切にしたい会社大賞」では審査委員会特別賞を受賞しています。

ゾーホージャパン株式会社 受賞トロフィー

設立から迫さんが代表取締役に就任するまでの10年間、「理念経営」をおこなっていなかった同社がなぜ経営方針を変えたのか。またどのように「理念経営」を進めていったのか、お話を伺いました。

迫 洋一郎(さこ よういちろう)

ゾーホージャパン株式会社 代表取締役社長 日本鋼管株式会社(NKK・現JFEホールディングス株式会社)で主にエレクトロニクス事業に従事。新規事業の立ち上げ、事業再生、事業撤退を推進。その後、米国で設立されたZOHO Corporationの日本法人立ち上げに参画。2001年ゾーホージャパン株式会社を設立。2011年に代表取締役に就任。

会社の危機的状況から始まった理念経営

企業理念「人の役に立ち、人と喜びを分かちあう」を実現するため、「社員に対する価値創造」を一つの使命とされていますが、なぜこのような使命をつくったのでしょうか?

ゾーホージャパンの使命
当社は、「人の役に立ち、人と喜びを分かちあう」ため、社会、お客様、関連会社、協力会社、および社員に対し、次の価値を創造します。


「社会に対する価値創造」
当社は、社会の顕在的なニーズはもちろん、潜在的なニーズに対しても解決策を提供します。

「お客様に対する価値創造」
当社は、世界的な視野を持って、優れた製品やサービスを提供し、お客様の事業の生産性の向上、継続性の維持を支援します。

「関連会社、協力会社に対する価値創造」
当社は、関連会社、協力会社の事業推進に貢献し、ともに発展していきます。

「社員に対する価値創造」
当社は、一人ひとりでは実現できないことも協力して成し遂げることにより、社員が生きがいや働きがいを感じることができる職場を創ります。

迫 洋一郎(以下、迫):当社が掲げる理念を実現するためには、社会、お客様、パートナー様、社員への価値創造が必須で、特に社員が幸福でない限り、理念の実現は難しいと考えて、社員への価値創造を最も重要視しています

この理念は、2011年に私が代表取締役に就任したときにつくりました。当時は本業における業績が危機的状況にあり、一般の中小企業であれば会社が潰れていたと思います。ただ、インドにある親会社が支援してくれていたので何とか持ちこたえていました。
そんな中、社員はというと「個人」として見たときはみんな素敵な人ばかりなのですが、「集団」として見たときに仕事や人に対して悪口を言う人もいて、ネガティブ思考だったり他責にしたりなど諦めムードが蔓延していました。

このままでは危機的状況から抜け出すことができず、社員の成長にも影響が出てしまう、と考え「理念経営」を始めました。

急に「理念経営」をすると社員の皆さんも戸惑うと思うのですが、どのように伝えていったのでしょう?

迫:私が代表取締役に就任したとき、社員を全員集めて、会社の状況について説明をしました。
それと同時に、「みんなが1つの船に乗っていたとして、万が一その船が浸水してきた場合どうしますか?」という話をしました。もし船が浸水してきたら、水が漏れてきている場所を手で押さえる人、浸水してきた水を汲みだす人、早く岸につくように船を漕ぐ人、みんな一生懸命になって助かろうとするはずです。
でも、今のみんなは会社という同じ船に乗っていて、その船が危機的状況にある中で悪口を言っている人がいたり、本気になっていない人がいる。それはもうやめましょう、と。私が代表に就任した今日からがスタートラインです。私はこの会社を危機的状況から絶対に救い上げる、私を信じて共に仕事をしてくれる人は残ってください。信じられない人は申し訳ないけど、会社を自ら辞めてください、と話ました
結果、誰一人辞めずに私を信じてくれて今も一緒に働いてくれています。

すごい…!迫さんの想いが皆さんに伝わったんですね。

ピンチを味方に回してつくった、企業理念

就任以降、具体的にどのような方法で理念をつくっていったのでしょうか?

迫:理念って簡単にできないんですよね。なので、まずは「意識改革」から始めようと思いました。
「“Speedy”に、“Positive”に、“Active”に行動しよう」略して「SPA」という方針を打ち出し、同時に「SPA」表彰制度も打ち出しました

SPAが実践できている人を表彰する「SPA賞」、仕事で成果を最もあげた人を表彰する「MVP賞」、また、会社の雰囲気を変えるために挨拶が大切だと思い、挨拶が素敵な人を表彰する「さわやか賞」もつくりました。
各賞に相応しいと思った人を社員が投票して票の多かった人に賞を贈るのですが、投票の際に「なぜその人がその賞なのか」と理由も添えて投票してもらいます。表彰式で賞を贈る際には、その理由も一緒に贈ってあげるんです。

賞をもらえるだけじゃなく、理由が添えられているのはすごくうれしいですよね!

迫:生の声を伝えてあげると、その人自身も嬉しいですが、周りの人も「あの人すごい!」「こんな素敵な人がいるんだ」と思います。人のいい部分を見たり知ったりすることで会社の雰囲気も少しずつよくなっていくんですよね。

そうやって意識改革をおこないながら、私を含めたボードメンバーと中途採用、新卒採用のメンバーを集めた10人で、2011年の5月から12月までの8ヵ月かけて企業理念をつくりました。

新卒メンバーも加わってつくったんですね。

迫:ゾーホージャパンを10年後、30年後、100年後まで素晴らしい会社として成長させ続ける、発展させ続けるためには、その想いを持った人に残ってもらわないといけない。いつまでも当社に残り、主体性を発揮して良い会社をつくり続けてくれる可能性を秘めた人たちと一緒に企業理念をつくりました。

最初は各自が本を買ってきて、企業理念について勉強を始めました。そこから1人1社、日本・海外問わず、理念経営をしている会社を調べて発表会をしました。
オリエンタルランドやスターバックスなど色んな会社を出し合って、理念経営とはどんなものか、理念経営の良さは何かを理解していきました。

まずは理念経営の基礎の部分を学ばれたんですね。

迫:今まで理念経営をしてきていなかったので、基礎を学ぶのは非常に重要だと思いました。
理念経営について学んだあと、会社の現状を認識しようと、ゾーホージャパンは社員からどう思われてるの?お客様からは?パートナー様からは?あるいは社会からは?と、自分の会社がどう思われているのか、みんなでブレストしました。
そこで出た意見を見て「うちの会社はこう思われてるんだ」と現状を認識していき、現状を把握したら、今度は10年、20年、30年、50年、100年後にどんな会社にしたいんだっけ?なっていてほしいんだっけ?とブレストしました。
社員、お客様、パートナー様、社会、それぞれの視点からどんな会社になってほしいのか。うちの会社はこんな会社になりたいねと共通認識を持ってから、理念をつくっていったんです。

一つひとつ丁寧に理念をつくっていったから、8ヵ月かかったんですか?

迫:それもありましたし、企業理念をつくるための時間も限られていました。
当社は3つの事業があり、当時稼ぎ頭だった事業が、通信事業者さんにソフトウェアの提供をおこなってる事業でした。しかし、3.11東日本大震災が起こったことで通信事業者さんの局舎が全て津波で流されてしまったんです。通信会社さんからの入金が一気になくなってしまい、2010年度と比較すると2011年度の4月から11月までは各月で売上が40%ダウンしました。

儲かっていた事業に頼ることができなかったため、営業時間中は新しい事業の立ち上げをみんなで一生懸命していました。だから理念は、業務時間外につくりましたね。

色々なピンチが重なってしまったんですね…。

迫:でも、やろう!と思えばできてしまうんですよね。ピンチのときに、苦しい思いをしても、でもゾーホージャパンが好きだから、ゾーホージャパンで働くみんなが好きだから頑張ろうって気持ちでみんながやってきたので、徐々に企業風土がよくなっていきました
生きているうちに、ピンチだと思うことは色々と出てきますが、逃げずにしっかり向き合っていけば、自信がつき、いい経験となります。

ルールで縛ることをやめ、主体的になれるような就業規則へ

ゾーホージャパン株式会社 迫洋一郎

企業理念をつくっていく中で、インド本社(ゾーホー)の経営方針や理念に影響を受けていることはありましたか?

迫:実は本社には企業理念がないんです。
ただ、ゾーホーのCEOが「ルールにとらわれるな、ルールを壊せ。ルールで縛ることにより、人間の感性やチャレンジする領域を狭めてしまう可能性がある。クリエイティブ性は、ルールを取っ払った中で発揮される」と話していて。
それを聞いたときにハッとしたんです。日本はルールに縛られている部分が多くて可能性を狭めていることがあるので、日本のメンバーもみんな共感してました。

実際にゾーホージャパンでも「ルールを取っ払って」いるんですか?

迫:今はそうですね!昔は、会社の重要なデータを一部の人しか知らない、小さな備品を買うのも社長決裁、積極性のあるメンバーが提案しても最終的には「だめ」と言われる。
これでは主体的に動けなくなって、「言われたことだけやればいいや」と思ってしまう。それだと会社って成長しないんですよ。

だから今は、チャレンジしないのはダメなことだとしています。行動することは成功に向かって努力して一歩を踏み出していることなので、それだけでプラスですよね。行動して想定しない結果だったとしても、改善する、それはさらに成功に向かっているのでプラスです。
我々は何を目指しているのか、目指す先に向かうためには主体的に行動しなければ意味がないし、だから「縛る」ようなルールは壊そうと思いました。従来のルールややり方を180度変えてやろうと思って変えてきました。

もともとあった就業規則や制度も同じように「縛る」ような内容から変えたんですか?

迫:就業規則も社員が悪いことをする前提(性悪説)で「〇〇してはいけない」と書かれていたので、「〇〇していきましょう」という想い(性善説)で変えました。就業規則は会社と社員がゾーホージャパンをいい会社にしていくためのものだと思っているので。

新しい就業規則や制度をつくるときにも、完成させる前に必ず社員のみんなに見てもらうようにしてます。見せることで、「これなら大丈夫」「ここはもう少し変えるべき」と様々な意見が出てきます。その意見から最終的に規程や運用ルールの形に落とし込んでいくんです。
完成後は、3ヵ月に一度の全体会議で総務部から説明をし、社員がいつでも見れるように社内イントラに公開しています。

社員の皆さんから「こういう働き方をしたい!」と意見が出てくることもあるんですか?

迫:ありますよ。社員からいい会社にしていくための意見を募集する「総務意見箱」をイントラ上に設定しています。匿名・実名、提案内容、問題提起、今後の進め方、全社員に公表するか・しないか、等を選んでメール形式で意見箱に入れてもらいます。
そこから新しい制度をつくったり、既存の制度の改善をおこなっていることもあります。

色んな角度の意見で会社は強くなる

新しい就業規則や理念を一緒に考えてつくっているので、社内の浸透も早そうですね。

迫:そうですね。特に理念をつくり始めた2011年以降に入社している人は浸透が早いです。理念に共感して入社してきているので。

ただ、理念がなかった頃から働いている人は理念に対して違和感を感じている人、合わないと感じている人も少なからずいます。人ですから温度差もあるし、なかなか100%にはならないのが現実ですね。

100%浸透させようと思わないんですか?

迫:100%浸透させるためには、合わないと感じている人たちを排除しないといけないけど、理念は後からつくっているから、それは後出しジャンケンと同じになってしまうじゃないですか。
それに、私自身は良い会社にするために理念が必要だと思っているけど、社員みんなが私に合わせて「右向け右」するような会社になる必要はないとも思っています。肯定してくれる人もいれば反発する人もいて、色んな角度で意見が出てきた方が強い会社になりますから。

確かに同じような人ばかりでは変化しないですもんね。ただ、否定的な意見が出てきたときはどのように対応しているんですか?

迫:個別に話したり、今なぜこういう取り組みをしているのかの想いを共有したり。
それで通じるときもあれば通じないときもあるんですが、私にとってのチャレンジでもあるので(笑)伝えて伝わらなかったら次どうチャレンジしていくかを考えます。

次回は「東日本大震災から2日後に始めた全社在宅勤務の今。」をお届けします。