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サテライトオフィス誘致から集合住宅プロジェクト!?一歩先の未来を見据えた、徳島県の新たな取り組み

サテライトオフィス誘致から集合住宅プロジェクト!?一歩先の未来を見据えた、徳島県の新たな取り組み

サテライトオフィス誘致から集合住宅プロジェクト!?一歩先の未来を見据えた、徳島県の新たな取り組み

サテライトオフィスといえば徳島県を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。現在、徳島県には42社もの企業がサテライトオフィスを開設しています。多くの企業を惹きつけている理由として、徳島県全域に高速光回線が引かれていることが大きいでしょう。誘致活動に成功した徳島県庁に詳しくお話を伺ってきました!

・・・と言っても、伺ったのは徳島中心部にある徳島県庁ではなく、NPOグリーンバレーが運用している、神山町のサテライト体験施設『神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス』(以下、コンプレックス)。というのも、サテライトオフィス誘致を担っている徳島県の地方創生推進課のサテライトオフィスがコンプレックス内にあるのです!

長谷川 尚洋さん

徳島県政策創造部 地方創生局 地方創生推進課 新未来創造担当室長。「とくしま新未来創造オフィス」にて、自身もテレビ会議やメール等を活用したテレワークを実践。サテライトオフィスで働く方々と同じ目線、同じ立場で、政策の立案を推進している。

神山町

人口:5,654人(推計人口、2017年1月1日)
・・・町面積は、徳島県内24自治体の中で9番目に大きい173.30k㎡、町の中央を東西に横断する鮎喰川上中流域に農地と集落が点在し、その周囲を町域の約 86%を占める300~1,500m級の山々が囲む。年平均気温は14℃前後、年間降水量は2,100mm前後。地区によっては冬に数センチの積雪があります。 

引用元:神山町公式ホームページ

 

NPO法人グリーンバレー

「日本の田舎をステキに変える!」をミッションに掲げている。神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスの管理をはじめ、アーティスト・イン・レジデンス、移住交流支援センターの運営など、神山町への移住支援を軸とした事業を行っている。

参考:イン神山

 

さすが徳島県!県庁も率先してサテライトオフィスを設置。

徳島県庁のサテライトオフィス「とくしま新未来創造オフィス」の様子
▲ 神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス内とくしま新未来創造オフィス

—— 県庁までサテライトオフィス、さすがですね!

長谷川 尚洋 さん(以下、長谷川):ありがたいことに、今徳島県には本当に多くの方が視察に来てくださるんです。ここ神山町は特にそうで、クリエイターの方も来られていて。そういった方との交流の機会を大事にすることはもちろん、県民目線・現場主義で新たな政策を創造していこうということで「とくしま新未来創造オフィス」を今年4月にコンプレックス内に開設しました。

—— 「新未来創造オフィス」って、かなり期待値の高い名前ですね!

長谷川:民間の企業の方も、東京からわざわざここに来て企画会議なんかをやっています。ここの環境が新たな創造を生むのに適しているようです。このオフィスもそういったことが期待されています。

—— なるほどですね。お話を伺う前に、少しオフィスを見せていただいてもいいですか?

長谷川:どうぞどうぞ。

大きなモニターで、テレビ会議もしている
▲ 机の前にある大きなモニターで、徳島市内にある徳島県庁と常時繋いでいる

—— 普段はどんな感じでお仕事を?

長谷川:テレビ会議システムで県庁のオフィスと常時接続しています。普段は映像のみで音声は切っていて、用があるときや打ち合わせのときだけ、音声を入れるようにしています。

—— 目の前にこれだけ大きなモニターがあると、別のオフィスにいる感じがしないですね。

長谷川:一体感を持って仕事ができていると思います。モニターで繋いでおけば、県庁オフィスも近くに感じるし、業務も問題ありません。あと、県庁の会議室と繋いで会議にもここから私は出席してます。徳島県ではテレワークも積極的に推進しているんです。

—— そうなんですね。さすがに大きな会議となると県庁に戻られることも・・・?

長谷川:いやいや、ありません。会議の大小に関わらず、知事が出席される会議であってもここから参加したこともありますし、県内各所、県東京本部、県大阪本部、さらに、都内の民間企業とテレビ会議で繋いだ会議もしていて、9元中継になることも。

—— さすがですね!見学させて頂きありがとうございます。

徳島県の大ピンチから始まった、サテライトオフィス誘致

徳島県庁の長谷川さん

—— それでは、サテライトオフィス誘致の経緯から教えて頂けますか?

長谷川:徳島県も他県が抱える問題と例外ではなく、それも全国に先んじて人口減少と高齢化が進んでいて、限界集落の割合も高くなっていたんです。そこで、県内隈なく張り巡らされた高速光回線、人口減少と共に増加した使われなくなった古民家・遊休施設、そしてこの豊かな自然環境、これらを活かしてこの問題をどうにかできないかと始まったのがサテライトオフィス誘致です。

—— そうそう、徳島といえば通信環境が素晴らしいことで有名ですが、なぜこんなにも高速光回線が整っているんですか?
(※なんと、徳島県はCATV世帯普及率が5年連続全国1位!)

長谷川:地上デジタル放送へ移行するときに光回線を整備したんです。というのも、徳島は関西に面していたので、関西のテレビ局と合わせて10波入っていたんですよ。それが、地デジに移行することで、3波しか見れなくなってしまうという状況になったんです。

—— 10波から3波は減りすぎですね・・・

長谷川:ですよね。県としては大ピンチでした。それではいかんと、平成14年から10年くらいかけて県と市区町村で連携しながら地デジ対策を行ったんです。それによって、県内隈なく中山間地域に至るまで光回線網が張り巡らされました。

—— そうなんですね!地デジのピンチがなかったら、今の徳島県はなかったかもしれないですね。

長谷川:そうかもしれませんね。まさしく「ピンチをチャンスに!」です。その移行のタイミングで東日本大震災が起こってしまって、東京でもいつ何が起こるかわからないと、企業はリスク分散のためにBCP(事業継続計画)を検討する必要がでてきました。そういった状況の中で、都内の企業さんをお呼びして、2ヶ月間に渡って、ここ神山町をはじめ県内5箇所でテレワークの実証実験を行っていただいたのが今からちょうど5年前、それがサテライトオフィス誘致のはじまりです。

多様な働き方・生き方を実現可能にした、サテライトオフィス

—— なにか起こったときでも、仕事が続けられる状況が求められたわけですね。

長谷川:そうですね。また、大震災の前後で、ワークスタイルの変化も起こり始めていました。若者の中で『仕事だけに追われるのでなく、自分のプライベートな時間も確保したい』『生活の基盤が田舎にあってもいい』という考え方が、少しづつではあるけれど広まっていったようです。
先の実証実験でも、「不測の事態にも事業継続可能」ということはもちろん、「癒やしの空間でワーク・ライフ・バランスを実現できる」と参加いただいた企業の社員さんからたいへん好評をいただきました。

—— なるほど。多様化しはじめた働き方や生き方においても、サテライトオフィスが合致していたんですね。

長谷川:そうなんです。そこから、本格的にサテライトオフィス誘致に力をいれていきました。

—— 現状、どういった企業さんがサテライトオフィスを開設してるんですか?

長谷川:やはり、通信環境さえ整っていればどこでも仕事ができるIT系の企業さんが多いですね。社員さんは、場所や時間にとらわれない働き方をしていたり、半X・半IT(※1)といったライフスタイルを送っている方が多いです。片道1、2時間かかっていた通勤時間を、農業やサーフィンといった趣味に充てているようで、充実した生き方をされています。

(※1 半X半IT・・・Xとは趣味、ITは仕事のことで、仕事とプライベートを両立した生活のこと)

—— いいですね。都心にいたらそういったことはなかなかできないですから。

長谷川:心身共にリフレッシュして、仕事の能率アップにも繋がっているみたいですね。ある企業さんでは、東京ではエンジニアが不足していてなかなか採用できないので、発想を変えてサテライトオフィスを開設して、半X・半ITという働き方を打ち出してみたら、すごい反響で社員もどんどん増えて、売上も大幅に上がったといったという例もあります。

地域・NPO・進出企業・行政が一体になって取り組む、徳島をたっぷり味わってもらうための環境づくり

NPO法人グリーンバレーにて、サテライトオフィスを担当する木内康勝さん
▲ 神山町の発展には欠くことのできない存在であるNPO法人グリーンバレーにて、サテライトオフィスを担当する木内康勝さん。神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス内にいらっしゃったので、急遽インタビューに参加してくださいました。

—— これだけ多くの企業さんが徳島に集まるのには、豊かな自然や高速光回線だけではなく、何か他に理由があるんだろうなと思っているのですが・・・

長谷川:行政だけでやっていくのではなく、NPOのグリーンバレーさんや進出企業の株式会社プラットイーズの隅田会長、株式会社あわえの吉田社長さん等と「とくしまサテライトオフィス・プロモーションチーム」を結成して、地域、NPO法人、進出企業、行政が一緒に盛り上げていく動きが出来ていることも大きなポイントでしょうね。
視察だけとっても、神山町には年間3,000人くらいの方が来てくださるので、やっぱり県や町だけだと対応できないんですよね。だから、コンシェルジュという形で県から委託して、神山町では木内さんがいらっしゃるグリーンバレーさんが視察の対応をしてくださっています。

—— 3,000人もいらっしゃるんですね!

長谷川:そうなんです。木内さんには、いつも声が枯れるくらい説明してもらっています(笑)

木内 康勝さん(以下、木内):グリ〜ンバレーデハ・・・

—— 本当に声ガラガラじゃないですかlaugh

木内:すいません(笑)グリーンバレーでは、昨年は400団体くらいの視察に対応しました。できるだけ多くの人に視察に来ていただきたいので、視察ツアーを開催したりしています。

—— わたしたちも視察ツアーに参加したかったのですが、どうしても日程的に厳しくて・・・

木内:もしかして一昨日の視察ツアーですか?

—— そうですそうです!

木内:あれは県が企画している、首都圏の企業向け視察ツアーだったんですが、参加者が多くて、40人くらいの方が視察に来てくださいました。

—— 興味を持たれている会社さんがすごく多いですね。

長谷川:そうやって企業の視察も増えて、現在では、県内9市町に42社がサテライトオフィスを開設していて、60名以上の地元雇用も創出してくれています。 

—— 地元雇用も増えて、サテライト企業の社員も幸せになって、いい事づくしですね。弊社でもサテライトオフィス作りたいねって話が出ています。

長谷川:ぜひ徳島に!(笑)と言っても、いきなり知らない地域に来て、空き家を改修してサテライトオフィスを開設するのは、費用も労力もかかるし難しいですよね。私たちはそのハードルをできるだけ低くしてあげられるように、県内には、自社の事業形態がサテライトオフィスにあっているかどうかを体験できるお試し施設や宿泊施設も続々と設置されています。

—— それが、こちらのコンプレックスやWEEK神山ですね。

長谷川:そうです。こちらのコンプレックスはコワーキングスペースになっていて、施設内ならどこでもネットが繋がるので、好きな時間に好きな場所で仕事をしてもらえるようになっています。あと、せっかくここまで来てもらったのに、短期滞在かつ宿泊場所が徳島市内では地域のことを理解してもらえないということで、1週間くらいゆっくり滞在して体験していただきたいと、隣の宿泊施設の「WEEK神山」も昨年7月にできました。築80年の空き家を改修した食堂棟は、神山の地元の人と交流できるような場所になっています。

WEEK神山の食堂棟
▲ コンプレックスから歩いて10秒のところにあるWEEK神山の食堂棟

—— 地元の方とも交流ができるんですね!

長谷川:地域との相性って大事じゃないですか。そこも確かめながらサテライトオフィスを体験して、徳島の良さっていうのを実感してほしいですね。

神山町で始まった、新しい集合住宅プロジェクト

神山町で計画される、集合住宅プロジェクト

—— 体験してからサテライトオフィスを開設すれば、地域との交流もすでにありますし、溶け込みやすいかもしれませんね。

長谷川:そうだと思います。ただ、1つ大きな問題があって、神山町では移住者に供給できる住宅が足りていないんですよ。

—— え!足りていないんですか?空き家はいっぱいあるんじゃ・・・

長谷川:そうなんですが、住める状態の空き家はもちろん限られていますし、オーナーさんとの話し合いも大幅な改修も必要ですしね。グリーンバレーさんは神山町への移住に関する業務も担っていますが、移住希望者がかなりいらっしゃいますよね?

木内:そうですね。現在200名程にお待ちいただいている状況です。

—— 200人!そんなに!

長谷川:そこで今、神山町では空き家の改修とともに、新たに設立された「一般社団法人神山つなぐ公社」が中心となって、集合住宅のプロジェクトが動き始めています。

—— 集合住宅ですか!

長谷川:はい。中学校の寄宿舎の跡地に集合住宅を建設予定で、移住者だけに限らず、町内の若い夫婦も入居できるようにして、若い子育て世代を中心とした集合住宅を作る計画を進められています。

—— なぜ集合住宅を?

長谷川:住宅が足りていないこともそうですが、神山町を将来世代に繋げていくには、これから神山町を支えていくことになる若い子育て世代の環境整備が不可欠との考えです。神山町は結構広いので、子供たちは学校から帰っても遊ぶ友達が近所にいないので家でゲームをして過ごすなんてこともあるようです。でもこの集合住宅があれば、帰ってからも友達と遊ぶことができますし、住民同士互いに助け合い、子供の面倒を見てもらうこともできますよね。

—— ここまでの移動中、山道を通ってきましたけど、少し山の方に行くと一軒一軒かなり離れている場所もありましたし、そうなると確かに子供たちは気軽に遊びに行けないですね。

長谷川:そうですね。あと、集合住宅の設計も、車は一箇所に集めて敷地内には入れないようにするなど、子供達が安全に敷地内(外)で遊べて大人も安心して過ごせるような工夫もされているようです。

—— みんなで助け合って寄り添いあって生きていくという、素敵なコミュニティがまた一つここで生まれるんですね。

長谷川:そうなるよう関係者の方々が頑張っています。コレクティブハウス(※2)のようにキッチンや食堂がシェアできるようなスペースや公園がある集合住宅などを参考に、いろいろ考えられているようです。これまでにない公共住宅が生まれようとしています。

(※2 コレクティブハウス・・・独立した住居といくつかの共用スペースを持ち、生活の一部を他の居住者と共同化した住まいのこと。共用スペースだけでなく各住居にも、トイレ・浴室・キッチンなどが完備されているため、シェアハウスと比べて個々の住宅の独立度が高い。)

—— 将来が楽しみですね。オープンしたらまた取材に来たいです。今日はありがとうございました!

 

【編集後記】

行政自らサテライトオフィスを開設して、テレワーク、テレビ会議など、柔軟な働き方を実践していることに驚きました。だからこそ、サテライトオフィス体験施設や視察ツアーなども積極的に行っており、企業にとって検討しやすい環境を整えてくれているのだと思います。神山町以外にも、美波町の戎邸城山体験施設、美馬市の創~so~などサテライトオフィス体験ができる施設が県内に増えてきています。これからの徳島はますます目が離せません!
みなさんも一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

 

川辺でパソコンでお仕事。これぞ、リモートワーク!

こんな自然のなかでも、インターネットにつながる〜〜〜♪