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ドイツ最古のカクテルバーで働き「ヨーロッパとアジアの飲食の架け橋」になる──那須 孝光

ドイツ最古のカクテルバーで働き「ヨーロッパとアジアの飲食の架け橋」になる──那須 孝光

ドイツ最古のカクテルバーで働き「ヨーロッパとアジアの飲食の架け橋」になる──那須 孝光

世界一周中、アラブ首長国連邦の某航空会社でキャビンアテンダントをしている高校の同級生に会いにドバイへ。そこで友人に紹介してもらったのが、今回インタビューさせていただいた那須さん。ミュンヘンにあるドイツ最古のカクテルバーでバーテンダーをされています。バーテンダーということもあって、昼間からビールを片手にインタビュースタート(笑)深夜まで続いた、ほろ酔いインタビューをお送りします。

那須 孝光(なす たかみつ)さん

ドイツ ミュンヘン  ドイツ最古のカクテルバー「Pusser's New York Bar」バーマネージャー、マスタークラス(※1)講師 宮崎県生まれ。高校卒業後、アメリカの大学に入学。大学卒業後は、日本の某有名飲食会社に入社、店舗開発やブランドマネージャーを務める。 その後、2006年に渡独。ミュンヘンの日本食レストランでマネージャーを務めた後、2008年から現在の職場「Pusser's New York Bar」で働き始め、数年後バーマネージャーとなる。現在は、マスタークラスの講師や、ゲストバーテンダーとしてカクテルを世の中に広めるべく世界各国を飛び回り多忙な生活を送る。 ※1:カクテルの専門的な知識や技術を教える講義。

同時多発テロによりキャリアチェンジ。バーの常連から下積み時代を経て、バーテンダーマネージャーへ

那須さんは高校卒業後に渡米してらっしゃいますが、なぜ海外に行こうと思ったのですか?

那須 孝光(以下、那須):両親が自営業で日本国外でも取引をしていたので、海外の話を聞いていて興味がありました。あとは、ただ漠然と日本から出たかったってのもありましたね。それでとりあえずアメリカの大学で会計・マネジメント学び、卒業したら実家の事業を継ごうかと考えていました。

しかし、大学在学中にアメリカで働きたいという気持ちが強くなり、結局就職活動をしてニューヨークにある旅行会社から内定をもらいました。

あれ?大学卒業後に、日本に帰国されてますよね?

那須:そうなんです。「よし頑張って働くぞ!」と意気込んでいた時に、ニューヨークでアメリカ同時多発テロ事件が起こってしまい、内定が取消しに。就職先から支給されるはずの就労ビザが支給されず、帰国を余儀なくされました。

そうだったんですね。

那須:はい。帰国後は、某飲食会社に入社してそれなりに充実した生活を送っていましたが5年程たったくらいに「やっぱり海外で働きたい」「チャレンジしたい」という想いが強くなり、退社を考えるようになりました。そんな時、知り合いから「ミュンヘンで日本食をやりたいから手伝って欲しい」とオファーを頂いて、渡独を決めました。

ドイツには一度も行ったことがなかったので、この地を選んだというよりは、オファーがあったからという感じですね。

渡独後、日本食レストランのマネージャーから、バーテンダーへ転職されていますが、どのような経緯があったのですか?

那須:初めの3年間、日本食レストランで働いていました。一方でミュンヘンにはたくさんバーがあるので、仕事終わりにいろんなバーに通っていました。その中でも気に入ってよく足を運んでいたのが、今働いている「Pusser's New York Bar」で、通っているうちにオーナーに「うちで働かないか?」と口説かれて、バーに興味があったこともあって、二つ返事で了承しました。

「Pusser's New York Bar」のカウンターで那須さんをパチリ。▲「Pusser's New York Bar」。週末はいつもたくさんの常連客で賑わうミュンヘンの人気店。

常連さんからスタッフになったんですね!

那須:そうなんです。一方で、働いてみたら本当に大変で…。自分にはバーテンダーとしての知識も経験もない。今までは日本食レストランということもあり英語でなんとかなっていましたが、ここでは従業員もドイツ人、お客さんもドイツ人が多いので、ドイツ語が話せないのもきつかったですね。本当に何もできない状態だったので、掃除夫から始めることになりました。

営業終了後の清掃、営業前の仕込みをひたすらこなす日々で本当に辛かったです。でも、「日本で働いていた頃のポジション(マネージャー)になるまでは日本に帰れない。帰ったら負けだ」という意地とプライドの方が勝って。

そういう想いで、マネージャーになるまでは一度も日本に帰らず必死に働きました。そして6年かけてバーテンダーとしての技術とドイツ語を習得。オーナーやスタッフ、お客さんからも着実に信頼を積み上げ、ようやくマネージャーになることができました。

6年間!その後、日本への帰国は考えなかったのですか?

那須:その頃からは定期的に帰国するようになり、日本で働くという選択肢もありましたが、まだミュンヘンにいたいという方が強かったです。数年後の自分のあるべきビジョンが見えてきて「ヨーロッパとアジアの飲食の架け橋になりたい」と思うようになりました。

「ヨーロッパとアジアの架け橋」  本場の味を伝える意味。

具体的にどのようなことですか?

那須:私のバーでも取り扱っている「Pusser's Rum(※2)」を日本、そしてアジアに広める活動です。
ヨーロッパではよく知られているお酒ですが、当時はアジアの中で認知度は低くて。
この「Pusser’s Rum」を出会ったことがきっかけで、「このお酒をアジアでもっと広めたい。自分がその架け橋になりたい!」と思うようになりました。そこでスタートしたのがPusser'sラムのお披露目となる「Japan of Cocktail Tour 2016」。大阪を皮切りに東京・名古屋でのセミナーや講演を開催しました。他にも昨年は、シンガポールで行われた「Cocktail week」へゲストバーテンダーとして招待頂き、私の作ったカクテルレシピを販売してもらいました。

※2:1655年からあるドイツ海軍発祥で海の上だけで飲まれていた世界最古のラム酒。

「Pusser’s Rum」を使った人気NO1のカクテル。▲「Pusser’s Rum」を使った人気NO1のカクテル。

私もお酒が大好きですが、「Pusser’s Rum」は知りませんでした。とっても美味しいですね!

那須:美味しいでしょ(笑)こういう美味しいお酒をもっと沢山の人に知ってもらうべきだと思うんです。これまでは、バーテンダーは美味しいお酒だけ作っていれば良いっていう、いわゆる職人気質な方が多かった。これからは技術的なことだけでなく、美味しいものをどうやって知ってもらうか、といった視点がより一層大事になってくると思います。

活動で心がけていることはありますか?

那須:ヨーロッパ本場の味を伝えることですね。「日本人の好みの味に変えたら?」と言われることももちろんあります。ですが、私は変えないですね。日本人好みの味に変えてしまったら、僕はもう日本のバーテンダーで、ヨーロッパのバーテンダーではなくなってしまう気がするんです。そのままの味を知ってもらって、それぞれのバーテンダーやバーが、好きにアレンジして変えてくれればいい。それこそが「ヨーロッパとアジアの飲食の架け橋になる」ことに繋がっていくと思っています。 

今後もミュンヘンに住み続けますか?

那須:僕が、お酒を始めた場所はミュンヘン。だから全ての蓄積がここにあるんです。ここにいないと何も始まらない。それに、ミュンヘンって2時間程度もあればヨーロッパのどこでもいけちゃうんですよね。それも魅力的です。まだまだここに住み続けたいと思っています。

今後の目標や展望はありますか?

那須:バーの世界に飛び込んでから今までの9年間で培って来たインプットを、今アウトプットする時期がようやく来ています。セミナーでも講演でもそうですが、そのアウトプットがうまく行った時が一番の快感ですね。やりがいをとても感じています。

ミュンヘンに住みながら、アジアに「Pusser’s Rum」の普及活動をしたい。もっともっとヨーロッパとアジアの架け橋になりたいんです。来年にはインドネシア・シンガポール・台湾でセミナーとバーティニング(※3)もする予定です。

あとは、バーテンダーって不摂生なイメージがあるでしょ?(笑)そういうイメージを払拭して、バーテンダーというポジションやイメージがもっと良くなるような活動もしていけたらいいなって、そう思っています。

※3:バーテンダーがボトルやシェーカー、グラスなどを用いてカクテルを作り提供すること。

 

── Special thanks to Mayuko Rourke

編集後記

終始笑顔で、おおらかな那須さん。バーを4軒はしごしましたが、どのお店でもナッシーの愛称で親しまれ、スタッフやお客さんなど、関わるみなさんから愛されていました。気づけば2人ともベロベロで、インタビューも忘れプライベートな深いところまで語り合ってしまいました(笑)また、どこかで乾杯できることを楽しみにしています。お忙しい中、ありがとうございました。



那須さんのお店「Pusser's New York Bar」

▼住所
Falkenturmstraße 9, 80331 München, ドイツ

▼電話番号
+49 89 220500

▼公式サイト
http://www.pussersbar.de/