“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?【考えてみた 編】

“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?【考えてみた 編】

“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?【考えてみた 編】

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第1回
一体何が問題なのか…待機児童問題の原因と解決策について考えてみた
第2回
“待機児童問題” 解決の糸口って結局、どこ?【区長に聞いてみた 編】
第3回
“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?【企業に聞いてみた 編】
第4回
“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ? 【ママに聞いてみた 編】
第5回
“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?【考えてみた 編】

少子高齢化・老老介護・貧困格差…。日本が抱える社会問題は数あれど、今一番問題が表面化しているのが待機児童問題。都市部においてとても深刻な問題であり、女性の復職を妨げる大きな要因の1つです。

今までの「“待機児童問題”解決の糸口って結局、どこ?」連載では、

行政…世田谷区長
企業…キッズライン株式会社
現場…フリーランスのママたち

というそれぞれの立場から「待機児童問題」を考えてきました。

「待機児童問題」を解決するには一体どうしたら良いのか。これまでのインタビューも振り返りつつ、解決する糸口を考察してみました。

これまでのインタビューから見えてきた、ほんとうの「待機児童問題」

そもそも、待機児童問題の根本的な問題は一体何なのでしょうか。インタビューから紐解きます。

◉肌で感じた「女性の社会進出」

働き方の多様化により、女性の社会進出は年々増加傾向です。実際、Fledgeでも多くの働く女性をインタビューしてきました。

参考:専業主婦世帯と共働き世帯の推移 - 厚生労働省

厚生労働省のデータ「専業主婦世帯と共働き世帯の推移 」を見ても分かるように、共働き世帯が専業主婦世帯を上回っています。

世田谷区長:かつて女性は結婚や出産を機に退職して子育てに専念するケースが多かったですが、賃金の低下などから、今は共働き世帯の数が専業主婦世帯を上回っています。(途中略)
夫の収入だけでは生活が心許ないため、妻も働くようになったのです。区長に聞いてみた 編

一昔前の「男は外に出て仕事、女は家庭を守る」という風習が、社会の変化と共に薄れてきているのを肌で感じます。この結果、保育園入所を希望する家族が増えるのは当然のことなのかもしれません。

◉肌で感じた!「都市部に子どもが集中」

これは総務省統計局が出している、都道府県別人口に占める子どもの割合。(平成28年度10月時点でのデータ)

このデータを見ると、こどもの数が100万人を超えるのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県となっており、東京都のみ前年に比べ増加しています。割合を見てみると、沖縄県の17.2%が最も高く、一方で秋田県が10.3%と最も低い数値を出しています。

仕事が豊富で便利な都市部に人が集まるのは仕方のないことなのかもしれませんが、地方の保育園はガラガラで定員割れしているところも多数。秋田県は「子どもがいない問題」が逆に表面化しています。

世田谷区長:都市部を中心に、高まる需要に対して受け皿となる園の数が不足しているという状況が起こっています。区長に聞いてみた 編

というように、子どもが多ければ作らなければいけない保育園も、都市部であれば場所も限られてくるのが現状。国の基準を満たす土地や園庭の広さを確保することが難しかったり、「子どもの声がうるさい」などの理由で周辺住民の理解を得られずに断念してしまうこともあるようです。

◉肌で感じた!「保育士不足」

藤井さん(キッズライン):今、一度現場をやめた保育士さんが、保育園ではなくベビーシッターとして保育に復帰するというのがすごく多くなってきているんです。
保育士ってすごく大変な仕事。すごく大変な仕事でも、適正なお給料をもらっていると頑張れる部分はあると思うんです。けれど、10年以上働いてお給料が20万円に満たない世界が普通にあって…。こういったお給料面での改革も必要だと思いますし、お子さんが学校に行っている間だけ働けたりだとか、時間面での働きやすさも大事ですね。企業に聞いてみた 編

というように、保育士資格は持っていても、低賃金や労働環境などが理由で保育士を諦める潜在保育士が多いことも問題になっています。

私の知り合いの保育士は、勤続4年で手取り15万円(正社員)という驚きのお給料だと言っていました。夢だけじゃご飯は食べられない!!!

もしも自分の子どもが待機児童になってしまったら、どうしたらいい?

待機児童問題の根本について考えてきましたが、実際に自分の子どもが待機児童になってしまったら、一体どうしたらいいのでしょうか。

保育園落ちた。

ママが仕事をやめて家で子どもを見る。

本当に解決方法はこれしかないのでしょうか?

しかし、女性も稼ぐようになってきた現代、その方法はあまり現実的ではありません。もし子どもを保育園に預けられなくても、子育てをしながら同時進行で働く女性が増えることはとても大事なこと。

では、今後どうしていったらいいのでしょうか。今までのインタビューを通して、見えてきたことがあります。

解決の糸口かも? 【その1】 男性ももっと育児参加を

繰り返しになりますが、今の時代、女性の労働力を完全に削ってまで家で子どもを見るのはあまり本質的ではありません。男女共に同じくらい稼ぐようになってきているので、2人で働きながら、協力して子どもを見る方が建設的。

そのためには男性側(パパ)の協力が必要不可欠です。

世田谷区長:パパの意識を変える必要もあると思います。外で仕事だけしていればいいわけではない。育児を一緒にするという考えになることが大切です。男性は奥さんの産後ある程度の時間が立つと、育児を「手伝う」という感覚が出てしまうそうです。そうではなくて、パパが中心となって子育てをしてもいいし、するべきでしょう。昨年1月には区役所職員に対して、子どもが生まれたら2週間の「パパになる休暇」を取るように伝えています。区長に聞いてみた 編

藤井さん(キッズライン):育休も必ずしも女性が取るものではないですよね。パパが取得して、育児と仕事の両立がいかに大変かを経験すると、パートナーを労わる気持ちが持てると思いますし、それが働く女性への理解にも繋がっていくのではないかと思います。男性が育児を自分事化することが、女性の働き方を考える上でとても重要になってくると思うので、男性も育児に積極的になれる改革も合わせて必要なのかなと思います。企業に聞いてみた 編

筧さん(ママさん対談):“パパの働き方”ももっと社会的に改善されればいいなぁとすごく思います!一日の中で、幼稚園や保育園から帰って来てから寝るまでの時間ってもの凄く忙しい。お風呂に入れたりご飯を作って食べさせたり「ここでパパが居てくれたらいいのにー!」っていう時間に家に居ないので、もっと育児を一緒にできる社会になったらいいなと思います。うちは、子どもが寝た後に帰ってくるので・・・。ママに聞いてみた 編

・・・・・・

実際にお話を聞いていても、ママだけに育児の負担が偏りすぎている現状があるようです。

2016年度の男性の育児休暇取得率は3.16%。とても低いですね…。

しかし、厚生労働省は2020年度までに男性の育休取得率を13%にする目標を立てていますので、今後大きく変わっていく部分かもしれません。

具体的な解決策としては、男性の育児休業の取得や短時間勤務、在宅勤務といった方法もありますが、パパの意識が変わることも大きな一歩。「育児はママに任せる」ではなくて、「一緒に育児に参加しよう」という意識を持つことが一番だと思います。

 解決の糸口かも? 【その2】 仕事する・しないの行き来をもっと柔軟に!

参考:「第1子出産前後の女性の継続就業率」の動向関連データ集

この表を見ても分かりますが、現状、日本人の女性は出産した後に約半数が退職してしまいます。その理由は、一度仕事を退職したらなかなか復帰しにくいという社会の在り方。子どもがいた場合、仕事をするか・家庭に入るかのどちらかしか選べないということです。

高田さん(Maffice連載1):優秀な女性ってすごくたくさんいるのに、出産を経ていざ復帰しようとしても、優秀なスキルを活かすような雇用先がない。中途半端な女性活用しかされていないのは、今の日本の問題だと思っていて。【チャンスの神様は前髪しかない!働くママに勇気を与える、ある女性のヒストリー 】

宮崎さん(Maffice連載2):一回退職するって割とあることなのに、子どもがいると仕事復帰がものすごく大変ですよね。「働きたいけど、働けない」と後で後悔している人もいると思うんですよ。0か100かのどちらかしかなくて、その間が本当にないんです。保育園に入れなかった人はどうやって働くかとか、幼稚園に入った後どうやって働くかとか…。そのソリューションが今は本当に整ってないです。

仕事を一回辞めることが悪いことだとは全く思ってません。でも、一回辞めたら復帰がすごく大変だという事実に直面して、復帰したいときに復帰できない。それってとても動きづらいですよね。仕事をする・しないを柔軟に行き来できる社会になればすごくいいなと思いますね。【待機児童問題なんかに負けない!世田谷で自分らしく働く3人のママのストーリー 】

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今までキャリアを積んでバリバリ働いてきた女性が出産後、「子どもを見ながら週3日くらいで、やりがいがある仕事やキャリアを伸ばしていけるような仕事がしたい」と望むパターンは割と多いです。

特に20代後半〜の女性は結婚や出産が現実に迫り、出産と同時にキャリアが断ち切られるという危機感を抱いている人も少なくありません。時短勤務やリモートワークなど、育児をしながら仕事を続けていくための制度や環境は整いつつありますが、それでも、第一線に立ち続けるか、キャリアを降りてしまうかという2択しか選べないケースが多いです。

選択肢が0か100かの2通りしかないなんておかしいですよね。「子ども」と「仕事」を天秤にかけずに、ゆるくでもキャリアを諦めずに働く方法があるはずです。

解決の糸口かも? 【その3】 「保育園落ちた」。でも“保育園だけ”じゃない。

「待機児童問題」といえば保育園だけの問題だと考えがちですが、インタビューをしていて、必ずしもそうではないと感じました。

藤井さん(キッズライン):保育園は働く女性のサポートという意味で、本当になくてはならない存在です。しかし、残業が多い人もいれば、9時〜17時勤務ではない人もいる。フリーランスのような多彩な働き方が増えてきている中で、保育園だけでは子どもとママを支え切れない現状もあるのが事実です。企業に聞いてみた 編

世田谷区長:保育園を作ることは大切ですが、無限に増やし続けることは不可能です。場所については民間で貸してくれる人がいるのでクリアできる部分はありますが、保育園整備だけに予算を割くことは現実的ではありません。

そこで私が考えているのが、コワーキングスペースやシェアオフィスなどと託児保育をセットにして、ママたちがそこで子どもを預けながら働けるような場所を整備することです。区長に聞いてみた 編

田中さん(ママさん対談):極論で言えば、ただそこにいるだけでも愛情を感じる園がいいなと思ってました。結果的に、今は一軒家で優しいおばあちゃんが運営している、小さな保育所に預けています。すごくいいですよ!少人数で、たっぷり愛情をかけてくれる。ママに聞いてみた 編

保育園を作るにはお金も場所も必要です。さらに、認可保育園となると土地や場所の問題などで限界が見えてきています。

「保育園落ちた、ああもうだめだ。」で諦めてしまうのではなく、それこそキッズラインのようなベビーシッター制度を利用したり、マフィスのような保育サービス付シェアオフィスもあります。

「待機児童問題解決=保育園」という考えに陥りがちですが、そこでせっかくのキャリアを諦めてしまうのはもったいないですよね。色々と調べてみることで、解決の糸口が見つかるかもしれません。

まとめ

「待機児童問題」と聞くと、とても重大で大変な問題のように感じますが、なんとかなる方法が実はたくさんあります。

保育園だけでは子どもを受け入れきれなくなっている今、私たち自身の働き方を柔軟に変えたり、保育園以外の道を選ぶことはもう当たり前のことなのかもしれません。

労働者不足が叫ばれている今、女性の労働は貴重な戦力。待機児童問題が解決することで、結果的に日本の色々な問題が解決していきます。

一人ひとりが心のどこかに待機児童問題を置き、日々解決を心がけることが問題解決への近道なのかもしれませんね。



第1回
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