肩書きなし、給料は自己申告。メンバー間の信頼をベースにした、ちょっと“未来”の働き方

肩書きなし、給料は自己申告。メンバー間の信頼をベースにした、ちょっと“未来”の働き方

肩書きなし、給料は自己申告。メンバー間の信頼をベースにした、ちょっと“未来”の働き方

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肩書きは一切なし、給料は自己申告、企業と個人が互いの目標を応援し合う。そんな職場があることをご存知でしょうか。

飲食店で1日単位での仕事をマッチングするアプリを開発する「Spacelook」では、「アライアンス」という新しい雇用の形を採用しています。

アライアンスは、企業が従業員を従属させるのではなく対等とみなし、双方のビジョンを共有し、サポートし合う関係性を重視します。もとは米国・シリコンバレーの企業で実践され、日本ではまだ馴染みが薄い働き方ですね。

導入に至るきっかけは何か、どのような取り入れ方をしているのか。高校を休学して同社を起業した若き代表(登記上は)・谷口怜央さんにお伺いしました。

「アライアンス」について詳しく知りたい方はこちらも併せてどうぞ!
参考:企業と個人が信頼をベースに関係性を築く「アライアンス」という新しい雇用の形

第1回
肩書きなし、給料は自己申告。メンバー間の信頼をベースにした、ちょっと“未来”の働き方
第2回
「デザインの創造性を組織づくりに活かしたい」Spacelookで働く現役学生デザイナー北川怜於

谷口 怜央(たにぐち れお)

1999年生まれ、愛知県出身。中学時代の1年間の車椅子生活時に味わった見て見ぬふりをするという人々の姿勢に心を痛め、そんな世界を変えるためアフリカ渡航、ホームレス活動などを経て持続性のあるビジネスと影響力のあるITにいきつく。現在はアプリSpaceworkを通して組織にとらわれず人々が自由に働ける世界の構築を行う。

日本の働き方を変えるには、まず自社から取り組む

アライアンスを取り入れようと思ったキッカケを教えてください。

谷口怜央(以下、谷口):率直にいうと、僕の組織づくりやマネジメントスキルが不足していたことですね。昨年6月、働き方を変えることで社会を良くしたいという想いで起業したのに、同年10月までにメンバーを20人ほど入れ替える事態になってしまって…。理想と違うことに悩んでいました。

そこで、組織づくり専任者として岩本という人間をメンバーに入れ、僕の世界観などを話したうえで「アライアンス」という考え方を取り入れようと決めました。

彼が参考にしたのは、米国LinkedIn社創業者であるリードホフマン著の『ALLIANCE ―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』(ダイヤモンド社)などの本で、それを当社向けにアレンジして採用しています。企業と個人は本来対等であるという想いで、互いのメリットや目指したいものを応援し合うスタイルをとりたいと思ったんです。

また、日本の働き方を変えるには、まずは自社の働き方を先に変える必要があると気づいたことも、アライアンスの導入を後押ししました。

谷口さんから見て、日本企業における一般的な働き方をどのように感じていらっしゃいますか?

谷口:街や電車で元気がない人を見かけることが多くて、その度に「日本の働き方は今のままでいいのか」という疑問を抱いていました。

なぜそのような状態になるかというと、自分が好きじゃないことをしているからだと感じます。また企業の立場が強く、従業員が不満や疑問を抱いても口にできない雰囲気がありますよね。

「働き方改革」という言葉がバズワードになっていますが、改革を本質的に理解している企業は少ない印象を受けます。たとえば残業を少し減らすだけでは不十分で、仕事のやり方もセットで変えていかないと、長時間労働の根本的な解決には繋がらないのではないでしょうか。

そういった企業ではトップが「改革に取り組んでいる」と思い込んでいるため、社員が不満を言い出しにくい雰囲気を作ってしまっていると思うのです。

一番の手応えは、離れてしまったメンバーが戻ったこと

アライアンスは社内でどんな風に導入しているんですか?

谷口:アライアンスでは、企業が個人に、個人が企業に対して何をするのかを明確にします。「BucketList」が個人がやりたいことで企業がサポートするもの。「CommitTurm」が個人が企業に関わる期間。「Domain」が個人が企業に対して提供する役割。「Commitment」が具体的に提供する役割の中身になります。

「BucketList」に書くやりたいことはプライベートなことでいいんです。この取材に同席しているデザインを行っている北川くんは「ツイッターのフォロワー3,000人」ということを書いていたりしますから。企業と個人でどうやったら互いが求めるものをサポートし合えるかを考えていきます。

たとえば、個人の目標がイベント登壇であれば、企業側はその人が登壇できそうなイベントを探すことができる。腹を割って話し合うことでサポートしやすくなるんです。

アライアンスを導入した手応えはいかがですか?

谷口:一度離れたメンバーが戻ってきてくれました。事業をする上で、会社が存続することは重要です。そのために、一番大切なリソースは「人」なんです。

あとは、メンバーが前向きに働いているなと感じます。みんな自分が好きなことをできているので、仕事をやらされている感がありません。

また、僕らはメンバーを信頼しているので、会社の業績や人件費、毎月の給与などの数字は誰でも閲覧できるようにしています。それに、給料は固定給ではなく、自分で決めてもらっています。

自己申告制なんですね!?高く申し出てくる人が現れる心配はないのでしょうか?

谷口:性悪説で考えると、そういう懸念もあります。でも僕らはメンバーを信頼しています。そもそもの話ですが、当社で働くということは、当社が掲げるビジョンに共感しているとみなしているんです。だから会社に悪影響を与えるような人はいないはずなんですよ。

それに、アウトプットの割に求める金額が多い場合、メンバーの誰かが指摘しますし、誰もしなければ一メンバーとして僕がします。そういったメンバーとしての責任感を僕は持っているつもりです。

会社の業績をオープンにされるだけでなく、各メンバーの業務の進捗状況や成果についても高いレベルでの透明性が求められそうですね。

谷口:基本的にはSlackで何でも共有します。

メンバーの管理は原則しませんが、マネジメントの役割を担う者はいます。その者を軸として、進行中の案件の進捗を把握したり、工程の調整をしたりしています。基本的に自己管理なので、各自適切な対応をしていますね。

自由な働き方を認めると管理が大変になる、という話を聞くことがあります。その必要はなさそうですね。

谷口:メンバーを信頼しているわけですから、管理する必要はありません。大手企業でアライアンスの導入が難しいのはその点にあると思っています。

今後5〜10年ほどの間に、企業よりも個人の力が強まると感じています。そうした流れに向かっているのに、企業は管理が大変だからという理由で導入しないという考えは徐々に通用しなくなるのではないでしょうか。

メンバーが人生で挑戦したいことを応援したい

改善の余地があると感じていることはありますか?

谷口:メンバーの増員の仕方です。現状は各メンバーがめぼしい人材を提案し、企業が承認する形をとっています。

あと、今後メンバーの中から「この人はアウトプットを出していない」という人が出てきた時、アライアンスを解消するのか、別の役割を担ってもらうのかなど、方針には悩んでいます。規模が大きく財務体力があれば多少は目をつむれるかもしれませんが、当社は創業まもないので、人件費は気になります。

そして、こういった新しい働き方について話しているとどうしても矛盾している点を指摘されがちです。しかし、常に組織の運営の仕方や在り方は変化していくべきだと思っています。なのでいま取材していただいている時の運営の仕方と、記事の公開時の運営の仕方は大きく変わっているかもしれませんね(笑)でもそれでいいんです。

今後のビジョンをお聞かせください。

谷口:事業を伸ばしていくことです。でもその前に、社内の働き方改革を進めることが先決だと思っています。

あとは、もっとメンバーの能力を開発したり、彼らが人生を通じてやりたいことを応援したいです。ただ取り組むだけではなく、実績を残すことは大切。やがて当社がモデルケースとなって、世に広めていこうと思っています。

編集後記

取材陣の質問に対して、迅速かつ的確に答えてくださった様子が印象的でした。創業の理由もさることながら、メンバーのことを思いやる気持ちが感じられてとても感動しました。

従業員としては、企業の意向に従うだけでは豊かな人生とは言えません。対等という立場で、双方のビジョンをサポートする関係性にはメリットが多いのではないでしょうか。

次回は、同社で「アライアンス」という関係性の中働くデザイナーにお話を伺います。

第1回
肩書きなし、給料は自己申告。メンバー間の信頼をベースにした、ちょっと“未来”の働き方
第2回
「デザインの創造性を組織づくりに活かしたい」Spacelookで働く現役学生デザイナー北川怜於
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