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国と企業、それぞれが取る労働者の健康対策とは?

国と企業、それぞれが取る労働者の健康対策とは?

国と企業、それぞれが取る労働者の健康対策とは?

前回は「仕事が原因で病気にかかりやすい人と病気にかかる3つの原因」についてお伝えしました。今回は、労働者の健康を守るための対策や、国の施策や企業の取り組みについて、前回同様に企業への産業医サポートサービスを手掛ける株式会社エムステージの関矢がお届けします。

関矢 瑞季(せきや みずき)

株式会社エムステージ 広報・人事担当。 慶應義塾大学を卒業後、子供服会社・出版社を経て現職。2017年6月に入社後広報部門の立ち上げを行い、10月より人事を兼任。医師の働き方から日本の医療問題、そして企業での健康的な働き方まで情報発信を行っている。

労働者の健康を守るために国が実施している対策

皆さんご存知のとおり、過労死を含めた労働者の健康障害はニュースでもセンセーショナルに取り上げられ、大きな社会問題として認識されています。そのため、国としても全力を挙げて改善に取り組んでいる最中にあります。ここでは国の取り組みを3つご紹介します。

1つ目は「『過労死等ゼロ』緊急対策」。長時間労働対策を行う「長時間労働削減推進本部」が2016年12月に取りまとめた対策です。長時間労働の是正とメンタルヘルス・パワーハラスメント防止対策の強化、過労死ゼロを目指す取り組みの強化として、具体的な動きが描かれています。例えば、労働時間が労働者の自己申告制により不適切に把握されていることを問題視し、使用者が労働時間を適切に把握するためのガイドラインを策定しました。

2つ目は 「働き方改革実行計画」。こちらは耳にすることも多いキーワードでしょう。政府が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた最大のチャレンジが「働き方改革」です。2017年3月に取りまとめられた「働き方改革実行計画」では、時間外労働の上限規制や職場における産業医・産業保健機能の強化、パワーハラスメント防止対策・メンタルヘルス対策の強化、労働者のワーク・ライフ・バランスを保つための勤務間インターバル制度を事業者の努力義務とすることなどが描かれました。

3つ目は2017年7月に見直された 「自殺総合対策大綱」です。おおよそ5年を目途に時世に合わせて見直されるこの大綱ですが、2017年の見直しにあたっては 若年層の自殺対策や勤務問題による自殺対策に関する検討を中心に行われました。「働き方改革実行計画」も踏まえて自殺対策を推進することが求められています。

企業が取っている対策の有効性

労働者の健康障害が起こる現場である企業でも国の方針の通り、長時間労働の是正やメンタルヘルス対策・パワーハラスメント防止対策に取り組む様子が多く見受けられます。しかし、これらが有効に機能しているかというとまだ疑問符がつく状態です。

多くの企業が取り組んでいる長時間労働の是正では、ノー残業デーを設ける、PCのログを管理してタイムカードとの乖離(かいり)を調べるなどといった対策があります。しかし、「職場にいる」という意味での労働時間が短縮されても、家に持ち帰って仕事をしているなどの現状があり、業務量も効率も変わらなければ実働時間は変わりません。

メンタルヘルス対策としては2015年に「ストレスチェック」が、労働者数50人以上の事業場で義務化されました。これは労働者に対して年に1回行われる、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査です。2017年に調査したストレスチェックの実施状況は、実施義務のある事業場のうち82.9%が実施しているというものでした2017年7月厚生労働省労働衛生課調べ。義務にも関わらず17.1%もの事業場が実施できていないことも問題ですが、ストレスチェック実施後にその結果を労働者自身のメンタルヘルスケアに生かせているのか、また職場環境の改善に役立てているのかもポイントとなります。

ストレスチェックを実施している事業場の図

産業医を活用した企業の対策

対策は行えど、なかなか効果のでない現状。これを打破するために「職場のことをよく知る医療の専門家」、つまり「産業医」の力を借りるのも一つの方法です。

産業医とは、労働者50人以上の事業場に選任が義務づけられている医師のこと。企業側でも労働者側でもない中立の立場から、職場の不調者への面接指導や、そもそも不調者が出ないように職場環境を整えるためのアドバイスを企業へ行います。なお、産業医は治療をすることはありません。産業医の役割は、不調者の症状が悪化しないように配慮・助言をすることなのです。

2010年の調査では、産業医の選任義務がある労働者50人以上の事業場のうち、実際に産業医を選任しているのは87.0%(厚生労働省「2010年労働安全衛生基本調査」)。未選任の状況は事業場規模が小さいほど顕著で、同調査によると、1,000人以上の規模の事業所の選任率は99.8%、50~99人の規模の事業場では80.9%でした。ストレスチェックと同じくですが、義務でありながら選任できていない事業場が存在しているのは問題です。

産業医を導入している事業場の図

ただやみくもに残業を禁止したり、社内で不調者の対応をするのではなく、産業医に医療の観点から職場環境改善のアドバイスをもらう。ここに産業医を選任する意義があります。医療の知見を借りて職場の課題の根本的な改善を目指していくのです。不調者一人ひとりが健康になることももちろん効果のひとつですが、同じ不調者を出さないように根本を変えることが、企業としての成長に繋がります。

私たちエムステージが接する企業でも、産業医選任のきっかけは「労働基準監督署に指摘されたから」「法律上やらなければいけない」という理由だとしても、実際に進めるうちに「労働者が健康で働き続けられるような職場にしよう」「活き活きした企業風土にしたい」と前向きな改革を目指すようになっていくケースも多く見受けられます。

企業活動を行う上で労働者の健康を守ることは必須のテーマとなっています。事業者も労働者も、是非その社会の動きに注目してほしいと思います。

次回から計3回に渡り、産業医の先生に「メンタルヘルス」に関する様々な疑問や事例についてお答えいただきました。最初は、山越志保先生の「企業が取るべきメンタルヘルス対策と産業医の活用事例」についてお届けします。

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