“ある3つのコト”を改善すればメンタル不調が解決する!? ── 産業医 尾林 誉史先生

“ある3つのコト”を改善すればメンタル不調が解決する!? ── 産業医 尾林 誉史先生

“ある3つのコト”を改善すればメンタル不調が解決する!? ── 産業医 尾林 誉史先生

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働く人がより自分らしく働くために一番必要と言っても過言ではないのは「健康」。そこで、企業への産業医サポートサービスを手掛ける株式会社エムステージとのコラボ企画を始動。同社から3人の産業医の先生をご紹介して頂き、「働く人の健康」についてインタビューを実施。

2人目の今回は、会社員を経て産業医を志し、現在は6社の企業で産業医を務める尾林 誉史先生に「働く人の健康とメンタルヘルス対策」をテーマに、エムステージ広報の関矢 瑞季さんと共にお話を伺ってきました。
「健康に害を及ぼすストレスの3要素」や「メンタル不調に陥りやすい人の特徴」、「メンタル不調のサイン」、「すぐにでもできるメンタルヘルス対策のポイント」などなど教えていただきました!

第1回
仕事が原因で病気にかかりやすい人と病気にかかる3つの原因
第2回
国と企業、それぞれが取る労働者の健康対策とは?
第3回
企業が取るべきメンタルヘルス対策と産業医の活用事例 ── 産業医 山越 志保先生
第4回
“ある3つのコト”を改善すればメンタル不調が解決する!? ── 産業医 尾林 誉史先生
第5回
働く女性の“メンタルヘルス対策“とは? ── たわらクリニック東京 後藤 牧子先生

尾林 誉史(おばやし たかふみ)

会社員であった 2006 年に産業医を志し、2007 年、弘前大学医学部 3 年次学士編入。2013 年、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局。 同時期に、精神科の後期研修を岡崎祐士先生(前・東京都立松沢病院院長)のもとで行うべく、 長崎市にある医療法人厚生会道ノ尾病院に赴任。 主に東京に本社のある企業 6 社の産業医も務めている。

インタビュアー 関矢 瑞季(せきや みずき)

株式会社エムステージ 広報・人事担当。 慶應義塾大学を卒業後、子供服会社・出版社を経て現職。2017年6月に入社後広報部門の立ち上げを行い、10月より人事を兼任。医師の働き方から日本の医療問題、そして企業での健康的な働き方まで情報発信を行っている。

働く人の健康に害を及ぼすストレスの3要素

関矢 瑞季(以下、関矢):メンタルヘルスケアは企業側がどう対策していくかという話はよく耳にしますが、個人がどう向き合っていくのかという話はあまり耳にしないように感じます。
そこで、元リクルート出身で社会人経験のある尾林先生に、働く人の健康への向き合い方について教えて頂きたいと思っております。

尾林 誉史先生(以下、尾林先生):働く人の健康といえば、「長時間労働」が大きなキーワードになってきますが、メンタルを崩す理由は長時間労働以外に大きく2つあると思っています。

1つ目は「働きがい」。携わっている仕事、与えられた業務・ミッションに対してどれだけやりがいを持って仕事に取り組めているか。
2つ目に「周囲の支援」。何かあった時に話を聞いてくてる人がいたり、相談しやすい環境なのか、仕事の依頼がしやすい環境なのか。

長時間労働が体に悪影響であることは間違いないです。ただ、残業がない月でも、仕事のやりがいがなくてモチベーションが上がらない、周りの人に相談しにくい、仕事の依頼が難しいなどがあると早々に体調を崩されてしまう方もいます。
なので、「長時間労働」「働きがい」「周囲の支援」この3つのトータルでメンタルヘルスケアを考えていかないといけないです。

関矢:長時間労働は「今日も遅くまで仕事してるな」と表面化しやすいですよね。でも、働きがいや周囲の支援は把握しにくいと思うのですが…。

尾林先生:そうなんですよね。企業さんによっては2ヵ月連続で残業時間が45時間を越えた方は強制的に産業医面談をおこなっています。
しかし、そこで浮かび上がってこない一見元気な方たちとの面談を設定することで気づけることもあります。例えば、仕事に対する不全感を持っている方。この不全感を放置した状態で長時間労働も加わればメンタルが崩れてしまうだろうな…と顕在化していなかった事例があります。

面談のフィードバックを受けた人事・労務側やマネジメント側も「そうだったの!?気づいてなかった」となることがあるので、できるだけ全員と面談するように僕自身は心掛けています。

メンタルを崩しやすい人の特徴、職種、環境

関矢:メンタルを崩しやすい人はどのような傾向があるのでしょうか?

尾林先生:生真面目で他の人に頼るのが苦手だったり自分一人で抱え込んでしまう方はメンタルを崩しやすく、従来型のうつ病になりやすい感覚があります
最近では、新型うつ病が流行ってますけど、彼らの特徴は他責的で職場にいる時はつらそうだけど、休みに入ると元気!という方。新型うつ病の方は会社のネガキャン(※)をする方が多いので目立つのですが、数としては少ないです。

生真面目な方ほど、先ほどお話した「長時間労働」「働きがい」「周囲の支援」この3要素のうちどこか1つでも顕著に欠けているとつらくなってしまいます。また、万が一休職してしてしまうと復職しにくい傾向もあります。

(※)ネガキャンとは…ネガティブキャンペーンの略。対立する人や商品、企業などに対して否定的な情報を流し、イメージダウンを図ること。

関矢:そういったメンタルを崩しやすい方や、3要素の問題を抱えている方はどのような職種に多く見られるかなど特徴はありますか?

尾林先生:「長時間労働」が多いのは納期があって作業量も多い制作系の職種ですね。僕自身、web制作系の会社さんを担当していることが多いので、それを踏まえると、デスクワーク、黙々とプログラミングをしている・ひたすらバグを見つけるエンジニアや、クライアントの要望に応えて何度も作り直すデザイナーとかですね。

「働きがい」「周囲の支援」に関しては職場環境の問題になってくるので、職種の特徴はあまりないです。

関矢:なるほど。「働きがい」「周囲の支援」に関しては、職場環境の問題とのことですが、どのような職場に問題が見られるのでしょうか?

尾林先生:そうですね。「働きがい」「周囲の支援」は個人のスキルや職種の問題ではありません。上職の方たちが健康で働かなきゃダメだと理解している職場環境は、安心して働いている方が多いです。忙しいけど何か問題が起こった時に守ってくれる、日頃から気にかけてもらえるかは働く人の支えになります。
一方、「業務は個人で頑張れ、進捗は確認するけど健康面は知らん」みたいな環境だと会社に不信感を持ってメンタルを崩してしまうケースが多いように思います。
相互不信に陥る組織構造や、会社・社員の健康やメンタルに対する意識の低さが大きいです。

メンタルを崩した時の主な症状

関矢:メンタルを崩した時に一番多い症状を教えてください。

尾林先生:挙げたらキリがないのですが、特に多いのは耳鳴りやめまい、頭痛ですね。人によっては風邪のような症状が出ることもありますし、女性は膀胱炎になりやすかったり、ホルモンバランスが乱れて生理不順や生理が重くなったりすることがあります。

関矢:元気に仕事していたとしても、身体症状が出たらアラートだと思った方が良いということですか?

尾林先生:はい。たまたま症状が出るワケではなく、体が正直に疲れてるよと言ってるのです。それを自分が理解してあげることが大事ですね。理解せずに放置してしまうと、結果うつ病などの精神疾患に繋がります。

関矢:うつ病になった結果、最悪の場合は過労自殺をしてしまう人もいるってことですよね…。

尾林先生:ニュースで見る過労自殺の事件もそうですよね。自殺に至るのは相当程度のことですが、実はうつ病になった方はどなたでも起こり得ることなんです。
長時間労働で、相当やりたくない仕事を強いられて、周囲にも相談できなかったという3要素と、さらに生真面目な性格が合わさった時に最悪の事態を引き起こす可能性がありますね。

メンタル不調の症状が出てしまった場合の対応

関矢:メンタル問題から体調不良になってしまった場合、原因から一旦離れたり、原因が改善されてしまえば、症状は治まるものなんですか?

尾林先生:メンタル問題から引き起こす病気は、大きく分けて「適応障害」と「うつ病」の2種類あります。
「適応障害」は分かりやすいストレス因子があって、そこから避難させてあげると症状が治まります。例えば、ストレス因子が長時間労働なら、長時間労働をやめると比較的速やかに治まるケースが多いです。
一方「うつ病」やうつ病の前段階の症状は、「絶対にこれ!」というストレス因子が不明瞭なのが特徴ですね。その方の性格・気質や3要素が欠けているなどトータルで症状が出ているのであれば、長時間労働が問題であるとしても、それを改善したところで症状は底を打つまで悪くなっていきます。
なので、ストレス因子から逃れる工夫をしても少しずつ症状が悪くなっている方には、クリニックの受診をすぐに進めますね。
明らかに適応障害であれば、逆にクリニックの受診は進めないです。

関矢:万が一、うつ病になってしまって、休職したりクリニックに通うことになったりした場合、復職しにくい・転職しにくいとか不安に思う人もいると思うのですが、実際はどうなのでしょうか…?

尾林先生:そんなことはないです。キャリアに傷がつくこともありません。うつ病と診断されてクリニックに通った履歴は本人の歴史に残ったとしても、それを履歴書に書かないといけないなんてことはないですから。
それこそ、明らかにうつ病を抱えているのに、無理して転職・復職して、結局倒れることの方が本人もキツイですし、周りにも迷惑が掛かってしまいますよね。
「うつ病 = キャリアに傷がつく」といった間違った思い込みをせず、健康な状態で転職するなり、パフォーマンスを戻すなりすることが大切なんだよと僕自身、地道に伝えるようにしてます。

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第1回
仕事が原因で病気にかかりやすい人と病気にかかる3つの原因
第2回
国と企業、それぞれが取る労働者の健康対策とは?
第3回
企業が取るべきメンタルヘルス対策と産業医の活用事例 ── 産業医 山越 志保先生
第4回
“ある3つのコト”を改善すればメンタル不調が解決する!? ── 産業医 尾林 誉史先生
第5回
働く女性の“メンタルヘルス対策“とは? ── たわらクリニック東京 後藤 牧子先生
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