企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと

企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと

企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと

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『働き方改革の行方〜日本企業の働き方は今後どう変わっていくのか〜』と題して行われた、株式会社サムライインキュベート主催のイベント。

前回に引き続き、ここでは「働き方改革」を進められている4社の取り組みについて、登壇者の方々のお話を中心にたっぷりと紹介していきます!

第1回
元マイクロソフト越川氏が語る「成果」と「幸せ」を両立する働き方
第2回
企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと
第3回
「幸せ」と向き合えば自然とアップデートする。「本質」から紐解いた、5つの働き方改革

【登壇企業一覧】
・株式会社サムライインキュベート
・ヤフー株式会社
・株式会社リクルートホールディングス
・ポート株式会社

社員の生き方を尊重し、会社側が寄り添い「仕組み化」していく ──  株式会社サムライインキュベート 池上隼人

池上 隼人(いけがみ はやと)
株式会社サムライインキュベート執行役員COO 。2006年に新卒として株式会社ECナビ(現VOYAGE GROUP)に入社。2008年にはサムライインキュベートに創業メンバーとして参画。以降、新規事業責任者や事業売却、経理、人事業務などのバックオフィス業務を務める。2012年より現職へ。事業戦略や組織作りに従事。

「働き方改革」は経営者が第一優先で取り組むべき

2008年3月に創業メンバーの1人として、サムライインキュベートに参画された池上さん。冒頭では創業当時の自身の働き方について語られました。

池上さんは当時、寝る間を惜しんで仕事に向き合う日々を過ごした結果、創業後1年が経過した頃に体調を崩してしまいます。この時の経験こそが自身の働き方を見直す大きな機会になりました。

池上隼人(以下、池上):この経験こそが私にとっては「働き方の改革」ですね。今サムライインキュベートで実現できているような働き方、制度・仕組みを作るきっかけになったのは間違いなくこの時期でした。


その経験が原動力となり、同社でCOOを務める現在は、自社の「働き方改革」推進に注力されています。

個人の生き方に会社が寄り添う

現在、サムライインキュベートで実践している取り組みについて、池上さんが述べられた中で印象的だったのが、個人が実現したい生き方に合った働き方ができるように、リモートワークを推奨するなど、お互いにとことん話し合って働き方を整えていくという同社の方針です。

具体例として挙げられたのが、昨年入社された女性メンバーのエピソード。その方は、現在子育てをしながら仕事をされているため、雨の日であっても子どもを保育園へ連れて行かなければなりません。

子どもを預けた後は、濡れた雨具や長靴を鞄に入れ、電車に乗って1時間〜1時間半の時間を掛けて会社に向かう必要があります。そんな彼女の話を聞いて、会社としてリモートワークを推奨しているからこそ、池上さんは「雨の日は自宅で仕事をしてもいい」という認識を共有することにしました。

会社全体としてそういったルールはありませんが、子育てをしながら働きたいという社員の生き方を尊重し、会社側が寄り添い「仕組み化」していく。そんな同社の方針を表す象徴的なエピソードが語られました。

サムライインキュベートが考える「完全結果主義」

最後に、当日紹介された「完全結果主義」について。一見ドライな印象を与えかねないこの言葉については、次のように補足されました。

池上:「完全結果主義」については、結果を出すということに関して、本人と評価者、経営陣、私を含めたメンバーがしっかりとサポートをしていきます。そのため、結果が出ないからといって、「勤務時間に決まりを作りましょう」「出退勤も制限しましょう」という話にはなりません

あくまでも、これは「決まりなし」「出退勤も自由」という前提の中でどうやったら結果を出していけるかという点にこだわっています。どうやったらその人が仕事と自分の人生を上手く設計していけるのかということを一緒になって考え、結果を出せるような環境を整えています。

3つの観点から社内の働き方を“アップデート” ── ヤフー株式会社 湯川高康

湯川 高康(ゆかわ たかやす)
ピープル・デベロップメント戦略本部本部長。1992年全日空エンタプライズ株式会社入社。2003年5月ヤフー株式会社に転職。採用、制度企画・運用、労務など人事全般を経験。2014年4月より現職。


サービス開始から20年が経過したヤフー株式会社。同社の社員数は2016年12月31日時点で5,794人に及んでいます。

その増えた人数に対応するため、2014年には湯川さん指揮の下、本社移転のプロジェクトが立ち上がりました。同社の移転プロジェクトでは純粋に「人が移る」というだけではなく、同時に社内の働き方を“アップデート”することを目的に、次の3つの観点から「働き方改革」に取り組まれてきました。

1. グッドコンディション

<主な取り組み内容>
・CCO(チーフ・コンディショニング・オフィサー)の新任
・社員の健康を食から支える社内レストラン(業績連動型)
・社内クリニック
・マッサージ施設
・自転車通勤(健康増進)
・新幹線通勤(痛勤からの開放、社会問題への対応)
・サテライトオフィス ・・・など


この「グッド・コンディション」を実現する上で最も大きかったと語られたのが、社長自らが兼任で就任されたCCO(Chief Conditioning Officer)という役職を設けたことだと湯川さんは言います。

通常、社員の健康を考える役職といえば、「CHO(Chief Health Officer)」という肩書きが一般的です。そこをあえて、同社では「CCO」という肩書きにこだわりました。

湯川高康(以下、湯川):Chief Health Officerですと、マイナスをゼロにするというイメージがあります。我々も当然マイナスはゼロにしますが、ゼロからさらにプラスの効果を生み出していきたい。そんな想いから、Chief Conditioning Officerとして推進してきました。

2.オープン・コラボレーション

<主な取り組み内容>
・全館フリーアドレス(部門を越えた情報の交差点)
・コワーキングエリア(社内と社外を繋ぐ縁側)
・どこでもオフィス(月5日/場所に縛られない働き方)
・モトヤフ(OBOGとの新しい関係)
・スポンサーシップ制(ダイバーシティ推進)


「オープンコラボレーション」の取り組みで特に話題になったが、コワーキングエリア『LODGE』の一般開放です。

(Fledge編集部も以前にお邪魔させていただきました⇒Yahoo!JAPANのコワーキングスペース『LODGE』に潜入してみた!

湯川:一般的なオフィスというと、セキュリティの兼ね合いもあり、社外の人は誰も入れませんとなりがちですよね。そうではなく、社外の人も気軽に来れて、社内の人と交流しながらコラボレーションが生まれる、まさに「縁側」のような機能を作りたいと考えました。そのため、セキュリティ担当ともギリギリまで調整を行った結果、みなさんにもご利用いただける場として開放することができました。

3.ハッカブル

<主な取り組み内容>
・未完成感を演出したオフィス
・常に挑戦者


「改造ができる、未完成である」といった意味合いをもつ「ハッカブル」という言葉。インターネット業界自体が未完成であり、会社としても現状に満足してはいけないというメッセージが込められ、オフィスにも所々に視覚的な“未完成感”が演出されています。

未完成感を演出するために、現在も残っている移転時の図面の一部

強気の姿勢により、社内を巻き込み「働き方改革」を断行 ── 株式会社リクルートホールディングス 林宏昌

林 宏昌(はやし ひろまさ)
株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進部エバンジェリスト。2005年に当時の株式会社リクルートへ入社。2008年、2009年には全社営業表彰『TOP GUN AWARD』を受賞。その後、経営企画室社長秘書、経営企画室長、広報ブランド推進室長兼働き方変革プロジェクトリーダー、働き方変革推進室長へと役割を変え、2017年4月より現役職に就任。

「働き方改革」の肝は「個」の可能性の最大化

リクルートホールディングスが1年半ほど取り組んでいる「働き方改革」の根幹には「人」の存在があると林さんは語ります。そしてそれは同社が掲げる「ミッション(目指す姿)」「ウェイ(大切にする考え方)」にも表れています。

ミッション(目指す姿)

私たちは、新しい価値の創造を通じ、
社会からの期待に応え、
一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。

個の尊重

私たちは、個人の存在を尊重する。
従業員一人ひとりの意志と可能性に期待し
お互いを尊重し合い、
その持てるエネルギーが
最大限発揮されるよう支援する。

経営理念 | リクルートホールディングス - Recruit Holdings より

この従業員一人ひとりの可能性を最大限に発揮させるために、いかに多様性をイノベーションに変えていく仕組みを作るか、それこそが同社の「働き方改革」の全体像だと述べられました。

その上で、同社が「働き方改革」として実際に取り組まれてきた内容が以下のスライドにまとめられています。

週に3日以上のリモートワークをルール化した実証実験

同社ではこれまでにも、育児や介護を理由に在宅勤務を行っている従業員がいましたが、思ったように浸透してこなかったという過去の経験がありました。

例えば10人のグループのうち9人がオフィス勤務、1人だけ在宅といった状況の場合、情報に格差が生まれる上に、自分のためだけにテレビ会議を設定してもらっているという心理状態に陥ってしまい、そうなるとオフィス側の人に迷惑がかかってしまうのは申し訳ないということで、継続を断念してしまう従業員が多かったのだといいます。

そういった結果を踏まえ、同社では、実証実験の段階では意図的に「オフィスにいる従業員が少数派」になる状況を作りあげました

当然、この大胆な施策に関しては、社内でも賛成派と反対派に二分されることになります。しかし、林さんは反対派の従業員にこそ実際に体験してもらうべきだと考え、実践する中で不安やリスクだと感じる点をすべて意見として挙げてもらうことにしました。

逆にそういった意見が挙げられないのであれば、継続するという強気の姿勢を貫いたことによって、林さんは着実に社内での取り組みを進められてきたのだといいます。

林宏昌:僕らがリモートワークが正しいかどうかを実証するので、反対派の方は実際に取り組んだ上で、意見を出し合ったり見直ししたりしてくださいというスタンスで周囲を巻き込んできました。それによって社内全体が働き方を変えることに真摯に取り組むようになり、次第に一体感が生まれるようにもなりました。

各部署で個別に働きやすい仕組みを整える「部分最適」を実行 ── ポート株式会社 丸山侑佑

丸山 侑佑(まるやま ゆうすけ)
取締役副社長COO。大学卒業後、組織人事コンサルティング会社に就職。2013年1月にポート株式会社に転職し、同年3月取締役COO、2015年6月に取締役副社長COOに就任。就任以来、一貫して自社の人事責任者として採用、教育、労務の管掌をする傍ら、企業向けの採用支援事業を統括。

職種が多岐にわたるがゆえに辿りついた「部分最適」

ポート株式会社は従業員数が150名ほどの会社で、以下の4つを事業の柱としています。

1.企業向けの採用支援事業
2.インターネットメディア事業
3.ICT技術活用したメディカル事業
4.地域の働き方を変えていく地方創生事業


それぞれの事業については、あまり関連性が高くないこともあり、事業ごと配置されている職種のレパートリーは多岐に渡ります。

例えば、セールス、エンジニア、デザイナーといった定番の職種に始まり、マーケッター、エディター、Webディレクター。さらにコンサルタント、キャリアアドバイザーといった職種に加え、メディカル事業を行っているため、ドクター、ナース、薬剤師といった社員も含まれます。

それぞれ職種によって働き方が全く異なることもあり、同社では会社で一律の制度を設けることはせずに、各部署で個別に働きやすい仕組みを整えていくという「部分最適」の方針を取られています。

サテライトオフィス開設で学んだ「どこで働くか」の重要性

同社は2016年4月より、IT企業としては初めて宮崎県日南市にサテライトオフィスを開設しています。そんな同社が現地で人材を募集したところ、地元には無いITの仕事を求めて多くの人たちからの応募があったといいます。

丸山:最初は10人だけ募集したんですね。すると驚くことに、1ヶ月間で300人応募が来ました。これはすごいエネルギーだなと。人は働きたいという欲求がありますが、「どの街で暮らしたいか」というのも非常に重要な要素であるということを感じました。

高い専門性を備えた人材の確保


同社のメディカル事業部に所属する社員の中には、自分のクリニックを持ち、実際に診療を行っているドクターも含まれています。そういったメンバーに関しては、ドクターとして医学を追求していくのと同時に、同社の環境を活用してビジネスを手掛けていきたいという考えを持っています。

そのため、同社への仕事の関わり方としては、時間によって区切るということはせずに、適宜目標設定を行い、どうやって動くのが両方の仕事で最大限に生産性を高められるのかという観点から、細かく話し合いを行っているといいます

もちろん、両方の仕事で最適なバランスというのは日々変化するということもあり、実際に管理していく上では非常に手間がかかるという本音も聞かれました。

その一方で、会社としてはいかに高い専門性を備えた人材を確保するかという点については最重要事項だと捉えているため、そういった人材と会社がどう共存していくか、日々試行錯誤を重ねながら検証を進めている段階にあるのだと述べられました。

まとめ


最後に、ヤフー株式会社の湯川さんが述べられていた「会社と社員の関係性」についての言葉を紹介したいと思います。

湯川:当然会社ですから、ちゃんと利益を追求していかないと立ち行かなくなります。と、同時に利益を上げるだけじゃなく、ちゃんと社員の幸せにもコミットしていくかが重要です。極論すれば「利益が2倍になったら、社員の幸せも2倍にしていく」というイメージです。

関係性でいえば、主従関係ではなく「イコールパートナー」。会社も働き方改革を進めますが、社員のあなた自身もしっかり責任を果たしてくださいよと。ここがしっかりできていないと、結局は「楽しい、楽、以上」で終わってしまいます。

やはりそうではなく、「イコールパートナー」としての関係の中で、会社としてはしっかりと社員の才能を解き放って、社会に貢献していきたい。その中で「働き方改革」をしっかりと実現し、弊社が掲げている『UPDATE働き方』を成功させたいと考えております。


各所で「働き方改革」が叫ばれる中、企業には柔軟な制度と社員一人ひとりに向き合う気概が求められ、そこで働く社員にはそれに相応する「覚悟」と「責任」が求められます。会社と社員、その両者が歩み寄ることこそが、各社の「働き方改革」を実現する上での重要なポイントだということは間違いなさそうです。

さて、次回はこの後に行われた白熱のパネルディスカッションの模様をお届けします!こちらもお楽しみに!! 

(※記事内で使用している画像は、登壇された方々より共有いただいた資料から抜粋しています。)

第1回
元マイクロソフト越川氏が語る「成果」と「幸せ」を両立する働き方
第2回
企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと
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