元マイクロソフト越川氏が語る「成果」と「幸せ」を両立する働き方

元マイクロソフト越川氏が語る「成果」と「幸せ」を両立する働き方

『働き方改革の行方〜日本企業の働き方は今後どう変わっていくのか〜』と題して行われた、株式会社サムライインキュベート主催のイベント。

そのトップバッターとして登壇されたのが、元マイクロソフト業務執行役員で、現在は株式会社クロスリバー代表取締役社長の越川さん。

各所で叫ばれる「働き方改革」の行方について、日本の現状を踏まえながら企業の経営者、そして現場で働く社員に向けて、自身の経験をもとに熱のこもったお話を展開されました。全社会人、必見です!!

第1回
元マイクロソフト越川氏が語る「成果」と「幸せ」を両立する働き方
第2回
企業における「働き方改革」の最前線はこれだ!働きやすさを整えるよりも大切なこと
第3回
「幸せ」と向き合えば自然とアップデートする。「本質」から紐解いた、5つの働き方改革05/23up!

越川 慎司(こしかわ しんじ)

株式会社クロスリバー・代表取締役社長。国内大手通信会社、米系通信会社、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米マイクロソフトに入社。11年に渡り、製品の品質向上プロジェクトの責任者CQO(Chief Quality Officer)、Officeビジネス責任者を務める。業務執行役員を務めた後、ワークスタイル変革のコンサルティング会社 株式会社クロスリバーを立ち上げ、代表取締役社長に就任。『新しい働き方-幸せと成果を両立するモダンワークスタイルのすすめ-』(講談社)著。

日本の労働環境が抱える2つの課題

課題1.「労働力の減少」

まず、現状の日本の労働環境が抱える課題として、越川さんが指摘されたのが「労働量の減少」です。日本はこれまで右肩上がりで人口が増え続けてきた「人口ボーナス期」を経て、2009年を境に減少の一途をたどる「人口オーナス期」へと転換しています。

この労働力の減少に歯止めを掛ける役割として、現在、政府が力を入れているのが「育児・介護に関連する法律の整備」「地方創生」そして場所にとらわれずに働くことができる「テレワーク」の推進となります。

課題2.「労働力の質」

続いて越川さんが指摘されたのは、労働の「質」の部分。度々話題になる日本の生産性の低さについては、19年連続先進国の中で最下位であるということに触れ、それが目に見える形で表面化したのが記憶に新しい「長時間労働」の問題だと越川さんは述べられています。

越川 慎司(以下、越川):今、我々は、働けど働けど結果が出ないという非常にクリティカルな「質」の問題を抱えています。だから、量を増やすための働き方改革ではなくて、1人あたり、時間あたりの生産性を高めるための働き方改革をしなければいけないというのがポイントです。

日本企業へ向けた2つの提言

そこで日本企業への提言として挙げられたのが「トップの覚悟」と「現場社員の生産性の向上」。これらの点について、越川さんは前職時代に勤められていた日本マイクロソフト社の取り組みを事例に解説されました。

提言1.トップの覚悟。経営者が現場に自由と責任を与えること

越川:ということで、マイクロソフトは従来の環境スタイルを根本から変えました。管理職も全部ペーパーレスにしました。今日はマイクロソフトの社員としてではないのでキレイには言わないですけど、重要なのは「マインド」と「経営ビジョン」です。

これがないと、特に大企業では「働き方改革」が成功しない。これを全社員でやる。女性、育児、地方に限定することなく、全社員でやる。これが成功パターンです。この成功パターンをやったことによって、数字としても結果が出ました。

越川:では、なぜマイクロソフトが「働き方改革」をやったのか。ズバリ言います。「儲けたいから」です。

1人あたりの売上が26%上がりました。けれど従業員は16年前と比べてむしろ減っています。1年間に売上を26%上げるためには、1人あたりの生産性、質、時間的な効率を高めないといけないことに全員が気づいたんです。経営者が現場に自由と責任を与える、これが成功パターンです。

提言2.労働時間を増やさず生産性を高めよ

・時間生産性を意識して改善を繰り返す

越川:みなさんは労働時間を増やさないでください。常に時間生産性を意識して、振り返って改善、振り返って改善を繰り返してください。これをやると、NHKの番組で取り上げられていたSCSKさんの例で言えば、残業時間が60%も減る。

システムが完成する前にクライアントに出して、途中報告して作る、報告して作る。最後に完成してから改修してくれと言われてしまうと、結局は余計に時間が掛かってしまう。「手戻り」は一番時間の無駄ですから。この手戻りをなくすために、自分の人生においても、しっかり振り返る、進める、振り返る、進める。個人にとっても非常に重要です。


・自分でコントロールできる領域でのスキルアップを図る

越川:これは私の例ですが、自分たちがコントロールできるスキル、コミュニケーション力、交渉力、時間の使い方というのは、いくらでもスキルアップできます。

ただし残念なのは、コントロールできないものがあるということ。図の中の「外円」の部分ですね。コントロールできないもの、例えば社会や上司は変えられません。ここに不満を言っていても何も起こりません。飲み会でストレス発散するのはいいですが、それよりも自分の「内円」を広げるためのスキルアップとは何か、そこを考えてもらいたいなと思います。


・「巻き込み力」を身に着けよ ─ より多くの人・部門を巻き込むと“活躍”できる

越川:では「内円」を広げるための方法の中で、何がオススメかというと「巻き込む力」です。人間、1人で仕事はできません。これはフリーランサーも私みたいなベンチャーも起業家もそうです。もちろん、年間100個のプロジェクトが生まれるマイクロソフトもそうです。

こちらの図の縦軸がプロジェクトに掛かった人数、横軸は自分の組織以外の人とどれくらい関わったかです。

そうすると「営業の人がマーケティングの人を巻き込んだ」「ブラジルの営業マンを巻き込んだ」という具合いに、右に行けば右に行くほど成果が出ているのがわかります。そしてピンクに塗られたところが、社長賞としても物凄い額のボーナスをもらった人たちです(笑)

プロジェクトを増やして、巻き込む組織の数を増やす。これが非常に効果の高い、時間生産性の高い働き方の1つです。

新しい働き方の正体は「時間生産性を高めて、評価と選択肢を得ること」

最後に「働き方改革」というと、何かと制度作りに目が向けられてしまう現状に対して。

越川:制度を作ったって絶対に使われません!制度だけ作って失敗した例は山ほどあります。僕も200社くらい関わりました。制度を作るのは最後。1番目はモラル。そして先ほどの「経営者の覚悟」。そして、ここにいるみなさん1人ひとりの「意識変革」です。

これら3つが揃ってはじめて、制度を整えたりオフィス移転などをすれば、多少成果が出始めるというのが私がやっているコンサルです。ということで、まとめます。意識を変えて、振り返りによってプロセスを変える。時間生産性を高めて、評価と選択肢を得る。これが私の提言する日本企業の新しい働き方です。

いかがでしょう?みなさんの頭の中に、変わりたいという意識が残っているのでしたら私のプレゼンは成功です。ありがとうございました。

「時間内生産性」への意識はこんなところにも

実は今回、越川さんは講演の冒頭で、講演時間として与えられた「20分きっかり」で話し終えることを宣言してスタートされました。そして講演の最後には、手元のPCで表示されている「3秒、2秒、1秒・・」という残り時間を参加者に見せ、当日の参加者たちを沸かせてみせたのでした!

「働き方改革」は手段であって目的ではない。改めて、そう感じさせられる越川さんの講演内容でした。みなさんはどのように感じられましたか?

(※記事内で使用している画像は、当日越川さんが登壇された際に用いた資料より抜粋しています。)

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