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“あの”大手企業が動いた!役職、上司なしの次世代型組織、ホラクラシーへの第一歩

“あの”大手企業が動いた!役職、上司なしの次世代型組織、ホラクラシーへの第一歩

“あの”大手企業が動いた!役職、上司なしの次世代型組織、ホラクラシーへの第一歩

働き方改革の一環として、企業は時短や残業規制など様々な取り組みを行なっています。しかし働く側からすると、表面的なことよりも複雑な手続きをシンプルにするなど、「もっと根本的な部分をなんとかして!」と感じることもあります。

採用や働き方など、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。企業内に今あるルールの多くは何十年も前に作られたため、現況にマッチしないケースも珍しくありません。今後組織として機能するためには、名だたる大企業であっても組織の見直しが求められます。

この記事を読んでいる方の勤務先は、社長、副社長など役職が高い人から順に展開する「ヒエラルキー」の組織が多いと思います。働き方が多様化する中、新しい組織として注目されているのが、役職を撤廃して管理を極力せず、メンバーの自主性に任せた運営をする「ホラクラシー」です。

実はFledgeを運営するえふななでも、そんな「ホラクラシー」を基本とした組織運営をしており、代表の新田がメリットとデメリットについて記事を書いたことがあります。これに対して、誰もが知る大企業、あの「リコー」から「ぜひ詳しく教えてほしい!」とのお問い合わせがありました。

聞けば、グループ会社を含む従業員から4人の若手メンバーが有志で集まり、2018年4月に経営企画センター内に「Fw:D-PT」という新しい部署を設立し、ホラクラシーでの働き方を実証実験しているそうです。詳しい話を伺うべく、Fledge編集部は同社に向かいました。

藤田 力信(ふじた りきのぶ)

リコー関西(現在のリコージャパン)に入社後、大阪で主に大手顧客を対象とした法人営業を担当。新規事業開発部門への異動に伴い上京後は、製造業を対象とした新規事業企画を担当する。既存業務に従事しながら、リコーグループの「2030シナリオ委員会」に参加した後、2018年4月からはFw:D-PTへ異動し、組織づくりに取り組んでいる。

蒔田 望(まきた のぞみ)

東北リコー(現在のリコーインダストリー)入社後、宮城県内でコピー機の部品事業における方針管理・テーマ推進を担当。2030シナリオ委員会に参加のため上京し、2018年4月からはFw:D-PTへ異動。現在は、組織づくりに取り組んでいる。

個人が台頭する時代に合う組織づくりを

今回お話を伺った藤田力信さんと蒔田望さんは、2017年6月から半年間にわたって行われた「2030シナリオ委員会」のメンバー。2030年にリコーがどういった働き方を目指すべきかを話し合う中、アウトプットのひとつとして挙がったのが「個の台頭」でした。

若手の有志メンバーが集まり、会社の将来の働き方を議論するとは素晴らしい取り組みですね!「個の台頭」に向かう中、組織はどうあるべきだと考えますか?

藤田:個人の影響力が増すわけですから、当たり前とされてきた役職の上下を思い切って取り払い、もっとフラットな関係性で働ける環境が必要だと思います。

今の組織を見直そうと、「Fw:D-PT(フォワードPT)」が立ち上がったわけですね!グループ名にはどんな想いが込められているのでしょうか?

藤田:Filled With Delightの略で、「2030年の時間が、ハッピーよりももっと強い喜びでいっぱいの時間になるように」と願いを込めました。Fw:Dは、笑顔の顔文字である「:D」と、「Fw」(前に進む)を合わせ、「笑顔を広めながら前進する」ことを表しています。

質問に笑顔で答えられる姿を見て、グループ名に込めた想いを感じます。ただ、リコーさんのように規模が大きい企業だと、組織のあり方を変えるのは容易じゃない気がします。立ち上げに際して、社内から抵抗があったのでは…? 

蒔田:立ち上げとグループが目指すことを全従業員に向けて社内ブログで発信したのですが、叩かれるのではないかとビクビクしていました。でも実際には応援してくれる人ばかりで、「こんなことをしたいならいい人知っているよ!」と声がけをしてくれる人もいました。

藤田:僕もネガティブな反応を心配していましたが、予想をいい意味で裏切られましたね。「藤田頑張れよ!」「今リコーには必要な動きだよ!」など、好意的な反応であふれていました。2030シナリオ委員会の頃から社内ブログでの発信を続けていましたが、反響は他の記事を大きく上回っており、社員の関心の高さを感じています。

決裁がスムーズで、仕事のストレスが減っていく

組織改革に取り組まれているわけですが、お二人はどんなことに「ここは不便だな」と感じられてきましたか?

藤田:決裁における面倒な手続きですね。何かを提案する際、まず課長、次は部長、事業部長など、承認を得るまでに踏むべきステップが多いんです。

蒔田:それは私も思いますね。提案前に事前の説明を求めれたことがあり、そこに時間を使うことにストレスを感じていました。もっと重要なことに時間を使いたいのに、なぜ提案にここまでエネルギーを費やさないといけないのかと。

煩雑な承認フローだと辛いですよね…。Fw:D-PT内では複雑な手続きはないんですか?

藤田:決裁において、基本的にはリコーのルールに従います。しかし、Fw:D-PT内では状況に応じて柔軟な対応ができます。たとえば、リコーではある金額以上の予算を申請する場合、決裁責任者のハンコをもらわなければなりません。

しかし、比較的少額な予算の申請では、グループのリーダーから許可を得ればよい形に変更しました。これにより、以前に比べて格段に決裁がスムーズになりましたね。

蒔田:こうなると、悩みの種類が変わってくるんです。以前は「いかに提案を通すか」が課題でしたが、決裁プロセスが簡略化されると、「そもそもこの企画を提案するのはなぜか?」と、より本質的なことを意識するようになる。これは大きな変化ですね。

各メンバーの理想が全然違う!チームビルディングの壁

4人はそれぞれの理想を掲げてグループを新設したわけですが、働くことへの価値観が各メンバーで違うなど、様々な壁に直面しているのではないかと思います。何か新しいことを始めたばかりの頃は混乱しませんか?

藤田:おっしゃる通りで、今現在でも4人の理想のすり合わせがグループ内でできていない状態です。全員がシナリオ委員会の参加メンバーとはいえ、チームが違ったため話し合う内容も違いました。人ってこんなにも価値観が違うのかと…。

具体的にどのような点で価値観の違いを感じているのでしょうか?

藤田:たとえば、僕は成果を出すためには、メンバーの方向性や熱量が一致すればいいと考えていて、そこに共感は要らないと思っていました。でも、蒔田は共感こそ重要という考えが強いんです。

蒔田:そうそう。それぞれが大事に思うことの違いを意識せずに話を進めたので、「ん、全く噛み合わないなあ」ってことが多かった(笑)

藤田:「チームがイメージするホラクラシーって何だろう?」って悩んだよね。仕事のペースやアウトプットのタイミングも全然違うし。

蒔田:それに気が付いたのが、4月半ばくらい。「大事にしていることは何?」「シナリオ委員会のチームで何を話してきたの?」と質問し合って、各メンバーが何を大切にしているのかを知るようになりました。

藤田:4月のスタートから現在までは、理想とする働き方を個人で考えてきました。しかし、6月末をめどにチームとしての方向性を定めるつもりです。

メンバー間の理解を深め、チームワークを育てるために工夫していることはありますか?

藤田:ニックネームで呼び合うことで心理的な壁をなくし、リラックスしたコミュニケーションを取れるようにしていますね。もともとリコーでは役職ではなく「さん付け」する文化があります。

僕は名前が力信なので、チーム内ではリッキーと呼ばれています。立ち上げ当初は「潤滑さん」でしたね(笑)

え、潤滑さん?

蒔田:メンバー間の関係をスムーズにする「潤滑油」のような役割だったからですね。

藤田:そうそう(笑)

なるほど!

2020年度に、社外にリコーが描く幸せな働き方を示したい

社内の組織改革に全力を尽くすお二人が、今後実現していきたいことを教えてください。

藤田:そうですね、若い世代に話を聞くことでしょうか。理由は、組織づくりの際のアイデアが出てきそうだから。具体的には、2030年に30歳を迎える、現在大学生くらいの人たちの価値観を聞いてみたいですね。彼らは生まれた時からネットを使うのが当たり前なわけですし、僕らとは生き方や働き方に向ける想いは違うはず。発想も感覚も僕らにないものを持っていると思うんです。

蒔田:私はやってみたいことが2つあります。ひとつは、藤田が話した世代の価値観に加えて、グローバルな視点で物事を考えることです。国によって価値観は様々なので、視野を広く持つためにも、海外にも目を向ける必要があると思っています。私たちが取り組む組織づくりは、国内だけでなく海外も対象にしているんです。

もうひとつは、私たちが目指す上で重要なキーワードである「幸せな働き方」を深掘りすることです。「幸せ」と言っても、定義は人それぞれですよね。お金だけではなく、信頼や人とのつながりといった、従来の価値観とは違う「働く上での幸せ」があると思っています。

最後にチームの目標を教えてください。

藤田:2020年度までに、社外に対してリコーが描く未来のあるべき働き方、幸せな働き方や価値観を提唱することです。

2018年度下期からは、社内で必要なものを検証したうえで、必要なのはツールなのか、それともシステムやアイデアなのか、そこを正しく見極めて、整えていくつもりです。

また、ホラクラシーかどうかはわかりませんが、社内にあるどこかの部署で従来とは違う組織を試験的に取り入れてみたいと思っています。

編集後記

4人の挑戦は始まったばかり。階層が多いので、大企業だと何かを変えるのは難しいかもしれませんが、明確な目標に向かって熱意をもって挑む姿に心が動きました。

立ち上げから日が浅いので、グループ内ではカオスな部分があるものの、集まったのは現在の業務を手放してでも参加したい!という想いがあるメンバーばかり。4人の気持ちがひとつになれば、「幸せだな」と笑顔が増える社内文化を作れるはずです!

Fledge編集部では引き続き同プロジェクトの動向を追っていきます。今後の挑戦については、次回の記事にて。お楽しみに!