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Best Japanese cuisine2018受賞。世界が認めた日本人シェフ──イビサ島・長井玲奈

Best Japanese cuisine2018受賞。世界が認めた日本人シェフ──イビサ島・長井玲奈

Best Japanese cuisine2018受賞。世界が認めた日本人シェフ──イビサ島・長井玲奈

イビサでコーディネーターをされている史江さんに「この島で活躍されている日本人の方をご紹介いただけませんか?」とお願いしたところ、真っ先に名前があがったのが、今回取材させて頂いたNAGAI IBIZAのオーナーシェフを務める長井玲奈さんです。なんでも、ローマでかなり活躍をされていた方だとのこと。どうしてもお会いしたくて、お店にお邪魔して、お話を伺って来ました。

長井 玲奈(ながい れいな)

スペイン バレアレス諸島 イビサ NAGAI IBIZA オーナーシェフ 愛知県名古屋市出身。レストラン経営兼シェフをしていた父親の背中をみて育つ。短期大学を卒業後、プロスノーボーダーを目指し日本と海外を渡り歩く。ある時訪れたタイのパンガン島で、現在の仕事のパートナーであり親友のEleonoraとの出逢いをきっかけに、シェフに転向。タイ・パンガン島のレストランでシェフを務め、軌道に乗せた後にバイアウト。次にローマ・ポンテミルヴィオのレストランMETをイタリアンパートナーと共にオープン。2軒目のローマ・トラステヴェレのレストラン「Somo」は大人気店に。現在はTeam NAGAIを結成し、イビサの店舗「NAGAI IBIZA」を中心に活動をしている。NAGAI IBIZAは「World Luxury Restaurant Awards」を2017年に受賞。インド・グルガオンにも同店を出店。 2018年の今年は、「Best Japanese cuisine all Europe」「Best Asian fusion in worldwide」の2冠を受賞している。

プロスノーボーダーを目指して、海外を渡り歩く日々

イビサにいらっしゃるまでに、タイ、ローマでレストランを経営されていたと伺っています。それまでの経緯を教えてください。

長井 玲奈(以下、長井):タイで27歳の時にレストラン経営にシェフとして参加してから、ローマ、イビサ、インドとずっとオーナー兼シェフとしてやっていますが、昔ははプロのスノーボーダーを目指していたんです。

え!そうなんですか?

長井:はい。短大時代に出会った大事な友人からスノーボードを教えてもらい好きにはなりつつあったのですがそれ以上に。どうしても英語を学びたいとうい気持ちが強く、短大後、名古屋の実家を出て、長野県の白馬に向かいました。その年は長野オリンピックのが開催予定だったので良いチャンスだと思ったんです。そこで海外の方々と英語を使って生活できる環境に自分を置こうと思ったんです。オリンピックボランティアで働いて宿を確保できれば、そこで働いている間は英語も伸びるしスノーボードも毎日を続けられますしね。

白馬に面接を受けに秋に訪れたところ、たまたま自転車を借りたお店のオーナーさんが、海外からの団体20人ほどの英語対応に困っていたので、代わりに対応したんです。英語は喋れるようになりたいと思っていたので、小いい頃から勉強していましたから、ある程度のコミュニケーションは取れたんですね。それを見たオーナーさんから「2日間住み込みで働いてくれないか?」との申し出があったので、もちろん、「是非!」と言って働かせてもらいました。

2日間働かせてもらった後、「一冬、ここで働いて欲しい。」そう言ってくださったので、オリンピックの開催期間と夏まではそこでお世話になり、住み込みで働きながらその間にもちろん好きなボードにものめり込んでいきました。

それからというもの、夏の間は派遣の仕事をし、冬になると雪山に。そんな生活を続けながらプロのスノーボーダーを目指していました。

ところがある大会で、背骨を骨折する大怪我をしてしまったんですね。4ヶ月間は寝たきりで、身動きも取れませんでした。

それでも夢を諦めるつもりはなく、ニュージーランドに向かい、その後もカナダやアメリカ、スイス、イタリアと、雪山を求めてはいろんな国に行きましたね。

偶然が重なってたどり着いた、シェフの道

タイにはいつ行かれたのですか?

長井:2004年の夏です。基本的に夏の間は日本に帰って仕事をしていたんですが、その年はロンドンの会社がバンコクでスタッフを募集していたので、その面接のためバンコクに滞在していたのですがその内定までに時間があったのでパンガン島に遊びに行ったんです。その間に友人を介して知り合ったのが、今のパートナーであるEleonoraでした。

はじめはお友達だったんですね。

長井:そうそう。知り合った時には、彼女はもうタイのパンガン島でレストラン経営をしていました。それがある日突然、「シェフが休んでしまったからお店を手伝って欲しい。」と彼女が私のところに来たんです。次の仕事が始まっていなくて時間があった私は「いいよ。」と言って、その日限りのシェフをやりました。

突然のシェフ、そう簡単にできるものではないですよね。

長井:実は、私の実家はレストラン経営をしているんです。父がシェフもやっていましたから、小さい頃からいつも店にいて、家でも父と料理をするのが大好きだったんです。。市場にも朝4時からいつも連れてってもらってました。だから自然と料理もできるようになっていましたし、料理自体も好きでした。その光景が頭に染み付いている私は、シェフという仕事に全く抵抗はありませんでしたね。

その日は無事にシェフを終え、ゆったりしたタイの時間を過ごしていた数日後、またEleonoraが私のとところにやってきます。

今度は、「私のお店で一緒に働いて欲しい。」と言うんです。さすがにそれはすぐに断りました。友人関係がうまくいっていても仕事でうまくいくとは限らないし、どちらかと言えば、それはしたくなかった。

でも今、一緒にいらっしゃるということは・・・

長井:そう。そのあと彼女に言われた一言で考えさせられたんです。

「レイナ、もうそろそろ雇われるのではなく自分のために何か始める時期なんじゃない?せっかく出逢ったのだから私達なら素晴らしいものを創り上げることができる」って。

確かにそうだよなって。そこで3ヶ月島の生活に慣れ、シェフとして仕事をしながら考える時間をもらいました。怪我以降、思うようにスノーボードができていないし、体力的な問題もそろそろ出てくる。将来のことを考えなくてはいけない。もっとクリエイティビティなことをやろう。そう思ってこれまでの生活を終えてシェフとしてビジネスオーナーとしてやっていく決断をしました。

それが27歳の時です。

シェフとして大きく羽ばたいた新天地、ローマ

Eleonoraさんとは仕事でもいい関係が構築できたんですね。

長井:そうですね。2人でやることで2倍ではなく何倍もの仕事をクリエイトできるんです。とても信頼できる人ですし、、いい役割分担ができていたと思います。そうやって、それぞれが役割を持つというスタイルは今も変わっていません。

タイのお店が順調に進んで行った頃、ローマへの出店依頼があったんです。私たちが
お店をやっていたのはタイのパンガン島という島で、イタリアでは夏の休暇場所として有名でしたから、イタリア人のお客様がたくさんいらっしゃったんです。そしてEleonoraの出身地もイタリアでしたから、ローマに出店するというのは自然な流れだったかもしれませんね。

こちらも同じく、メニューやキッチン、内装まで任してもらうという条件で、ローマへの出店をすすめました。シェフとして自分の名前が出る以上、絶対に納得のいくものを作りたいじゃないですか。

そして2006年。まず1軒目、ローマのポンテミルヴィオという場所にイタリアンキッチンとコラボでオープンし、ローマとタイを往き来する日々を経て、2008年には同じくローマのトラステヴェレに2軒目のNAGAIと同じコンセプトの店をオープンしました。その後、2009年にタイのレストランをバイアウトし、ローマに完全に拠点を移しました。

ローマでかなり活躍されていたと伺っています。

長井:ありがたいことに、お店には毎日たくさんの方が来てくださいましたね。通常のディナーの時間の後、夜になると音楽と一緒にお酒を楽しめる時間を作ったり、新しい取り組みもどんどんやっていきました。ジョージクルーニやクリティーナ・アギュレラなどの著名人の方も多く来てくださるようなお店になって、恥ずかしながらテレビや新聞にもよく出ていましたね。シェフとして自分のスタイルが確立できたのも、ローマだったと思います。

「Team NAGAI」の結成

その後、イビサという流れになるんですね。なぜまた、ローマという大都会から、地中海の小さな島イビサへ?

長井:きっかけはとても単純で、Eleonoraが「イビサという島をビジネスの観点で見てみたい」そう言って、彼女が先にイビサ入りしたんです。そして彼女がこの地を気に入ったので、私もここに視察旅行に来てみました。そこで、この島の雰囲気や気候が私もとても気に入り、じゃあここでやってみようということになったのです。もうその頃には、ローマのお店は任せられる状態になっていましたから、ちょうど良いタイミングでもありました。


▲NAGAI IBIZAの店内(facebookページより)

このお店は、築250年以上の古民家「フィンカ」を改装しています。イビサは地震も台風もないので、こういった古民家がまだ綺麗な状態で残っているんですよね。ここを初めて見た時に、自分たちのレストランのイメージが一気に湧いてきて、すぐにここに決めました。

Eleonoraと私に加えて、Eleonoraのお兄さんで内装などを手がける職人でありミュージシャンであるLuigi、そしてイビザ育ちで7ヶ国語を操るマーケティング担当のMelchiorも加わって、4人体制での「Team NAGAI」が出来上がりました。そしてLuigiを筆頭に、私たちが全て内装を施した、手作りのお店です。

自分の頭の中でイメージを描けるかどうか

タイ、ローマ、イビサ、今度はインド。何か決断をするときに、どうやって決めていらっしゃるんですか?

長井:私はいつも、自分の頭の中でイメージを描けるかどうか、これを基準にしています。スポーツの世界では、よくイメージトレーニングが大事だというでしょう?私はスノーボードをはじめとしたいろんなスポーツをやっていたおかげで、そのイメトレをするのが習慣になっているんですよ。スポーツをやっていた時も今もそうですが、自分の頭でイメージできたものはその通りカタチになるし、イメージできなかったものはうまくいきませんね。

そして、やると決めたことはとことんやるタイプ、お話を聞いていてそう感じます。

長井:そうですね、自分が納得が行くまではやりきりたいですよね。その目標に向かってがむしゃらに頑張りはするんだけれど、心のドアをいつでも開けておくこれが結構大事かもしれません。

これまでずっと、人とのご縁をきっかけに新しい道に進んでこられていますものね。

長井:そうですね。そうやってチャンスがきた時に、自分はこうだからって心を閉ざしていたら今の私の人生は違う方向に進んでいたと思います。

世界中どこにいても「帰りたい」と思わせてくれる場所、イビサ


▲青とオレンジのグラデーションに包まれる、イビサの夕暮れ

イビサはオンシーズンとオフシーズンあると思うのですが、どういった過ごし方をされるんですか?

長井:イビサは年間を通して本当に過ごしやすい気候なんです。12月でも昼間は半袖で過ごせるので、夏の時期だけではなくて年末年始にも多くの人がこの島にやってきます。お店は1月頃から春になるまでお休みをして、みんな旅に出るんです。

旅の間は、実家に帰ったり好きな場所に行ったり、思い思いに過ごすんですが、旅の途中でいい場所を見つけたら、そこでみんなで合流することもあります。旅に出てたくさんの刺激とインスピレーションを受けて帰ってくる。そうやって旅で得たものをまた仕事に活かすんです。
私は今までいろんな場所に行きましたし、住んでもいますが、旅から帰る時「帰りたくない」ではなく「帰りたい!」って思わせてくれる場所が、ここ、イビサなんです。

そうなんですね。それはなぜだと思いますか?

さっきも言ったように、気候も素晴らしく環境もいい。あと、こんなにもたくさんのバラエティーにあふれた人々に恵まれた所ってそんなにはないと思います。だからこそ、自分にとって大事なことは何かわからない人にとってみれば、流されて疲れてしまう場所だと思います。私にとっては、自分自身をいつもニュートラルにしてくれる場所、それがイビサです。