制度整備の前に、柔軟な働き方ができる風土づくりを ── 株式会社ノヴィータ

制度整備の前に、柔軟な働き方ができる風土づくりを ── 株式会社ノヴィータ

制度整備の前に、柔軟な働き方ができる風土づくりを ── 株式会社ノヴィータ

このエントリーをはてなブックマークに追加

今回取材に訪れたのは、イタリア語で「斬新」を意味する「株式会社ノヴィータ」。働くパパとママに向けた情報メディア「LAXIC(ラシク)」や「BRAVA(ブラーバ)」などを運営するWEB制作会社です。

前編では、代表取締役社長の三好さんが女性の働きやすい環境づくりをしようとしたきっかけや、ご自身が率先して子連れ出勤を行いロールモデルになった様子をご紹介しました。後編では、同社の女性社員がイキイキと働けるワケや、日本全体として女性が直面する働き方の課題などについてのお話を伺います。

第1回
社長自ら子連れ出勤を実施!仕事と育児を両立させる働き方 ── 株式会社ノヴィータ
第2回
制度整備の前に、柔軟な働き方ができる風土づくりを ── 株式会社ノヴィータ

三好 怜子(みよし れいこ)

株式会社ノヴィータ 代表取締役社長 広島県出身。お茶の水女子大学文教育学部在学当時に100人の経営者に話を聞き、経営者という働き方に興味を持つ。2005年3月に大学卒業。 2006年、ノヴィータ創業時の立ち上げメンバーとして参画し、WEBディレクターとしてWEB制作の企画営業・進行/品質管理を担当。WEB制作受託営業で常にトップ成績を収める。2010年に取締役に就任し、風通しが良く女性が働きやすい環境への整備を推進、業績拡大に大きく寄与した。 2015年3月に代表取締役社長に就任。

会社と社員は一緒に成長していくもの

社員からの「こういう働き方をしたい」といった要望は、どのように引き出しているのでしょうか?

三好 怜子(以下、三好):週に1〜2度、私が社員と個別でランチに行って話を聞いています。私は「会社と社員は一緒に成長している」と考えていて、経営者として、社員の想いに耳を傾けることを大切にしています。反対に、私がどういう想いで仕事をしているかを社員に伝えることも重要だと思っています。普通、社長って何をしているのか社員はわからないじゃないですか?職種や立場が違っても、想いを伝え合うことで仕事の役に立つかもしれないと思うので。

社長と一対一のランチは緊張しそうですね(苦笑)会話の内容はどんな感じなのでしょうか?

三好:仕事の一環ではありますが、実際は半分オフのような雰囲気です。社員から「今日焼肉に行きたいです」と言われ、「じゃあ行こうか」のような感じです。寄せられる相談も、「出会いがありません」「彼氏が欲しいです」といったフランクな内容もあります(笑)オフィスでは伝えにくいことでも、一対一の会話では言い出せることもありますから。

私自身が出産経験のある一人のワーママということもあるので、自分の体験や感じたことだけでなく、経営者として社員にどうあってほしいかも伝えています。その際には、本人が抱く仕事の継続に対する不安を軽減できるよう心がけています。

そうそう、ちょうど今夜は私の自宅に女性社員を呼んで女子会をするんですよ(笑)

おお、それは楽しそう!

関係性を築き上げて聞いた「リモートワークをしたい」という気持ち

それだけフランクに意思疎通できる関係性があれば、社員も気持ちを伝えやすいですね!ところで、働き方に関する要望などは三好さんに直接挙がってくるものなんでしょうか?

三好:年に2回行うワークショップで、リモートワークをしたいという要望が挙がってきたことがありました。事情で山口県へ引っ越すことになったワーママ社員がいたのですが、退職するかどうかの話になった時、「じゃあリモートワークをやってみよう」ということになりました。転居前に在宅勤務を試験的にやってみて、仕事内容や役割を変えることで就業を継続させています。

私自身も、娘が熱を出した時などは在宅勤務をしますし、男性社員も在宅勤務を希望するケースがあります。社内にはリモートワークの事例はまだ多くはないので、今のところは、希望により個別に対応する形を取っています。
ただ、入社していきなりリモートワークをするのではなく、もともとフルタイムで出社している人が在宅と出社を組み合わせて働くケースが主流です。ある程度自分の仕事内容が決まっている人が行うことが多いですね。

また、ママさんは働く時間に融通がきくことを求めます。なので社員から業務委託へ働く形態を変える人もいます。午前中の早い時間帯など、時間に縛られずに仕事をしたいという要望も挙がっていますね。

でも業務委託になると、任される仕事の重要度が落ちて、やりがいがなくなってしまうというリスクがある気がします。その辺のところはどうでしょうか?

三好:一般的に業務委託というと、特定の仕事しか割り振られないことが多いと思います。しかし弊社では、経営や人事といった重要な仕事もお願いすることがあります。また呼び方も「外注さん」ではなく、「パートナーさん」と言っています。

ご覧の通り弊社のフロアにはフリースペースがありますが、来社したパートナーさんにはここで仕事をしてもらっています。パートナーさんは弊社にとって大きな戦力です。


▲フリースペースでは社員の皆さんがミーティングをしたり、パートナーさんが作業をしています

同じ場所にいないからこそ、気持ちを伝える努力をする

リモートワークや業務委託など、オフィスにいない人たちとのコミュニケーションで注意していることはありますか?

三好:同じ場所にいないので、お互いの認識にズレが生じることはあります。先ほどお話した山口県でリモートワークする社員の場合で言うと、当初は生活や仕事内容の変化で困惑していました。そこで、週に1度の電話ミーティングや、月に2回行う定例の発表会の様子を撮影した動画を送るなどして、今の会社の雰囲気を伝えるよう努めました。

反対にパートナーさんのコミュニケーション能力の高さに驚き、勉強することも多いです。オフィスに一緒にいない分、パートナーさんは意識してオフィスにいる人と意思疎通を取ろうと心がけてくれます。彼女たちはとにかくレスが早い!まるでオフィスにいるかのような感覚を抱くことさえありますよ。

三好さんご自身がリモートワークをしてみて、困ったことはありますか?

三好:会社の空気感がわからず困ったことはあります。それは定期的に出社することで把握に努めました。また、在宅で仕事をすると、娘は私が多少のワガママを聞いてくれると思ったのか、ぐずって仕事が進まず、タイムリーな対応ができなかったことがありました。社内にいないとできない仕事があったのですが、それは必要に応じて権限を他の人に委譲して対応しました。

働きやすい環境を整備することで、社内にどのような変化が起こりましたか?

三好:既婚の女性社員が増えたほか、社員の結婚や出産も増えました。「子どもを産んでも仕事を続けたい」と明言する女性社員も多くなっています

それは素晴らしいことですね!業績にも好影響があったのでしょうか?

三好:働きやすい環境の整備が、業績にどれくらい結びついたかは明確に言えませんが、就業を継続したいという社員は着実に増えています。

弊社では3、4年前から新卒採用をスタートして人材育成に力を入れ始めました。私は「環境整備は投資」だと思っており、その成果が今年もしくは来年に見えてくると自信を持っています。

「働き方改革はママだけのものじゃない」


▲フリースペースの壁には行動指針が書かれています

御社では三好さんの主導で女性が働きやすい環境が整っています。でも社会全体を見ると、まだまだ女性が働きやすいとは言えません。今の女性の働き方の課題は何だと思いますか?

三好:これは単に女性の働き方だけの話ではないと思っています。一般的に「働き方改革」と聞くと、「ママの働き方」に目が向きがちですが、男性も無関係ではありません。

と、言いますと……?

三好:男性が女性かではなく、考え方の問題だととらえています。たとえば結婚後男性の中にも「俺は専業主夫をしたい」「在宅勤務をしたい」と思う人がいてもおかしくないですよね。でも、簡単に言い出せる雰囲気はまだ少ない。

男性は、「男性が稼ぐべき」「男はこうあるべき」という思い込みが少なからずあるのかなと思います。だから自分が働き続けることに疑問を持たない。でもこうした考えを見直さないと、共働きが多い今の社会では女性に負担がかかってきます。男性が外に働きに出ている間、家事や育児をしていたら仕事に時間を割けません。
昔のように「男は外で仕事、女は家で家事育児」という分業の考え方は通用しなくなっています。男性の働き方も柔軟になれば、女性ももっと働きやすくなるのではないでしょうか。

弊社で運営しているWEBメディア「LAXIC(ラシク)」でも、そのような考えを記事にして発信しています。

僕はその意見に賛成なのですが、そうした考えを持つ男性はまだまだ少ないと思います。旦那様はどんな考え方を持った方なんでしょうか?

三好:夫は「家事や育児はできる方がやればいい」と言う考えの人なので助かっています。私は「専業主婦は絶対に無理!」と思っていたので、結婚後も仕事を続けさせてくれるような男性を夫に選んだのかもしれませんね(笑)

柔軟な働き方ができる風土づくりをしたい

相手選びは確かに大切ですね。ところで三好さんが今後やってみたい、興味がある、という働き方はありますか?

三好:フレックス制やワーケーション(旅行先などでの仕事を認めること)には興味があります。以前ハワイに旅行に行った時、現地のホテルから会社のミーティングに参加したことがありましたが、特に問題はありませんでした。

こうした働き方も実際にやってみて、できるようなら社内に取り入れてみたいです。頑張ってくれているメンバーに対し、要望があれば働き方の一つとして、そうした制度を用意したいと考えています。

最後に、現状の課題と今後の展望を教えてください!

三好:今は「こうしたい」と希望する社員に個別に対応している状況なので、誰でも使えるような仕組みにまで落とし込んでいくことが目標です。

リモートワークについても、就業規則に明記するというハード面より、柔軟な働き方が可能な風土作りといったソフト面の整備が足りないと感じています。自分の体験も踏まえ、育休中の社員が復帰時に感じる不安や懸念を軽減できるよう、当事者と周囲の間に立って、双方とコミュニケーションをとっていきたいです。

三好さん、お忙しい中ありがとうございました!

編集後記

終始和やかな雰囲気で、あっという間に取材の時間が過ぎていきました。制度を作ることよりも前例を作ることを重視し、自らが先陣を切って社内の働き方を変えていく三好社長のやり方はとてもかっこいいなと感じました。「こうしなきゃ」と頭でわかっていても、すぐにアクションを起こせる人は、そう多くはないからです。

生後3か月の子どもを持つ筆者にとっても、育児と仕事の両立は人生の大きな課題です。それだけに、「やりづらい部分があれば議論をするよりも、行動して変えていけばいい」という同社の前向きな姿勢は心に響きましたし、自分にあった働き方でイキイキと仕事をする方たちを見て、「素敵な会社だな」と強く感じました。

▼今回お話を伺った企業
株式会社ノヴィータ

 

第1回
社長自ら子連れ出勤を実施!仕事と育児を両立させる働き方 ── 株式会社ノヴィータ
第2回
制度整備の前に、柔軟な働き方ができる風土づくりを ── 株式会社ノヴィータ
この記事をシェアしよう!
TAGS
もっと便利に!

記事のクリップを使ってオリジナルのライブラリを作りましょう。

すでにアカウントをお持ちの方
or

ソーシャルアカウントで登録/ログイン