【SHORT STORIES】これから世界一周が始まるというのに…

【SHORT STORIES】これから世界一周が始まるというのに…

【SHORT STORIES】これから世界一周が始まるというのに…

このエントリーをはてなブックマークに追加

これから夢にまで見た世界一周が始まるっていうのに、なんだか気分がパッとしない。

2017年4月9日。
この日、私は三軒茶屋の病院の待合室にいた。

ハワイとサンディエゴでの語学留学、そしてハワイ島でのフルマラソンを無事に終え、3月25日に帰国してから、早くも2週間が経っていた。

当初の予定では、日本の滞在は一週間程度で4月1日前後には再出国するはずだったが、未だそれができずにいた。

英語力の上達はさて置き、
人生初のフルマラソンは4時間43分でゴールできたし、サンフランシスコやシリコンバレーで刺激的な初の海外取材もできたし、それなりに満足のいく3ヶ月を過ごして帰ってこれたと思っていたのだが。

どうやら、身体はそうもいかなかったようだ。

よくよく考えてみると、なんとも落ち着かない3ヶ月だった。

ハワイに到着してすぐはシェアハウスとドミトリーで過ごし、やっと落ち着いたと思ったホストファミリーの家では予期せぬ事件があり急遽転居。

日本人マザーのいるホストファミリーにお世話になり、楽しいハワイ生活も束の間、一週間足らずでサンフランシスコ、シリコンバレーへ。

シリコンバレーでの取材中はAirbnbで手配した個室で過ごせたが、シェアハウス暮らし。残りの一週間はサンフランシスコのダウンタウンでドミトリー暮らしをした。

シリコンバレー取材の為にトランスファーしたサンディエゴ留学中は、(アメリカへは留学F1ビザを持って入国したため、ハワイの学校に所属したまま取材に行ってしまうと出席日数が足りずにキックアウトされてしまうの。そのため、語学学校のトランスファー手続きをし、そのトランスファー猶予期間を利用して取材に行っていた。)期間があまりにも短いため、宿を探すのも面倒になりドミトリーに滞在していた。

留学期間を終えてオアフ島に戻ったが、ハワイ島のヒロでマラソン大会に出るべく一週間でハワイ島へ移動。

フルマラソン後のエネルギー消費の激しさに驚愕しつつ、その後遺症を抱えたままハワイ島まで遊びに来たかつてのクラスメイトと遊びまわり、極め付けに、ハワイ島からはオアフ島と北京をトランジットしての帰国。

説明があまりにも長くなったが、とにかく疲れていたのだろう。
日本にいればいるほど、私の体調は悪化した。

ずっと張りつめていた緊張が解けたのだと思う。

解けに解けて、「もう海外なんて行きたくねーーー!」って、自分の心の叫びが聞こえてきた。弱気になっていた。

新しい場所は常に新鮮でワクワクした。
その反面、身の回りの安全を確保できるのかそれ以上にドキドキしていたし、無防備に寝てしまうなんてこともできなかった。夜中には何度も目をさますし、満足のいく睡眠がとれていなかったとも思う。

それでも数日を過ごせば、滞在しているのがどんな地域でどんなルームメイトかだんだんとわかってくるので、慣れてくる。リラックスできる時間や過ごし方もわかってくる。

そうやって慣れた頃に、また移動がやってくるのだから、旅をするというのは、楽しいと同じくらい大変なことなのだ。

「移動する」という行為自体が好きな私は、自身のこの展開は予想だにしていなかった。そして自分の弱い部分を身に浸みて感じ、自信すら喪失していた。

* * * * * * 

そうそう、
4月9日の話、ひろみさんに出逢うまでの話をしたかったのだ。

世界一周にこのまま行って楽しめるのだろうか。
いや、今行かなきゃ絶対に後悔する。
そんな思いが、いつも頭の中を堂々巡りしていた。

病院の持合室で名前が呼ばれるのを待っていると、LINEの着信音が鳴った。

画面に目をやると、ハワイ留学時代のクラスメイトであり二軒目のホストファミリーのルームメイトでもあったゆうちゃんからの連絡だった。

みほちゃん、体調はどう?
私、4月21日〜5月7日までテキサスで働く親友のところに遊びに行くことにしたよ♪
予定合えば、ぜひテキサスおいでね♪

ええええええーーー!
ロス入りにしようと思ってたけど、せっかくのタイミングだしテキサス飛んじゃおうかな♪

(航空券をスカイスキャナーでチェック)

航空券の値段、(ロスと)変わらないからテキサス行くね♪

おいでおいでー!
インタビューして、メキシコ国境すぐ近くのテキサスを楽しもうよ♪

そんなこんなで、体調を心配して二の足を踏んでいた世界一周のスタートが、あっさりと決まった。

こうやって、いつも誰かが手を差し伸べてくれる。

* * * * * * 

4月22日、
体調に不安を抱えながらも、勢いに身を任せて、まずはヒューストンに飛んだ。

日本人を見つけようと、ダウンタウンの中をトレイルランニングのザックを背負って走ってみる。・・・が、日本人以前の問題で、人気(ひとけ)の無さに驚愕した。
ほとんどと言っていいほど人が歩いていないのだ。

あまりにもヒューストンという地域が大きすぎて、人が集まるポイントが点在しているようだ。ヒューストンには2日間で見切りをつけて、グレイハウンド(※)のマッカレン行きチケットを手配して、ゆうちゃんとゆうちゃんの親友ひろみさんが待つマッカレンへと向かった。

※グレイハウンド
アメリカの格安長距離バス。バックパッカーの味方。
価格はヒューストンからマッカレンまで$26〜。サンアントニオを経由するため、所要時間は7時間から8時間。電源もwifiも完備されており、途中休憩もあるため、長距離移動とはいえそこまで苦にならない。

 

マッカレンはテキサス州の南端で、メキシコの国境までは目と鼻の先だ。

この街に到着して驚いたことがある。それは、アメリカなのにUber(※)がないということだ。そして、バスなどの公共交通機関すらない。

今までどの街でもUberを頼りにしてきていたので、それはもう、TAXIを呼ぶのにも一苦労である。

※Uber
シリコンバレーで始まった自動車配車サービス。アプリケーション上で乗車位置と目的地を入力するだけで、すぐに近くのドライバーを検索し、迎えに来てくれる便利なサービス。旅の必須アプリ。

 

TAXIを呼べずに困り果てて、
(スパニッシュ英語が全く聞き取れず、もちろんこちらの英語も通じていないという悲しい有様)
Starbucksの店員さんに助けを求めると、その対応をしてくれた女性店員のCJがひろみさんの自宅まで送ってくれた。

「ここ、Lyft(※)ならあるわよ!」と、道中でCJが教えてくれた。
「そうなの?次からはStarbucksに行かずに済むのね(笑)」
「そうそう、よかったわね(笑)」
こうやって、また人の優しさに助けられる。 

こんな素敵な出会いがまた、旅の思い出を彩ってくれる。

※Lyft
Uberと同じ自動車配車サービスの一つ。


* * * * * * 

マッカレンに滞在している間、
ゆうちゃんの優しさがどれだけ心に沁みたことか。
ひろみさん明るさと天真爛漫さに、どれだけ助けられたことか。

「Hi! How are you doing?」と誰とでも明るく挨拶を交わす彼女の周りには、いつも笑顔が溢れている。

彼女たちと過ごした1週間は、私を勇気付け、海外生活の楽しさを再び思い起こさせ、心の底から「やっぱり来てよかった」と思わせてくれた。
そして、背中を押してくれた。

▼ひろみさんへのインタビューはこちら▼
悩んでいるだけでは何も変わらない。とにかく動き続けること、それが新しい人生への近道。 

 

この記事をシェアしよう!
TAGS
もっと便利に!

記事のクリップを使ってオリジナルのライブラリを作りましょう。

すでにアカウントをお持ちの方
or

ソーシャルアカウントで登録/ログイン