タイのチェンマイで、森林浴をしながら自分の心と対話する。
アメリカのマイアミビーチで、ゆったり海を眺めながらブログを更新する。
中国の深センで、最新鋭のITプロダクトに触れてドキドキする。
……旅は、しばし忙しい日常を忘れられる素敵な体験にあふれています。
しかし、旅を日常と全て切り離し、休暇の楽しみで終わらせるだけではない魅力があるのでは?
それが、今回の記事のテーマである旅のある暮らし方「リカレントトラベラー」。
ベストセラーになったリンダ・グラットン著『LIFE SHIFT』でも取り上げられた、人生100年時代の大人の学び直し「リカレント教育」の”教育”を”旅人”に置き換えた、大人の学び旅とも言える取り組みです。 ※完全に筆者の造語です(笑)
ノマドやテレワークのように、旅先で仕事をする働き方のテクニックの話ではなく、自分の心の内面も旅しながら自分らしい生き方のヒントを得る、リカレントトラベラー。
働き盛りのあなたにこそ、このライフスタイルを知ってほしいと思い記事にしました。
松田 然(まつだ もゆる)
東京都出身。10年以上ライターとして活動し4000人以上を取材。個の働き方をアップデートするメディア「SoloPro」編集長や、働き方デザインコーチ、自転車旅ライターとして47都道府県を全て走破するなど、働き方を”実験”して情報発信していくことを生業にしている。
実験してたどり着いた、これからの働き方のヒント
自己紹介が遅れました。自らの働き方を実験している、働き方実験家の松田 然(もゆる)です。
この肩書きを名乗るきっかけは、10年以上ライターとして活動してきた中で4,000人以上の方をインタビューしてきたこと。
編集長として運営しているメディア「SoloPro」でも、時代の最先端を生きる人や自分らしい生き方を追求している人をたくさん取り上げてきたこと。
僕自身も、自転車で全47都道府県を旅しながら同時にパソコン1つで仕事をしたり、月の半分は国内外を旅するように暮らす中で現地でいろいろな人にお会いしてきたこと。
そして、この活動をしていく中で、これからの時代に大切な働き方のヒントにたどり着きました。
1. 自分の強みや価値観を知ること
2. 多様な価値観を受け入れるマインドを持つこと
3. 働く場所を問わないポータブルスキルを磨くこと
僕にとって1と2は旅で学ぶことができ、3は旅をしながら仕事もする上で必要なことです。
例えば、東南アジアの国に行くとめっちゃ仕事をサボっているように見えていつもニコニコしている人によく出会います(実際、男性がサボり女性が働く国も多い)。片や東京やニューヨークなどの大都市に行くと、市場の競争原理のど真ん中で資本主義社会を生き抜くたくましい人達に出会います。
これは、どちらが良い悪いかの問題ではありません。
大人は働かないといけない。お金を稼がなければいけない。それ本当? と疑ってみたり、自分はどんな価値観を大切にして生きたいのか、自分と違う価値観の人とどう接するかなどを感じたり考えたりする良い機会になります。
つまり、これからの時代に大切な働き方のヒントは「旅で学べるじゃん!!」ということが言いたいのですが、話はまだ序盤なので付いてきてください。
このまま「働きアリ」として一生過ごすことのリスク
ここまで読んで、こう思った方もいるのでは?
「たしかに旅は面白いし学びもあるかもしれないけど、そんな簡単にはできないよ」
と。僕自身も20代は仕事しかしていなかったので、その気持ちはよくわかります。
毎日終電で帰宅し、休みもほとんどとらない一人ブラック社員だったので、仕事を休むのはいけないことと考えていました。お金を稼がないと将来が怖いという不安から旅なんてしない人生の方が安定しているとさえ思っていました。
例えて言えば「働きアリとキリギリス」の話のように、真面目に仕事をしないでサボっているといつか痛い目にあうぞ!と。
しかし、ライターとしていろいろな人を取材していると「あれ!?なんだかそうでもないぞ」と思えてくることがよくありました。特に、ここ数年。
今まで夏の間に遊んでいたキリギリスたちは、それが仕事になり、さらには冬の寒い間は飛行機に乗って暖かい南国に行ったり、なんなら移住して夏の間だけ戻ってきたりと、ピョンピョン跳ねる本来の足の力を使って動き回るという事例も増えてきたのです。
僕の中では羨ましいを通り越して、このまま働きアリで一生過ごすことの方がリスクなのでは? という仮説がフワフワと沸いてきてしまいました。
(先に結論を言いますが、勤勉な働きアリという強みを生かすのも大切な生き方ですし、キリギリスの足を持っていれば飛ぶこともできる。自分を知ることが、これからの時代を軽やかに生きる秘訣です)
観光でも出張でもない、リカレントトラベルという旅のあり方
冒頭にも述べた『LIFE SHIFT ―100年時代の人生戦略』によると、レールの上を歩くような生き方は無くなっていき、今後は多様性のあるマルチステージに突入していく……その時に必要なのは、定年まで働き続けることではなく途中で新たに学び直すこと。
そう「リカレント教育」を実践することが大事だ、と(超要約w)。
ちなみにリカレントとは、再びという意味です。例えば40代で再び大学に入り直すなど。
とはいえ……お金もかかるし、そもそも何を学べばいいのかという問題もある。働きアリが正しいという価値観でいる人にとっても現実的にはハードルが高い選択肢です。
しかし、何もせずこのまま社会が作ったレールの上を歩いていった先に待っているのは、息苦しい人生かもしれない……。
「どうすればいいんだ!ベイベーーー!!誰か教えてくれ!!!」
となった時のヒントも旅にあります。
しかも、観光や短期出張のようにちょっと違う土地に行くだけではない、旅。そう「リカレントトラベル」に。
まず大前提として、そもそも旅をすることと仕事をサボることは同じ意味ではありません。
海外のビジネスモデルに触れて、日本でやったらどうなるだろ? と考えてみたり、異文化に触れることで頭をほぐす(日本の当たり前が海外では当たり前ではない経験を増やす)ことができたりと、本来旅と仕事は相性がいいのです。
さらには、僕自身ライターやコーチング、オンラインサロンの運営、会社経営など、働く場所を問わないポータブルスキルを常に磨いていくことで現地でできる場所を選ばない仕事(インターネットが繋がるエリアであれば)や、旅したからこそできる仕事も増えました。一緒に働くプロジェクトメンバーのマインドや仕事の種類によっては、物理的距離があまり支障にはならない事実にも気づきました。
また、リカレントトラベルは旅先で仕事をするノマドやテレワークのような手法の話ではありません。いつもと違う土地で過ごすことにより、ゆっくり自分を見つめ直したり、より中長期的な視野に立ってこれからやりたいことを模索する時間を取れるのも、観光でも出張でもないこの旅のスタイルの良さです。
あなたがリカレントトラベラーになることで、得られる武器
僕自身、旅のある暮らし方「リカレントトラベラー」の実験をしている最中なので、まだこの方法が全ての方に正しいと言うことを声を大にしては言えません。
人によっては、今いる土地でしかできない仕事をしていたり、家族や恋人の理解を得ないと旅に出るのは難しかったり、子育てや介護をしていたり、旅をする予算がなかったり、旅は疲れるので好きではなかったり、そもそもパスポートがなかったり(日本人のパスポート保持率は毎年約25%以下です※2018年現在)……
実は、ここに挙げたような理由がある人ほど、リカレントトラベラーとして旅するように暮らす経験を通じて人生をもっと豊かにできないかなぁと個人的には思っているのですが、場合によって余計なお世話だったりするので話を広げるのは今回は自粛します。
……ただ、最後に言わせてください。
違う土地に移動することだけが旅ではありません。自分の内面を知ること(心の移動)こそが旅の醍醐味であり、人生100年時代を生きる上で大切な武器を手に入れられると思います。
そのきっかけとして、僕はリカレントトラベルという実験をして情報をシェアしていきます。自分らしい働き方、生き方ができる人が増えればいいなぁと願いながら。
あと、もう1つ言い忘れていました。
この実験は一人ではできません。現在、クラウドファンディング(これも人生100年時代に必要なコミュニティや仲間を集める仕組み)を使って東南アジアでリカレントトラベルを行っていて、その支援者を求めています。実験の報告会も6月1日(金)に開催予定です。
この記事を読んで少しでもピンと来た人は、ぜひこの生き方に巻き込まれてみませんか?
▶ 大人の学旅。「リカレントトラベル」を広めたい! @東南アジア編
(2018/05/25 23:59まで!)