これぞ理想の誘致活動!地域と企業が共に創り上げる「共創」のカタチ―京都府南丹市美山町大野

これぞ理想の誘致活動!地域と企業が共に創り上げる「共創」のカタチ―京都府南丹市美山町大野

今年の3月まで行政機関(以下、行政)の京都府南丹市から誘致活動支援を受託し、任期満了後も誘致活動支援のバックアップに積極的に取り組んでいる、キタイ設計株式会社。どのように「サテライトオフィス」の誘致を行っていたのか、お話を伺ってきました!

平櫛 武(ひらくし たけし)

キタイ設計株式会社事業開発本部次長。都市と農村をつなぐワークショップを400地区以上実践し、地域づくりに貢献。京都府南丹市でのサテライトオフィス誘致活動をはじめ、他府県での移住・企業誘致活動も行っている。

京都府南丹市

人口:32,893人(2016年10月1日現在)
・・・2006年1月1日に船井郡園部町・八木町・日吉町、北桑田郡美山町が合併して誕生。大阪府(豊能郡能勢町)、兵庫県(篠山市)、滋賀県(高島市)、福井県(大飯郡おおい町)の4つの府県と隣接している珍しい場所に立地している。子育て施策は、子育て医療費助成や子宝祝金などがあり、他の市町村よりも充実している。また、民間の出版社の調査による「決定!50歳からの住みよい街ランキング」においては、南丹市は三大都市圏の258の自治体の中で8位にランキングされる。
京都医療科学大学、京都美術工芸大学、明治国際医療大学、京都建築大学校、京都伝統工芸大学校、公立南丹看護専門学校、佛教大学園部キャンパスなどが立地しており、学生が行き交う町でもある。
参考:京都府南丹市 定住促進アクションプラン 2014-2017

古き良き田舎の原風景が残る観光のまち

 

—— 京都の市街地から1時間とは思えないほど、のどかな場所ですね!

そうなんですよ!京都駅からそんなに遠くないですし、反対の日本海にも近いので、立地としては凄く良いと思いますね。あと、意外かも知れませんが、美山町大野は年間70万人以上が訪れる観光スポットなんです。「美山かやぶきの里」が有名で、国の重要伝統的建造物群保存地区としても選定されているんですよ。観光地だから、外部の人達との交流に慣れている方が多いですね。

—— 70万人も!自然がそのまま残っていて素敵ですね!

この自然な景観は、地域の大切な資源だと思っています。もともとは、林業や農業を中心に栄えた町だったんですけど、近年では、大野ダムの桜や紅葉、川や森を使ったレジャー、自然を活かしたイベントなどが数多く行われています。

—— 古き良き日本の原風景や立地的な魅力があるので、南丹市の認知度を上げることで、移住したいと思う人が増えそうですね。

確かに移住者は多いのですが、移住者が現地で仕事を探すというのは難しいんですよね。であれば、まず都心部に本社を構える企業に、サテライトオフィスとして活用してもらえないかと考えたんです。

—— 確かに働きたい会社が都心にあるから都心に住んでいるけど、本当は田舎に住みたいと思っている人はたくさんいそうな気がします。

ですね!都会の方は、満員電車で1時間かけて通勤したりとか、災害があった時にどうしようとか、様々なストレスを抱えて生きている人が多いのかなと。都会に嫌気が差している人のストレスを和らげるために、サテライトオフィスは有効的な手段だと思うんです。

地域と融和し、大使のような存在になって欲しい

 

—— それでサテライトオフィスの誘致活動を、キタイ設計さんで行っているんですね!

そうですね。人口減少に伴って、空き家が増えていく一方なんですよ。その空き家をサテライトオフィスとして活用してもらいたいなと。でもただ来てもらうだけではなく、地元の人達と一緒になって地域を盛り上げたり、地域の良さを情報発信してくれたり、第三者の視点からの意見をもらえたり。来て下さる企業さんと一緒になって地域の活性化を図って行きたいという想いがあって。大使のような存在になっていただきたいなと思ってます。

※キタイ設計では、南丹市からの依頼を受け、2015年8月~2016年3月の間、サテライトオフィスの誘致支援を行っていました。

 

—— なるほど。

例えば、「ここの土地が空いてるから活用して欲しい」という話があった時に、外部の視点から活用をして欲しいなと。その企業さんにとっても良いプログラムができて、活用していただくことで地域活性ができればwin-winですよね!

—— それはいいですね!ただ、そういう会社さんを、どうやって集めてるんですか?

以前に行った例で言うと、興味を持って下さった企業さんに、空き家の現地見学会の場を設けたんですね。そこに、27社の企業が集まってくれて。その後に、「空家活用プラン検討会」を開催したんです。具体的には、南丹市にサテライトオフィスを構えたいと思った企業さんに、空き家を活用してどのように地域を活性化していくのか?というお題に対してプレゼンをして頂いたんですね。それを地元住民にも聞いてもらって、質問をしたりコミュニケーションを取りながら進行して、最後に2社を選ばせてもらいました。

—— 住民の方々も参加されたんですね!何名くらい参加されたんですか?

だいたい100名くらい参加してくれたかな。当日は、地域の意識を変えるコミュニティーデザイナーとして、テレビ番組にも多数出演されている山崎亮さんにお越しいただき、講演会をしてもらったこともあって大盛況でしたね!

—— サテライトオフィスの誘致に関して、地元住民の方々も関心が高いんですね!

そうですね!この地域には、美山町大野振興会と言って、今回のようなプロジェクトを事務局として取り仕切ってくれたり、地域のためにいろいろな活動をしてくれる団体があるんですよ。だから、地域の方々に関心を持ってもらうためのハブのような役割も担ってくれていたり、例えば空き家オフィスを探す際にも、一緒になって探してくれたり、困ったことがあると相談にのってくれたりもするんですよ。

—— なるほど!地域住民との間に入ってくれる役割を担ってくれると、お互い凄くやりやすそうですね。

美山町大野振興会が地域住民にいろんな働きかけをしてくれるので、理解や協力が得られやすくて、そういう意味では外部の方々も非常に溶け込みやすい地域かなと思いますね!実際に移住して来られた方からも、そういった声が多いですよ。

地域を共に創り上げる、「共創」

 

—— ちなみに南丹市の行政の方々とは、どういう関わり方をされているんですか?

行政がサテライトオフィスの誘致活動の全体を先導してくれ、美山大野振興会が地域住民と企業の架け橋になって、私たちが現場を更にサポートしていくイメージですね!一般的には、行政が単独で動くケースが多いと思いますが、南丹市の場合は住民も含めて、みんなで地域を良くして行きたいという想いがあったので、支援体制はかなり充実していると思います。

—— 確かにここまで体制を整えている地域は少なそうですね!金銭的な支援もあるんですか?

もちろんありますよ!サテライトオフィスの開設に必要な経費は、賃貸の場合100万円まで補助してますし、運営に必要な経費も年間100万円(最長3年)まで支援していますね。基本的には、古民家をサテライトオフィスにするので、多少の改修が必要になることが多いでしょうね。そこを補助金で補えるようにしています。あと、金銭的な部分だけでなく、通信環境もそれなりに整っていると思います。

補助対象経費 補助金額
(1)空き家等を購入・賃借しサテライトオフィス開設に必要な経費(改修費など) 購入する場合:上限200万円
賃借する場合:上限100万円
(2) サテライトオフィス運営に必要な経費 上限100万円/年 (最長3年間)
(3)空き家等の家財撤去費 空き家など1件につき10万円

(表)支援制度の内容

—— 最後に、今後どのような会社さんにサテライトオフィスを開設して欲しいですか?

「地域の資源や環境を活用する方法」を「地域の方と考えてくれる企業」に来てもらえると嬉しいですね。地域住民とコミュニケーションがとれて、地域に溶け込めるかが双方にとって大事なのかなと。企業と地域が、共に創り上げる「共創」ができれば、地域活性化の成功事例が作れると思っています。後は、いろんな業種の企業さんに来て頂いて、いろんな知見から活性化に繋げられたらいいですね。

【編集後記】

サテライトオフィスの開設は、「地域活性のためだけに行っている活動」だと思っていました。しかし、キタイ設計さんは、都会でのストレスを抱えている人たちを何とかしたいという想いを持たれていたことに感動!「サテライトオフィス」を通じて地域の活性とストレス社会の課題解決を実行しようとしています。「人のため」を想った取り組みだからこそ、「人のため」に活動してくれる企業さんが集まるのだと感じました。支援体制が手厚い南丹市の取組みに今後も目が離せないですね!

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