大手居酒屋チェーン店の店長だったいとこが過労死して一ヶ月経った ── テンジク

大手居酒屋チェーン店の店長だったいとこが過労死して一ヶ月経った ── テンジク

大手居酒屋チェーン店の店長だったいとこが過労死して一ヶ月経った ── テンジク

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テンジク

福岡市出身1985年生まれ/福岡を拠点に活動しているイラストレーター/ライター 絵を描いて文章を書きます。ノマドワーカーに憧れて会社員からフリーランスに。ロケーションフリーで働くために移動しながら、少しずつエリア拡大中。自分が体験したり学んだ事を書きます。

テンジク(ikinaritenjiku)です。

実は一ヶ月前に、いとこが過労死したのでこの時の体験を漫画にして、先ほどtwitterに上げてみました。

無反応かもしれないし、誰かを悲しませたり、ネガティブな反応がくるかもしれない。少し怖い。

※追記:不安でたまらなかったけど、まじで、描いて良かった。同じ境遇の方や法律関係の方、現社員・元社員の方からもメッセージも届いています。反応してくださったみなさま、本当にありがとうございます。

※この漫画はtwitter用に4ページにおさめたものなので、スマホで見やすいように縦スクロールのコマ割で描き直そうと思います。

五輪・新国立競技場の工事で時間外労働212時間 新卒23歳が失踪、過労自殺というタイトルのニュースを見て、胸が痛くなって、涙が止まらなくなり、私も自分が一ヶ月前に経験した事を書いてみようと思いました。

また最後の方にも載せますが、親族を過労死で亡くした遺族の私から、過労死についてアドバイスを書きます。

遺族から遺族へのアドバイス

死因不明の場合は必ず解剖しろ。

労災認定には、心臓疾患や脳疾患などの病名があるかないかが大きく影響する。解剖しても死因不明のままの時もあるけど、焼いてしまったらもう手遅れ、終わり。

<参考サイト>
厚生労働省 脳・心臓疾患の労災認定 -「過労死」と労災保険-

「昔はもっときつかった」という奴へ

黙れ。

その言葉が何人の逃げ道を失わせたか。

この言葉は過労死ほう助

ヤバい労働状況の人へ

生きろ。

逃げろ。

大丈夫?大丈夫じゃないよね?

逃げろ。

それでは、いとこを過労死で亡くした私の体験を、起こったまま、思ったまま書きます。

病院からすぐに来いとの電話

いとこは大手居酒屋チェーン店の店長をしていて、一人で店のオープン準備をしている時に倒れた。後から来たバイトの人が発見した時には既に足が冷たく、心臓が止まっていたそう。
搬送先の病院に一番に駆けつける事ができたのは私で、お医者さんから「もう助からないので、救命措置を止めていいですか?」と言われた。これ以上心臓マッサージを続けても肋骨が折れたり、血を吐いたりするので止めましょう、との判断。救命措置を止めるには親族の同意が必要らしい。
私ひとりでは決断しきれなかった。私は他の親族にも電話で確認して、いとこの心臓マッサージを止めてもらい、目の前で死亡を確認した。

葬儀にはたくさんの人が来てくれた

葬儀には本当にたくさんの人が来てくれた。飛行機に乗って来てくれた人もいたし、来れない人からは、メッセージもたくさん届いた。沖縄の人は皆で香典を集めて送ってくれた。たくさんの人が泣いていた。
転勤が多かったみたいで、部屋からたくさん出てきた送別の寄せ書きの色紙や手紙を葬儀場に飾った。アルバイトの人が教えてくれたんだけど、店長が変わる事は日常でよくある事なので、わざわざ色紙や手紙なんかを書いたりするのは珍しい事らしい。

彼の人柄なら充分に頷ける事だった。だって本当に優しかったもん。彼の葬儀の参列者の様子を見て、たくさんの人から愛されてたんだなあという事がとてもよくわかった。

スマホに残っていた出勤記録を見た

親族の中で最もスマホが扱えるのは私で、いとこのスマホの中に残っていたラインのやり取りを全て見た。
すると、ラインのやり取りに残っていた居酒屋のシフト表や、ラインでの会話を見て、過酷な労働状況がわかり私はゾッと寒気がした。
15時から翌朝3時までの勤務で、6時の始発でしか帰れないという日々を過ごしていたらしい。

15時から深夜3時まで勤務
それから6時台の始発まで帰れず、
8時前に帰宅、
そのあと12時くらいには起きないといけない。

これを毎日繰り返していたの?

このとき私は「いとこは会社に殺されたんだ...」と確信した。

会社の対応はクソ

その後の会社の対応は、言っている事もコロコロ変わるしとにかくクソだった。故人に最後の異動を命じた担当者が親族と揉めている最中に県外に転勤したのは偶然か?
この会社は以前にも過労死者を出していて、社員は労働基準法に関してやたら詳しかった。
過労死者を出した会社がとった対策は、従業員の労働環境を改善する事ではなく、いかに労働基準法に触れずに従業員を酷使するかという事だけか。
親族が、労災にならないのか、せめて社葬にしてくれないのかと聞いたときに「保険が出ますよね?」と言ったあいつの顔面を殴りたい。
(これを書きながら何で私がこんなに腹が立っているか気がついた。会社の言い分は、故人に対してねぎらいの言葉もなく、自分たちの保身ばかりだからだ。労災、過労死が認定されると会社の印象もさらに悪くなるし。)

病院に警察も来たけど何か変な言い方してたな。「おとといと昨日はお休みだったみたいですよー」って、この時は動揺していて意味がわからなかったけど、後であの警察官の発言の意味に気づいた。労働基準法には「週に○○時間以上は勤務させてはいけない」とか規定があるんだよね。

<労働基準法32条>
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間(特例措置対象事業場においては44時間※注)を超えて、労働させてはならない。 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

※法律では週休2日の義務化はされていないけど、この話はややこしいのでまた今度。

週休2日取らせてたら何してもいいの?

シフトを見たらきれいに週休2日入っていたけど、「休み入れてたら何してもいいのか?」って私は思った。
15時から翌朝3時まで拘束しても、その間に労働基準法の規定を違反しない時間数の休憩入れたら、セーフなのかもしれんけど、あの忙しい飲食店でしっかり休憩できていたのかが疑問でしかない。タイムカードだけ打ってサービス残業とか時間外労働してたんじゃないのかとか疑い出したらキリがない。
この線を引いた部分は感情も入っているし憶測に過ぎないのでもう止めよう。

※追記 : 「でも週休2日もらっていたんでしょう?」なんていう意見もありましたが、それはパソコンのシフト表や勤怠記録での形だけです。サービス残業や休日出勤もしています。3時閉店でも3時ぴったりに帰る事はできず朝まで働いていた事も多かったようです。


私はアルバイトの人にラインでも口頭でも「休みの日も働く事はあったのか」聞きまくった。すると「たまにありました」の返答。これもタイムカードちゃんと打っていたのかな。代替え休暇ちゃんと取っていたのかな。
ああ、もう追求してもしょうがない。だってもう死んでるし。わかったところで生き返らないし。金じゃなくて命を返してほしい。

数ヶ月前のラインのやり取りでは「一ヶ月以上休めていません」って書いてあった。

あれ以来からだの調子が悪い

この出来事がきっかけで私はいろいろと調子が悪い。いつもの自分ではない感覚がする。涙も出るしボーっとする事も増えた。

でも、遺族がいつまでも悲しまずに、ニコニコ楽しそうに過ごす事が一番の供養になるという説もある。
私はメソメソしすぎずに、いつものように旅に出かけたりもした。でも出かけると必ず例の居酒屋の看板が目に入る。
いとこが過労死した会社が経営している居酒屋(以下 過労死居酒屋)は、全国展開しているので出かけると駅の周辺では必ず系列店の看板が目に入ってくる。(1,000店舗以上)系列の居酒屋の看板を見る度に、私は心がチクっと痛くなる。

船に乗って島に出かけてきれいな海を見て癒されても、また旅から帰る時に駅で必ずまた過労死居酒屋の看板が目に入ってくる。
私はどこに行っても、過労死居酒屋の看板を見かけては心がチクっと痛くなって涙が出てくるようになった。

今日は、テレビで過労自殺した人のニュースを観た。インターネットを開いても過労自殺のニュースがトップに出てくる。
また、心が痛い。悲しい。悔しい。そしてまた思考が停止する。私は、これからも過労死居酒屋の看板を見る度に、そして「過労」という文字を見かける度にこの出来事を思い出すんだろうな。

私も、遺族になった。

では再度、伝えます。

遺族から遺族へのアドバイス

死因不明の場合は必ず解剖しろ。

労災認定には、心臓疾患や脳疾患などの病名があるかないかが大きく影響する。解剖しても死因不明のままの時もあるけど、焼いてしまったらもう手遅れ、終わり。

<参考サイト>
厚生労働省 脳・心臓疾患の労災認定 -「過労死」と労災保険-

「昔はもっときつかった」という奴へ

黙れ。

その言葉が何人の逃げ道を失わせたか。

この言葉は過労死ほう助

ヤバい労働状況の人へのアドバイス

生きろ。

逃げろ。

東京都ろうどう110番
0570-00-6110

電話相談受付時間
上記の電話相談専用ダイヤルで、月~金曜日の午前9時~午後8時まで、
土曜日の午前9時~午後5時まで相談に応じています。(祝日及び12月29日~1月3日を除く。土曜相談は祝日及び12月28日~1月4日を除く。)

来所相談(予約制)
月曜~金曜日の午前9時~午後5時まで

この受付時間には「社畜はその時間働いてるわ」って多数のツッコミが入ってた。

漫画にした経緯

私は本当はこの体験を、もう少し時間が経ってから、例えば一年後くらいに、言葉にしてみようと思っていました。たくさんの人に見てもらいたかったから、読みやすく漫画にもしたかった。

※追記 : 軽率だとお叱りも受けましたが、たくさんの方に知ってもらう事が目的だったのでその手段として漫画にしました。漫画にも描いている通りいまの私は心がとても傷ついています。親族も毎日泣いています。でも、恨みつらみを並べた憎悪に満ち溢れた文章や、お涙ちょうだい系のきれい事でかためた文章を読みたいですか?私だったらだるいです。あとそういうの好んで読む人も苦手です。なので重い内容をできるだけ軽く漫画で表現しました。ネガティブな意見も含めて、見てくださった方すべてに心より感謝しています。


普段から私がWeb発信力を高めたいと強く思っているのには2つの理由があります。1つめは自分の仕事や夢に関するポジティブな動機です。
そしてもう1つは、今回のいとこの過労死という経験をたくさんの人に知ってもらいたいという半ば復讐心のような、ネガティブな動機からくるものでした。
なので昨日までは、今回の体験を言葉にするのは「もっとフォロワー数が増えてから...」「もっと絵が上達して漫画の描き方を勉強してから...」と思っていました。
でも、五輪・新国立競技場の工事で時間外労働212時間 新卒23歳が失踪、過労自殺のニュースを見て、胸がざわざわして、いま思っている事をいまの文章力で、いまの画力でもいいから一度発信してみようと思って漫画にしてみました。
で、どうしたいの?と言われるとまだよくわかりません。ただ、私のいとこみたいな死に方をする人が一人でも減って欲しい。
だから、たくさんの人に見てほしかった。また、気持ちの整理がついたり、誰かの役に立てるような事がわかったら、少しずつ書いていきたいと思います。
読んでくださって本当にありがとうございました。お互い、体に気をつけましょう。

この漫画で一人でも救えるなら嬉しいです。それが私にとって、亡くなった従兄弟への最大の弔いになります。働きすぎの人や、その周りにいる人に、ぜひシェアして見せてあげてください。

文章・イラスト / テンジク(ikinaritenjiku)
※本記事は著者テンジク様より許可をいただき転載いたしました。

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Twitter:https://twitter.com/ikinariTenjiku

 

 

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