欧米のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用の違いってなに?

欧米のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用の違いってなに?

欧米のジョブ型雇用と日本のメンバーシップ型雇用の違いってなに?

このエントリーをはてなブックマークに追加

現在、政府が掲げる「働き方改革」の下、多くの企業が労働時間の抑制に取り組んでいます。

11月9日に発表された『2017ユーキャン新語・流行語大賞』では、「働き方改革」が「インスタ映え」や「忖度(そんたく)」と並びノミネート30語に選ばれるなど、世間からの関心度の高さを感じます。

その一方で、現場レベルでは慢性的な「長時間労働体質」から脱却できずに、四苦八苦している担当者の声も多く聞かれます。

そんな中、長時間労働が減らない理由の一つとして度々議論に上がるのが、日本企業独自の「メンバーシップ型」と言われる雇用の形です。そして、この「メンバーシップ型」雇用の対称に位置するのが、欧米諸国で採用されている「ジョブ型」と言われる雇用の形です。

この両者には一体どんな違いがあるのでしょうか。また、それ以外に日本企業の特性を活かした雇用の可能性はないのでしょうか?今回はそんな雇用の形の違いについて、取り上げたいと思います。

 メンバーシップ型雇用とは?

・メンバーシップ型雇用の特徴

メンバーシップ型雇用とは、「年功序列」「終身雇用」を前提とした多くの日本企業で採用されている雇用の形です。最大の特徴は、先に人を採用してから仕事を割り振るという点にあります。

(実際のところメンバーシップ型雇用の環境下においては、「就職」というよりは「就社」のイメージに近いのかも知れません。)

また、仕事内容、勤務地、働く時間に対して明確な規定が無いため、状況によっては会社が社員に対して、部署の異動や転勤を命じることができます。

・メンバーシップ型雇用のメリット

働く社員のメリットとしては、雇用が安定的に確保されているという点にあります。例えば、担当していた業務に関わる事業そのものが不要になってしまった場合でも、すぐに解雇になるということはまずなく、部署の異動などを通じて、別の役割に就かせることが一般的です。

また、メンバーシップ型雇用の下では、スキルアップのための研修や制度の活用など、会社が社員を教育する意欲や環境が用意されていることも特徴と言えます。

・メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用の大きな課題として度々挙げられるのが、大前提となる「年功序列」や「終身雇用」の存在が揺らいでしまっている点にあります。

つまり、仮に会社から社員に対して、突然の転勤が命じられるような場合でも、「年齢と共に昇給していく」点や「自分から辞めることがなければ雇用は守られる」という分かりやすいメリットがあったため、社員もそれを甘んじて受け入れることができていたのです。

しかし、時代が変わりこれらの見返り見えにくくなった現在、デメリットの部分だけが強調され、時代にそぐわない雇用の形として、度々指摘を受けるようになっているのが現状です。

ジョブ型雇用とは?

・ジョブ型雇用の特徴

ジョブ型雇用とは、その名の通り仕事に対して人が割り当てられるという雇用の形で、欧米の多くの企業が採用しています。(こちらは、漢字そのまま「就職」のイメージですね。)

現在、働き方改革の一環として検討されている「同一労働同一賃金」については、基本的にジョブ型雇用を前提とした考え方のため、メンバーシップ型雇用を採用している企業が大多数の日本国内では、導入が進みづらい要因の一つとも言われています。

・ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用の場合、企業は「ジョブディスクリプション(職務記述書)」と呼ばれる資料の中で、仕事内容や勤務地、働く時間を明確に定義しています。そのため、社員にとっては仕事のゴールが明確で、長時間労働に繋がりにくい傾向があります。また、「働き方」に関しても、ある程度柔軟に調整しやすい環境だと言えます。

・ジョブ型雇用のデメリット

一方で、社員がキャリアップを図りたいと考えた場合、ジョブ型雇用の環境下では、仕事内容が明確に決められているため、同じ職場内でのキャリアップを目指すのは比較的難しいと言えます。

その場合、社員としては、同じ環境でのキャリアアップが難しいと判断した場合、環境そのものを変える「転職」を選ぶことになります。その点に関しては、日本の会社と欧米の会社では、「転職」そのものに対する抵抗が異なるということも言えそうです。

メンバーシップ型、ジョブ型。それとも……?

また最近では、従来のメンバーシップ型雇用とはひと味違う、「新メンバーシップ型雇用」とも言うべき新しい雇用の形が広がりを見せています。組織の中で「部長」や「課長」といった決まった役職・肩書きを持たず、個人の「得意」や「志向性」を重視して社員を構成する雇用の形です。

・新メンバーシップ型雇用の特徴

この組織がメリットを発揮しやすいケースとしては、例えば、会社の事業領域が「先端分野」など、日々変化が激しい領域を扱う場合です。

この場合、ジョブ型雇用のように、あらかじめ社員に任せる仕事を明確に定めることで生じる、変化への対応の遅れを避けることができ、組織としても一定の柔軟性を担保することができます

また、社員にとっても「年功序列」や「終身雇用」を前提とした従来のメンバーシップ型雇用とは異なり、得意や強みを最大限に活かすために、働き方も比較的柔軟な選択肢が認められるなどのメリットもあります。

・新メンバーシップ型の企業例

役職や肩書きが無い組織といえば「ホラクラシー」と呼ばれる構造を持つ会社が挙げられます。Fledgeでも以前に取材したダイヤモンドメディアでは、形式張った肩書きや役職を撤廃し、自分の得意なことで組織に貢献することを重視しているのが特徴です。

「仮に自己管理のできない人が多いというのであれば、できる人だけがやればいいという話です。うちの会社はとにかく、できる人が、できることを、できるだけやる。・・できない人は無理すんなと(笑)」

ホラクラシー組織の創り方。自走できる組織をつくるために必要な「社内データの蓄積」と「見える化」 より

まとめ

現在、多くの企業が自社の働き方に向き合い、長時間労働の解決や、生産性の向上に向けて様々な取り組みを行っています。

その中で、旧来のメンバーシップ型雇用における課題が表面化したことで、欧米企業に由来するジョブ型雇用へ切り替えを促す声も上がっています。

しかし、様々な価値感や環境が異なる中で、雇用の形を一気に変化させることはあまり現実的ではありません。

日本のメンバーシップ型雇用、そして欧米では一般的なジョブ型雇用。この両者を比較する中で、日本の独自性を活かしながらも時代の変化に合わせた、組織のあるべき姿を模索することが重要といえるのではないでしょうか。

この記事をシェアしよう!
TAGS
もっと便利に!

記事のクリップを使ってオリジナルのライブラリを作りましょう。

すでにアカウントをお持ちの方
or

ソーシャルアカウントで登録/ログイン