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「男性管理職の時短経験」「家事は夫婦で分担」女性が働きやすい環境づくりに必要なこと ── 治部れんげ

「男性管理職の時短経験」「家事は夫婦で分担」女性が働きやすい環境づくりに必要なこと ── 治部れんげ

「男性管理職の時短経験」「家事は夫婦で分担」女性が働きやすい環境づくりに必要なこと ── 治部れんげ

2017年11月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダーギャップ指数」(男女間の格差を表す指標)では、調査対象の144か国中で、日本は114位と、先進国でありながらも男女平等においては後れをとっていることがわかりました。

日本では男女雇用機会均等法や男女活躍推進法など、法律で男女平等を定めています。しかし実際には営業職は男性、女性はお茶汲みや事務職など性別によって職責にばらつきがあるケースがあります。 女性は結婚、出産、育児などのライフイベントの影響を受けやすく、復職に手間取ったり、職場に戻れても重要なポストに就けないなど、生涯を通じて安心して働ける環境は整っているとは言い難い現状があります。

女性が働きやすい職場を作るには、どうすればいいのでしょうか。Fledge編集部は3月8日、都内で行われた「女性が活躍できる職場をどうつくる?」というセミナーに参加。講師は、女性活躍についての取材、記事を多く執筆するジャーナリストの治部れんげさん。セミナー内容をふまえ、治部さんにお話を伺いました。

治部 れんげ(じぶ れんげ)

ジャーナリスト 昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員・同大学女性文化研究所特別研究員。Toshima & Associates副代表。1997年一橋大学法学部卒。1997年より2013年4月まで、新聞社系出版社で経済誌の記者を務める。2006~2007年、ミシガン大学フルブライト客員研究員。アメリカ共働き子育て夫婦の先進事例を調査。報告書”How American Men’s Participation in Housework and Childcare Affects Wives’ Careers”と著書『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)をまとめた。夫婦の家事育児分担について『ふたりの子育てルール』(PHP研究所)に記している。

出産前の女性の9割が「両立に不安」を抱いている

「女性活躍は企業内でうまくいっているか」の問いに対しては、当日イベントに参加した一人の管理職の女性が「国策なので仕方なく引き上げられた感がある」と答えていました。

政府は指導的地位(議会議員や管理職など)にある女性を増やそうとしていますが、ただ女性管理職の割合を上るだけでは本質的な意味で女性活躍とは言えません。そのポストで女性にどのような働きをしてもらうかという考えが必要です。

それに当事者である女性は、管理職への昇進に消極的です。労働政策研究・研修機構が2013年に発表した調査結果によると、女性は男性に比べて「育児との両立不安」「ロールモデルが少ない」などの項目で回答率が高く、前向きになれない現状があります。

そもそも、女性は仕事を継続できるのか、という懸念を抱いています。女性のキャリア開発支援などを行うスリール株式会社が2017年に発表した「両立不安白書」によると、出産経験のない働く女性の92.7%が「仕事と育児の両立が不安である」と答えています。

このような考えを持ってしまう理由について治部さんは、「日本女性は家事も仕事も育児もしっかりやらなければいけないと思い込んでいる」と、完璧主義を挙げました。

治部さんの提案 「男性管理職に時短の体験を」「女性は遠慮しないで意見を言って」

女性が活躍しにくい背景には、男性の長時間労働があります。夫が仕事で長く家を空ければ、家事や育児の負担は妻に偏ります。妻は夫に助けを求めても、仕事が忙しくて協力が得られにくいのです。これが家庭内での役割分担の不平等に繋がります。

解決策として、治部さんは次の3つを提案しました。

提案1:「男性管理職を巻き込む。時間的な制約を抱えながら働く大変さに気が付いて!」

ある企業では、男性管理職が時短勤務を体験するという施策を行いました。セミナーに参加した同社の男性管理職は、「限られた時間で仕事をこなす大変さを痛感した」「保育園のお迎え、夜の寝かしつけ、家事など、普段妻が担っていることの大変さがわかった」などと感想を述べていました。指導的な地位にある男性の意識が変わると、女性が置かれる立場を理解しやすくなります。結果として、女性の働きやすさにつながります。

提案2:働き方の常識を見直す。

治部さんの知人で、米国で記者として働く日本人女性は、「担当エリアで事件があっても、自分が休みなら関係ない」と割り切っていたと言います。日本では、休日でも対応するのが当然という空気がありますが、オンとオフのメリハリをつける考えを持つことは大切ですね。

提案3:女性は遠慮をしないで!日本以外の国でも、女性は男性に比べて遠慮する傾向がある。

日本人女性は自己主張をしないと言われますが、外国でも同じ国内で比較すると、女性は男性よりも交渉をしない傾向にあります。女性の傾向を知れば、企業は対策を講じることができるわけです。

以上セミナーでの内容を踏まえて、更に深掘りしていきます。

女性を活用することがより良いサービスの提供に繋がるかという視点を持つ

セミナーでは管理職に登用された女性が「国策だから」と発言されていました。一般的に、企業が女性活躍に消極的なのはなぜだとお考えですか?

治部れんげ(以下、治部):労働力がひっ迫していないからです。男性従業員が確保できれば、女性はいなくても仕事は回ると考えているんです。

また、女性が力を発揮できないことで被る機会損失に鈍感なこともありますね。セクハラや長時間労働など、組織に悪影響を及ぼすことの原因を探り、解決策を打ち出そうとする意識が弱い。退職されれば採用や教育コストが再び発生することになるわけですから。

女性活躍を推進するために必要なことは何でしょうか?

治部:女性を活躍させることが、組織にとって利益になるか、より良いサービスの提供に繋がるかという「経済合理性」の視点が必要でしょう。でも多くの企業はこのことが腑に落ちていない印象を受けます。

様々な人が働く多様化された組織の方が、そうでない場合と比べてパフォーマンスが高いことがわかっています。でもこれには注意点があって、マネジメントが悪いとかえって個人のパフォーマンスを下げてしまいます。女性を管理職に登用しても、ただ据えているだけでは活用しているとは言えませんし、本人は「私って何なの?」とネガティブな感情を抱いてしまいます。

あとは企業が従業員にちゃんと役割の説明をすることも大切です。特に規模が大きい企業ほど、説明をしていないと感じます。たとえば、事務職として数十年勤務してきた女性がいるとします。「男性のサポートして」と言われて仕事をしてきたこの女性に対して、女性活躍だからといきなり「営業をやって」と伝えても彼女は困惑します。

これまでいたポストがなくなっても、簡単に解雇しないのは日本企業の良いところでもあります。しかし長期雇用は、景気変動、客が変わるリスクを企業が負うことを意味します。雇用を継続する代わりに、従業員は別の役割を担う可能性があることを企業は説明しないとダメですよ。

男尊女卑の考えが女性を低く見る要因

そもそも、なぜ女性は男性よりも「低く」見られることが多いのでしょうか?

治部:男尊女卑の考えが大きいと思います。家父長制という言葉をご存知でしょうか。父親が家庭の決裁権を有するというもので、明治時代に制度化されたものです。

今でも地域によっては、男性が台所に入らないことが是とされることもあります。企業でも男尊女卑の名残はあって、お茶汲みは女性がすることという考えがあるところもあります。

あと、女性の中には少なからず「理想の女性像」があると思います。結婚したら、夫や子どもに優しく、仕事もちゃんとやる「可愛い妻でありたい」という気持ちもそのひとつでしょうか。

でも、自分も仕事で疲れているのに、夫の帰宅後に晩酌なんてしていたらおかしくなりますよ。そうなれば、仕事を続けたり、ましてや管理職になったりしたいとは思いにくいです。女性の意識を変えることも大切ですね。

次回予告

今回は、治部さんによるセミナーの内容と、企業が女性活躍に消極的な理由などをご紹介しました。 次回は、現状の問題点をふまえて、女性が働きやすい職場作るために、社会、企業、個人ができることについてをご紹介します。