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“濃密な3ヶ月”が生む、地域と都市の新たな関係性──if design project

“濃密な3ヶ月”が生む、地域と都市の新たな関係性──if design project

“濃密な3ヶ月”が生む、地域と都市の新たな関係性──if design project

茨城県と株式会社リビタによる、関係人口創出の取り組み『if design project~茨城未来デザインプロジェクト~(以下、if design project)』は、地方に関心を持つ東京圏の方が、茨城県の企業や地域の課題を解決する提案を通して、新たな人の流れをつくることを目的としています。

昨年は30名が参加し、実際に地域・企業と継続的なつながりが創出され、第二期となる今年の募集も開始しています。

今回は、そんな『if design project』の企画を進める3人のキーマンに、プロジェクトの様子と今後の展開について、たっぷりと話を伺いました。

増田亜斗夢(ますだあとむ)

株式会社リビタ チーフコンサルタント。東京工業大学大学院 社会工学専攻を修了後、都市計画コンサルタント事務所にて、地方自治体や国交省、UR等を中心に地域活性化に向けた戦略検討等、50超のプロジェクトを行う。株式会社リビタへ入社後、シェアスペース等の運営業務やコンテンツ企画、遊休不動産の活用企画やなどを地方・都心関わらず行う。茨城県の移住促進事業のプロジェクトマネージャーも務める。

鈴木高祥(すずきたかあき)

茨城県水戸市出身。株式会社カゼグミ代表取締役。茨城移住計画の運営管理。ファシリテーションとソーシャルザインの企画・プロジェクト進行を得意とする。SDGs、地方創生、2拠点、複業がキーワード。茨城移住計画では、茨城出身・在住者を中心とした任意団体として、「お盆とお正月以外に帰れる1日を増やす」をコンセプトに関係人口の入り口のデザインをしている。

藤田愛(ふじためぐみ)

茨城県水戸市出身。茨城移住計画 食いしん坊ディレクター。早稲田大学教育学部卒業後、トレンダーズ(株)に入社。大手企業への戦略PRやインフルエンサーマーケティングの企画営業に従事。その後、小山薫堂率いる企画会社(株)オレンジ・アンド・パートナーズにて、地域ブランディングやプロモーション企画のプロデューサーを経て、2019年春にフリーランスとして独立。「茨城」「地域」「食」等をテーマに、東京と茨城での2拠点生活をしながら活動中。

“3つのテーマ”から地域の課題にアプローチ

早速ですが、そもそも『if design project』とはどんなプロジェクトなのですか?

増田:茨城県への移住促進の一環として行っているプロジェクトです。地域と多様に関わる人々を指す『関係人口』をつくることが目的となっています。

関係人口とは、具体的にどういった人々のことでしょうか?

増田:関係人口の定義ってものすごく幅が広くて、例えば、東京の物産展で特定の地域のものを頻繁に買っている人もそこに含まれることもあるんですね。でもそうではなくて、もっとより密な関係人口をつくることをこのif design projectでは目指しています。

茨城県ってとてもアクセスが良いところなので、週末に頻繁に帰れる地域ではあるんですよね。ただ、単純に帰るだけじゃなくて、「普段会社で培ったスキルって、地域や社会への貢献としてどのように活かせるか」と考えている方も今の世の中には、多くいらっしゃると思っていて。そういった方をプロジェクトの対象とし、東京圏に住まいながらも茨城県にプロジェクトベースで関わってくれる関係性をつくることを考えています。

プロジェクトの具体的な概要を教えていただけますか?

増田:参加者には、こちらで用意した3つのテーマごとのチームに分かれていただきます。9月から12月の約3ヶ月間に、全4回で予定している講義や企画ワークショップのプログラムを通して企画を行い、最終日には地域や企業の課題に対してプレゼンするというものです。

昨年のテーマは、『スポーツ×地域』『食×地域』『山×地域』。各チームを支えるメンターとともに考え抜いた提案を、地域・企業へ熱くプレゼンテーションしていただきました。

昨年の結果としてはどうでしたか?

増田:参加者と企業がつながり、既に提案した企画の内容の一端を試行的に実現したチームもあれば、パートナー企業と提案の実現に向けたブレストを今もなお行っているチームもあったりと、今後の活動にも期待が寄せられています。

プロジェクト終了後も、地域・企業との発展的なつながりがあるんですね。


▲左から、㈱リビタの増田さん、茨城移住計画の藤田さん、茨城移住計画の鈴木さん。

埋もれている茨城県の魅力を、関係性の入り口に

プロジェクト発案のきっかけはどんなことだったのでしょうか?

鈴木:僕は茨城県出身ですが、茨城移住計画という団体をやり始めてから、茨城のことを深く知り始めました。茨城出身の方は、東京に出ても実家の方で何かに関わりたいって思っている人がけっこう多いと思うんです。ただ、関われるポイントが少ないということに気がついて、「地元に関わる人を増やしたい」そんな思いから活動をスタートしました。

全国にはいろいろな移住系のプロジェクトがあります。関東でも関係人口のあり方を提案するツアーや取り組みはありますが、企業とともに伴走しながら地域の課題解決提案まで行う取り組みは、比較的珍しい取り組みなんです。なので、「関東圏でなぜそこまでして移住のプログラムをつくるの?」と疑問に思われることもあります。

たしかに、「移住」というと関東圏のイメージはまだあまりありません。

鈴木:地方創生は注目されていますが、その枠組の中でどう関心を持ってもらうか、そこから始めなくてはいけません。僕の視点だと、茨城県、群馬県、栃木県の北関東は経済圏のパートナーとして、重要なポジションにいると思っています。首都圏の人たちが「東京じゃないところで地方に関わりたい」となったときに、最初の受け皿になることができる「地方」を茨城にしたいと考えています。

帰ってくる度に、地元が寂れていくのって嫌じゃないですか。そう感じている人がおそらくたくさんいると思います。なので、関わり方の多様性がないと、地元出身者がますます興味をなくしてしまいます。そこで、アクセスも良い茨城県への関わり方をデザインし始めた。if design projectはその新たな関わり方の1つですね。

茨城県の魅力といえばどんなところですか?

増田:本当はたくさんあるのに、実は知られていないものがたくさんあるのが茨城県。例えば今年のテーマである酒に関連すると、茨城県、実は関東一の酒造数を誇る酒蔵が多い県なんです。あとは、北海道に次ぐ農業大国とも言われていたこともあったり、栗の生産量が実は日本一だったり、『筑波山』は実は古来より「西の富士山、東の筑波山」と富士山と並び称される程の山だったり、掘れば掘るほど、色々な魅力があると思っています。

知らなかったです!茨城県出身の藤田さんはどんなところを魅力だと思いますか?

藤田:メロンの生産量が日本一で、旬の時期にはスーパーの果物売り場はほぼメロンが占めているくらいなんです。地元では日常的になっていて気づかないんですが、他の県の人には驚かれることがあります。

私が大好きなれんこんも生産量日本一で、土浦や稲敷には、蓮の畑が一面に広がっているエリアも見かけます。でも地元の人も一位だということに気づいていないくらい、伝わっていないのが現状です。

私は食いしん坊なので、東京のレストランにもよく行くのですが、食材にこだわっているシェフの方で、茨城の食材を使っていることも多いんです。首都圏から距離も近いので、新鮮なうちに、お店で提供することができるという魅力もあります。


▲プロジェクトの1日目にはフィールドワークが行われる。

最大の成果は、外部の人間への期待感

昨年度のプロジェクトにはどれくらいの応募がありましたか?

増田:20人程を想定した枠に、実際に応募してきてくれた人は45人選考の結果、30人に来てもらいました。なので1チーム10名ですね。

初年度となった昨年のプロジェクトですが、どんな印象を持ちましたか?

増田:こちらが思っている以上に自主的なフィールドワークやディスカッションをしてくれたり。ほぼ毎週末、テーマ地域に行って、僕たち以上に茨城のことに詳しくなっていったりする人もいて、とても嬉しかったです。

色んな経歴の方が参加するので、課題に対するアプローチの仕方も様々で、そこも面白いです。全4回のプログラムの最終日は、各企業の代表の方々に向けてプレゼンテーションを行うのですが、去年は県知事にもお越しいただき、懇親会にいられる時間ギリギリまで楽しんでくださいました。


▲4日目(最終日)の公開プレゼンテーションには70名が参加。

実際に移住に繋がった例などはありますか?

増田:パートナー企業との密接なつながりを持つことができました。パートナー企業で出している商品のパッケージを、『if design project』の参加者さんが作ることになったり、テーマ地域の町役場の人からスカウトされ、横浜から茨城県にUターンを決めて、地域おこし協力隊になった人もいます。

実際に関係人口だけでなく、移住された方まで生まれているんですね。

増田:食がテーマのチームは、公開プレゼンテーションが終わってから自主的に地元農家さんにアポイントを取って、プレゼンテーションを行っていたりもしました。

鈴木:集まれるメンバーで集まって、関わった地域の年間イベントと何かコラボできないかと話したりしています。一期生の人たちは、イベントと何かコラボできないかと考えている人はけっこういますね。

増田:また、外部の人に対する期待感が増したというのも大きな成果だと思っています。プロジェクト終了後には、茨城県内の自治体や団体の方から「次年度からはどうなりますか?」と聞かれたりしましたね。

▲自主的なフィールドワークやプレゼンテーションを行うチームも。

“生産量一位”ならではの課題に挑戦

今年の3つのテーマは何ですか?

藤田:去年とは違ったテーマにしたいということで、海、酒、農の3つに設定しました。まだまだ掘り下げたいテーマがいっぱいあります。このテーマ選びも、とても難航しました。

茨城県内からまんべんなく選びたい企業さんとテーマがあって、かつ首都圏の方が興味を持ちやすいものであることと、参加者の今後につながるアウトプットができるかなど、様々な観点から事務局メンバーで試行錯誤しました。

今までになかった斬新なアイデアを募集する企業も多いので、参加をしてくださる方々には、実行できるかどうかももちろん重要ですが、アイデアを素直にぶつけていただきたいですね。

どのテーマも次のアクションを探している分野です。新しい農業のあり方、お酒に関しても「多彩な商品から看板商品となるものを創出したい」、海についても「海水浴以外のコンテンツを作ってもっと来てもらいたい」という次の一手を探しているんですね。どれも新たなアイデアが生きてくる分野だと思います。

地域の具体的な課題はどんなところにあるのでしょうか。

鈴木:大洗の場合、一年を通して観光客を増やすことにチャレンジをしようとしています。

街を訪れた人にいかに滞在・滞留をしてもらうデザインをするか、というのは全国的な課題で、大洗町も同様です。例えば、レジャーのあり方が多様化していて、灼熱の砂浜に行くより、ナイトプールに行くほうが良いと考える人がいたり、夏の海水浴自体も工夫が必要になっています。

また、車でのアクセスがいいだけに、海周辺の地域も楽しんでほしいのに、海を楽しんだら、日帰りで帰ってしまう課題感もあります。将来的に人口が減り、趣味が多様化していく今、どんな海の未来を考えていけるか。そこを考えるのは面白いと思います。

お酒の分野には、どういった課題があるのでしょう。

増田:パートナー企業である明利酒類さんは約160年続く老舗の企業さんですが、主力商品である梅酒に続く商品をどう創出して伝えていくかが課題となっています。

鈴木:茨城では地酒を飲む頻度って、東北などに比べてそれほどないそうなんです。販売店ではなくインターネットでお酒を買って飲む人が多くなったことも理由のひとつだそうです。地元の美味しくてストーリーがあるお酒が作られていることを知ってもらい、地元の人にファンになってもらう、という関係性の構築を明利酒類さんと考えていく予定です。

人口が減る中でアルコールを飲む人が減ったり、そもそも日本酒を飲む若い人が減っているデータもあります。ただ地元の人にお酒を飲んでもらう事以外に、若者に日本酒を楽しんでもらうための工夫や、茨城のお酒を選んでもらう工夫をどう考えていくかが課題だと思っています。

農業の分野には、どういった課題があるのでしょう。

藤田:パートナー企業である宮崎協業さんは茨城県内でも随一の農事組合法人である中で、「農業」を通じて、いかに地方と都市の関係性をデザインするかについて、アイデアを求めています。

増田:宮崎協業さんは、100ha以上の農地を管理しており、様々な作物を育てているだけでなく、最新の技術を駆使して、農業の効率化を図っている企業さんです。ドローンを飛ばしたり、本州ではまず見られないだろうと言われるくらい大きなコンバインを使って収穫をしていたりと、通常イメージする農業とは異なるスマートでカッコいい農業をやられています。

もっともっと今の農業を知って欲しいし、そういった農業を知らせる取組みを行う中で、都心部の人に農業をきっかけに地域に足を運んでみて欲しいし、その中から次の担い手を探していきたいといった想いもあります。


▲2,3日目のワークショップの様子。プログラム外の日にも集まることも。

枠を飛び出たコラボで、新たなアクションを期待

今年のプロジェクトの募集もすでに始まっていますが、こんな人に来てほしいなどありますか?

鈴木:チームでのデザインや企業とのコラボレーションを楽しめる人、みんなで創り上げることが重要かなと思ってますね。

去年達成できなかったことでいうと、クラウドファンディングへの挑戦だったり、外に対してのアプローチができる人やまとめる力がある人が来ていただけると、プロジェクトのアクションが広がると思っています

増田:グイグイ実行していく人ですね。

藤田:うまくチームのみんなをまとめつつ「実行していきたい」と考える人ですよね。

増田:プロジェクトマネジメントをやってみたい人とかね。会社の中ではやってるけど、外の人をまとめるのは初めてとか。そういったチャレンジをしたい人にはぴったりだと思いますね。あとデザイナーさんには絶対来てほしい。提案の最後はデザイナーさんの腕の見せ所ですね。『if design project』と、デザインと言ってるくらいなので、重要な役割です。

鈴木:ファシリテーションが上手になりたいとか、結果をつくりたいとか、そういったスキルアップが、なかなか日常業務だとできない人にも合っていると思います。実際に、『if design project』に関わって、知見も得られるし職場以外の人とも出会える、ということに面白さを感じて参加し、はまってしまったという事例もありますね。

増田:あとは、やっぱり横のつながりをつくりたいので他のチームのテーマにも興味関心を持ってくれる人ってすごくいいなと思います。酒のテーマでも農業のチームから役立つことも得られると思います。興味関心の間口が広くて、横のつながりをつくっていける人に来ていただきたいですね。

そういった横のつながりを持てる交流の場はあるのですか?

増田:チームの枠を越えた懇親会や、去年と今年の参加者の交流会も開催します。そういった場からこちらが予期しないコラボレーションが生まれて、アクションにつながっていくのが、今年も楽しみですね。

▲プロジェクトには、チームを越えたコミュニケーションの場となる懇親会も用意されている。

2019年の募集も開始した『if design project』。
茨城県の楽しみ方の多様化に興味のある方、関係人口の創出にチャレンジしたい!という方、詳細はこちらから!