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医療・介護業界に必要な「複業・パラレルキャリア」という選択肢 ── 細川 寛将

医療・介護業界に必要な「複業・パラレルキャリア」という選択肢 ── 細川 寛将

医療・介護業界に必要な「複業・パラレルキャリア」という選択肢 ── 細川 寛将

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なぜ医療・介護業界に「複業・パラレルキャリア」という選択肢が必要なのか

先に医療介護業界の話の前提を整理しておくと、私としてはSide jobとしての「副業」という言葉自体がもう死語になっていくと思っています。

私たちの世代は「ミレニアル世代」といわれ、恐らく一世代前の働き方の感覚とは大きな隔たりがあります。そもそも「副業」という言葉の意味は、「本業以外で“稼ぐ”こと」がメインの用語です。

しかし、最近米国で流行っている「Side Hustle」(hustleは頑張る、やる気、といった意味)は、本来的な「Side job」とは異なり、大きな収入を得るというよりもお金だけでなく「お金より価値のある何か」を対価として得るために行っているといいます。

ライフワークの一環とでもいいましょうか。このあたりは、社会活動がベースになる「パラレルキャリア」とも異なる位置づけです。一方で、そのSide Hustleで社会活動を行っている人にとってみれば、それが「パラレルキャリア」とも言えなくもないため、そもそもそうしたフレームワークにこだわった働き方をすること自体が古い時代なのかもしれません

これらを踏まえた上で、医療・介護業界では「個人」、「組織」、「業界」それぞれの立場で3つ理由があると考えます。

1.個人:収入の増加になる

社会保障費のプラットフォームに依存する報酬体系であるため、収入減はあっても収入増を望むことは難しいと容易に想像ができます。

また、一つの組織に属する場合は「法人規定の給与」が設定されており、収入を上げる手段としては「残業」か、競争の中で出世して「手当等」で収入を上げることしかありません。これは全ての人が適応になることではありません。

こうした中、医師や看護師、介護士の中では常勤以外で夜診・夜勤アルバイトをしている人は結構いますし、理学療法士や作業療法士などのリハビリ職種も平日病院勤務で土曜日に訪問リハビリにバイトで入っている人は多くいます

つまり、医療介護職の強みである「資格を活かした複業」は就業規則のみクリアすれば誰しも行えるものです。もちろん勤務日数が増えますが毎月数万円~数十万円を得られるため、「増えにくい収入」のプラスαとしてこうした働き方に今から慣れておくことは必要と考えます。

2.組織:「越境学習」による所属先への有益な効果

「越境学習」とは、ざっくり言えば『所属する組織の枠を自発的に越えて、自らの職場以外に学びの場を求めること』を意味します。

その効果として、例えば、同業種内の越境学習では同じ物事に対する考え方や実践の方法の違いを経験することができますし、異業種への場合は多様なバックグラウンドの人材が集まり、異なるものの見方・考え方を既成概念に囚われずにぶつけ合うことができます

こうした経験が所属先で知らず知らずのうちに染み付いていた固定観念から脱却するきっかけにもなりますし、所属先の課題解決の糸口になる可能性もあります。

医療介護職は「専門性」というフィルターを通して物事を捉えることが多いため、悪く言えば「専門性に固執する」「視野が狭くなる」という『井の中の蛙大海を知らず』の状態になる傾向にあり、課題があった場合でも「それぞれの専門的見地からの主張」を繰り返し、議論が平行線のままに留まることは私自身も数多く経験しています。

そのため、抽象度的思考力やメタ認知力を高め、結果的に課題解決能力を高めるためにも越境学習を目的とした複業やパラレルキャリアは必要と考えます。

3.業界・国:労働力不足を補う策になりうる

冒頭でも触れたように高齢者が増加する中において支える側の医療介護職は不足します。労働人材の不足は病院や介護事業所の存続にも関わる大問題にもなりますし、働くスタッフの過重労働にも直接的に繋がります。

昨今、配車サービスのUBERなどのシェアリングエコノミーの流れが都市部で根付きつつありますが、例えば先ほど「問題点の4」であげた潜在看護師や介護士を仕事復帰してもらうための術としてシェアリングの概念は有用と思われます。

最近では、潜在看護師や介護士が時短や短期間で働けるマッチングアプリもいくつかでてきており今後に期待が持てます。ただ、潜在看護師や介護士に限らず、現場で働く看護師や介護士も複業やパラレルキャリアとしての活用ができると思います。

一方、地方の場合においてはそもそも絶対数が少なくなってきているため、シェアリングの概念をアプリなどではなく「法整備」から変えていくべきと考えます。

わかりやすい例を挙げれば、地方の中で従業者が多い市民病院や町民病院で働く医療介護職は地方公務員であるため基本的には「複業やパラレルキャリア」は禁止です。

しかしながら、地方の特に過疎地域などでは輪をかけて従業者が少ないため、一人に係る負担が多いといいます。

そのため、地方公務員法の規制を緩和し、市民病院などから兼業(複業)の応援ができる仕組みができれば、大きく改善できる側面もあると思われます。そういう意味で、労働力不足を補うために複業やパラレルキャリアは必要と考えます。

活動を通じて得られた反響、手応え、変化など

私自身、複業・パラレルキャリアを実践して6年ほどになりますが、当時は「就業規則」の壁が大きくのしかかりました。そのため、「複業・パラレルキャリア」をする上でも少し後ろめたさを感じていました。

しかし、それを補って余りあるほど実践することで得られる成果や経験値は貴重なものでした。単発での関わりもそうなのですが、特にプロジェクトベースで関わる場合や個人事業として自身でやる場合には「組織」の後ろ盾がないため、成果がでなければそれで終わり。決定までの煩雑なプロセスがない反面、自分自身にも重く責任が伴います。

そうした中で決断し、成果を出すことの経験はこれ以上無い財産になります。このあたり、本を読んでイメージしているものと実際に取り組んで得られる果実は雲泥の差があるように感じます。

4年ほど前から自分の経験を元に、医療・介護職向けにコミュニティ(Shuha-Re Project:シュハリプロジェクト)を運営しています。その多くが私と同様にリハビリテーション専門職なのですが、看護師、介護士、薬剤師、鍼灸師、柔道整復師など様々な職種がいます。

月に1度ワークショップを行ったり、Facebookのグループで日々やりとりをしたり、SlackやSkype、LINEを駆使してプロジェクトベースで企画・運営をしたり、そこから発展したものに関しては個人事業主や、NPO法人や一般社団法人として複業・パラレルキャリア起業をしたりしています。

現在メンバーは200名以上います。メンバーの動機としては「将来的なキャリアの不安」や「漠然とした収入面の不安」、それに「自分のやりたいことはあるけどやり方がわからない」など様々ですが、多くの人のベースに「不安」があるような気がします

この運営自体も、成果や実績を個人・プロジェクトベースとして出てきたタイミングで昨今の働き方改革に伴う「複業推進」、モデル就業規則改定など時代の変化が到来しました。

ある程度の流れがくることは予測していましたが、ここまでスピード感があるとは思いませんでした。間違いなく私たちの取り組みの追い風になります。こうした変化を敏感に察知できるかどうかも医療介護職には問われています。



▲定期的に「アジト」で複業・パラキャリプロジェクトのブレストを行う

今後の活動予定と実現していきたいことについて

今後の活動予定としては、今までは任意団体として主宰していたShuha-Re Projectを今年の4月以降にしっかりとした形(法人化)として整備し、その上で一人でも多くの医療・介護従事者に「複業・パラレルキャリア」を実践する環境を設けていきたいと考えています。

その上で、実現したいこととしては「会社員兼個人事業主」の人口を増やしていきたいですね。特に医療介護職は元々専門性があるので、その活かし方を変えればものすごくニーズがあり、可能性があります。

医療・介護職は労働集約型のイメージが強いですが、ナレッジワーカーとしての可能性を垣間見ることも多いです。実際に任意団体レベルで行っている中でもヘルスケア分野に進出したい企業からのスポットコンサルティングの依頼や、共同でのイベント企画依頼などは増えてきています。

もちろん自分自身やりたいことがある人は素晴らしいですが、挑戦してみたいけどやり方(専門性の活かし方)がわからない、あるいは仲間がいないなどという人はぜひ参加してほしいですね。

こうした人口が一人でも増えれば、先ほど言いました問題点も解決できる可能性も高まりますし、もっと言えば一人あたりの労働収入が増えれば納税額も増えるため国にとってもメリットがあります。一石二鳥にも一石三鳥にもなると考えています。


▲複業・パラレルキャリアで実績をあげているメンバーとプロジェクト起ち上げへ

キャリア・働き方に悩む20~30代の読者にむけてメッセージ

時代の流れはものすごく早まってきています。今、「10年後の自分のキャリアの目標を立てなさい」と先輩や上司に言われている人も多いかもしれません。

一つ言えることは私も含め、今現時点から未来を予測することは限りなく難しい時代になってきました。つまり10年後のキャリアの目標を立てることはあまり意味をなさないかもしれません。

私自身もそうですが、後輩に頼られたことをきっかけにガラッとキャリアが変わりました。見方によっては“軸がぶれている”と捉えられるかもしれませんが、今になって振り返れば自分の中では最善の選択をできたと思っています。

こういう未来の変化が激しい時代に私が大事にしているのは「自分自身がキャリアの中で何を大切にしているか」とういう軸です。私の中では「あらゆる課題に対してリハビリテーションを用いて最善解を導き適応する」ことが当時も今も変わらない軸です。

リハビリテーションって病気や怪我の人を治療するイメージしかないと思うのですが、意味としては「全人間的復権」や「自立支援」、「社会への適応」を含めたりするので、私の中では「課題を抽出して、サポートしながら最善な状態に導いていく」こと全てがリハビリテーションと考えています。思いっきり私的解釈ですが(笑)

なので、作業療法士として病院勤務で患者をみている時もそうですし、後輩から頼られて二人三脚で複業を行い独り立ちするまで伴走したのもそうです。今度はじめる「医療・介護職のために複業・パラレルキャリアの環境をつくる」というのもそうです。すごく強引ですが、これら全てがリハビリテーションだと考えています。
 
何が言いたいかというと、悩んでいるなら「軸」をつくろう!ということです。この軸にそって「自分がやるべきこと・やらなくてもいいこと」がわかればキャリアに自信が持て、迷いがなくなります。

そしてこうした軸をつくる上で大事なのは「経験」です。こうした経験を積む上でも複業やパラレルキャリアは有用です。20代の経験・実績で30代のキャリアが決まりますし、同じように30代の経験・実績で40代以降のキャリアが決まります。

自分の軸をなるべく早く見つけ出し、有意義なキャリアを築くためにも複業・パラキャリをオススメします。ぜひ、今日からでも実践してみてくださいね!

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