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思いがけず地方移住!?アイデアが湧き出て止まらない、廃校との出会い——ハレとケデザイン舎(徳島県三好市)

思いがけず地方移住!?アイデアが湧き出て止まらない、廃校との出会い——ハレとケデザイン舎(徳島県三好市)

思いがけず地方移住!?アイデアが湧き出て止まらない、廃校との出会い——ハレとケデザイン舎(徳島県三好市)

徳島県三好市池田町の廃校となった出合小学校を活用して、カフェやデザイン事務所を開設されている「株式会社ハレとケデザイン舎」の植本修子さんを訪ねてきました。お話を伺った場所は、もちろん、カフェ「ハレとケ珈琲」。贅沢にも、美味しいコーヒーとピザ、ケーキを頂きながら、なぜ地方なのか、なぜ三好なのか、昔は一教室だったという場所で、子供の頃に戻ったような、懐かしくゆったりとした時間の中で、じっくりと伺いました。

植本修子(うえもと しゅうこ)

株式会社ハレとケデザイン舎代表。徳島県三好市の廃校利活用プロジェクトにて、同社をサテライトオフィスとして徳島県三好市に置き、自身も2014年に東京から三好市へ移住。 広告会社でのデザイン経験と豊富なアイデアを活かし、カフェ「ハレとケ珈琲」をオープン。

アイデアが止まらなかった廃校との、人生を変える出会い

—— さっそくですが、三好市に来たきっかけってなんだったんですか?

植本修子さん(以下、植本):当時の上司がリバースプロジェクト(※1)の顧問をやっていて、その活動で限界集落の取材をしていたんですよ。「この地域では、町の資源をこうやって活用をしています」っていうことを市役所の人に色々と聞いてたみたいなんです。その中の一つ、三好市の廃校活用プロジェクト(※2)の募集の話を私に教えてくれたのがきっかけですね。

(※1)リバースプロジェクト・・・伊勢谷友介氏が代表を務める「人類が地球に生き残るためのプロジェクト」
(※2)三好市廃校プロジェクト・・・三好市休廃校活用事業を募集しています


—— どうしてその話を植本さんに?

植本:私が古民家や古いものが好きなことを知ってくれていたんです。あと、私の子供がそのとき2歳で喘息になりかけていたこともあって、空気が綺麗だし子育てにもいいんじゃないかって。

—— ということは、そもそも地方でカフェをしたいって具体的な考えがあったわけじゃないんですね。

植本:実は全然考えてなかったんですよね。その時、東京にマンション買ったばかりだったし(笑)

—— え!!!そうなんですね!それでも三好に来てみようと思ったんですよね?それは どうしてですか?

植本:三好市の廃校の利活用が面白そうだなって思ったから、単純にそれだけなんです。廃校利活用の案を募集して、地元の人たちに向けてプレゼンテーションしてもらって、そこで合意を得られたら進めていくっていうやり方なんですが、普通は地元の人たちだけでやることを、外部の提案者がそのまま実装するのは面白い試みだなって。

もともとは、広告業界からメーカー内部のクリエイティブに転身しようって考えていたんですが、廃校に興味が湧いてしまって、急遽移住することにしたんです。私がやっているデザインの仕事ってパソコンとネットワークがあれば、どこでもできる仕事ですしね。

—— 転職のはずが地方移住に!!!

植本:そうなんです。もしもダメだったら、また東京に戻ればいいかなと思って。周りのみんなは「勇気あるね」という反応でしたけどね(笑)

—— そうですよね(笑)それだけ思いきった理由って?

植本:一度視察に来たら、廃校利活用でしてみたいことが止まらなくなっちゃって。

—— その理由、とっても素敵ですね!

植本:この学校は、木製の黒板だったり、窓も昔のスチールサッシだったり、一番風情があってすごく気に入ったんです。あと、名前もいいですよね。

—— 出合(であい)小学校。なんだか、ワクワクドキドキする名前です。

植本:出合小学校」って、良い出会いがありそうだよねということで、婚活事業の受け入れなんかもしているんです。

—— それ面白いですね(笑)あと、ここってなんだか入り口の階段を登ると、異空間にタイムスリップしたような不思議な感覚ですよね。本当に素敵な空気感。

植本:私もここに初めて来たとき、「非日常」をすごく感じたんです。私が感じたように、ここから非日常を感じられたらおもしろいなと思って、会社名をハレとケ(非日常)をデザインする会社、「株式会社ハレとケデザイン舎」にしました。

株式会社ハレとケデザイン舎の廃校の入り口
▲当時の小学生が描いたイラストが出迎えてくれる、非日常へとつながる階段。

再び人が集まる場所に

株式会社ハレとケデザイン舎の廃校のカフェ

—— カフェは妹さんと営んでいらっしゃるんですよね?

植本:はい、そうです。妹が洋菓子講師だったので、「カフェやってみない?」って声かけて。最初は、東京と行ったり来たりしようかって話していたんですが、結局は気づいたら一緒に移住していましたね。

あと、父が焙煎をする人で喫茶店を営んでいるので、コーヒーの焙煎からドリップまですべて父に教わりました。

—— 家族総出ですね!実際にこの地に来てみていかがですか?

植本:そうですね。地元の皆さんも自治体の方々も協力的で、とっても助かってます。

みなさんの協力のおかげで、今ではいろんな人が集まる場所になってきていて、今日もさっきまで徳島県庁の方たちが、フィールドワーク研修をしていました。


 植本さんへのインタビュー前、フィールドワーク研修後の教室に少しだけお邪魔しました。

株式会社ハレとケデザイン舎でのイベントにて、徳島県阿波振興担当の藤川さん、コンシェルジュの澤野さん、ハレトケの植本さん
▲左から「にし阿波サテライトオフィスプロジェクト」コンシェルジュの澤野さん、徳島県西部総合県民局企画振興部(美馬)にし阿波振興担当の藤川さん、ハレとケデザイン舎の植本さん、弊社鶴見

※にし阿波・・・徳島県西部の美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町の2市2町からなるエリアの総称


—— 今回はどういったことをされていたんですか?

藤川さん:今回は、3泊4日で徳島県職員の研修をやっていたんです。今、にし阿波には面白い方々がたくさん集まって来てくれているので、そういった方々を講師に招いて、実際に現地に出向いてフィールドワークをしたり、ここで座学を勉強したり、とにかく濃い研修をしていましたよ。

—— 3泊4日とは、かなり力を入れていらっしゃいますね。

藤川さん:やっぱり私たち行政も、にし阿波全体のサテライトオフィス誘致や「地方創生」を推進している側として、もっと民間のマインドを勉強しないといかんと思いますし、新しい政策を考えたり県民目線、現場主義に立った人材育成に取り組むきっかけにしたいと思っています。

—— ちなみに、澤野さんの「サテライトオフィスコンシェルジュ」とは、どういったことを?

澤野さん:サテライトオフィスに関する相談、セミナーや視察ツアーなどを行ったり、地元の方々との交流の場を設けたり、私たちもここに拠点を置く一企業として、にし阿波全体のPRをしています。行政の方だけではサポートしたくてもどうしてもしきれない部分が出てきますので、そこを私たち民間の企業が一緒になってサポートできるようにしていきたいなと思っています。


 植本:こうやって、人と人が繋がれる場所は大事にしていきたいですよね。

—— 最近では、宿泊施設も始められたんですよね?

植本:廃校を借りるときに3年分の事業計画書が必要なんですが、その時点ではもうやりたいなと思っていて、2016年の4月に「ハレとケデザインホステル」として、本格始動したところです。満天の星空とか、やっぱりこの場所に泊まらないと見られないものもあるなと思って。

ハレとケデザインホステルの施設内
▲家の形をしたかわいらしいベッドは可動式で、好きなようにレイアウトができる

植本:せっかくここまできてもらってるんだから、お客さん同士もコミュニケーション出来たらきっと面白いだろうなと思って、泊まれる部屋は2室のみで、寝袋の部屋には旅してきた写真を見せ合えるようにプロジェクターも置いてるんですよ。

—— 「繋がる」細かな気遣いがたくさん詰まったお部屋ですね。どういったお客さんが多いんですか?

植本:外国人のお客さんが意外と多くてびっくりしています。昨日はパリからいらしてて。

—— え?パリですか?日本人でも知らない人が多いはずなのに、すごいですね。

植本:私も来るまでわからなかったんですが、秘境好きな方がいるんですよ。

海外から来てくださった方と話しているときに、ここで英会話でコミュニケーションとかできたら面白いねという話になったり、そのうち、書道や茶道などもプログラムに入れたり、運営しながら少しづつやりたいことを実現できればと思っています。

—— ますます人が集まる場所になりますね。

東京では出会えなかった、地域をデザインする仕事

株式会社ハレとケデザイン舎の看板

—— 植本さんは、デザインのお仕事もされていると思うのですが、それは東京のお仕事を遠隔でされているんですか?

植本:そうですね、取り掛かっていた仕事もあったし、1年分の仕事を作って東京から持ってきていましたね。1年目は、東京とこちらの仕事は6:4くらいの割合で、2年目は半々くらいで、今年はもうこっちの仕事の方が多くなってきました。

—— もうこちらの仕事のほうが多くなってるんですね!

植本:そうですね。東京の仕事ももちろん好きなので、これからも続けていきたいですが、せっかくここにいるので、ここにいるからこそできる地域の仕事を増やしていきたいと思っています。

—— 両方のお仕事をされている中で、植本さんが感じる東京とこちらの違いってなんでしょうか?

植本:流れる時間が違いますね。今でもたまに東京に行って、クリエイティブディレクターの仕事をするのですが、とにかくぎゅっと凝縮されてる感じがします。

あと、こっちの仕事は1つのデザインも小さな「地域づくり」に繋がっていくんですよね。

—— 同じデザインでも大きく違ってきますね。

植本:比較するのは違うかもしれませんが、こっちの仕事は私にとてはとても魅了的で面白いから、もっともっと地域に関わる仕事を増やしていけたらなと思っています。地域が求めることに対して、デザインで課題解決ができればいいなと。

株式会社ハレとケデザイン舎の植本さん

—— 植本さんのお話を聞いていると、まだまだやりたいことがたくさんありそうなんですが、今後の展望を教えてください。

植本:このカフェは私たち家族にとって集大成だったし、いろんな人のコミュニティにもなれてやってよかったと思ってるので、次はなかなか仕事にしにくい、デザインやブランディングをカタチにすることを計画しています。

—— 自分の好きなことに力を入れていくんですね。

植本:そうですね。こっちに来ていきなり「デザイン」とか「ブランディング」と言ってもピンと来なかったんじゃないかなって。この地域のことを何も分かってないし、関係もできてないし。

—— なるほど。

植本:このカフェがあることで、たくさんの素敵な出会いがあったんです。その中で分かったことは、まだまだ知られていない良いものがたくさん隠れているということです。

例えば、この地域の土産物って少ないんですよ。空港や駅で売られているお土産を見てみると、香川や高知のものが多く感じられると思いますよ。良いものはたくさんあるけれど、ブランディングにはまだ手をつけていないようです。ブランディングって、できていなかったとしても商売にならないものではないんですよね。だから、この地域の土産物があまりなかったりするのかもしれませんね。

—— そうなんですか!?それはもったいないですね。

植本:でしょ?だから、一緒にブランディングの方法を考えて、徳島のものもちゃんとお土産になるようにデザインしていきたいって思ってるんです。

—— 素敵ですね。自分の力で商品が蘇っていったら嬉しいですよね。

植本:それと、県をまたいでなにかできないかなと。三好市ってちょうど四国の真ん中なんですよ。だから、四国中のものを集めて…なんてことも計画中です。

—— とても楽しみですね!今日はお忙しい中、ありがとうございました。 

▼ハレとケデザイン舎
ホームページ
facebookページ

 

編集後記 〜ハレとケ珈琲で出会った美味しいものたち〜

coffee

株式会社ハレとケデザイン舎の関根さん

チェキネこと関根さん(@chekinecchokotomoko)が丁寧にハンドドリップしてくださいます。お店全体がコーヒーの香りに包まれて、それだけで幸せ。豆も校舎の別室で焙煎しているというスペシャリティのコーヒー。

ハレとケ珈琲のドリンク

かわいらしいメイソンジャーに注ぐのもこだわりの一つ。校内をお散歩しながらでも持ち歩きやすいキャップ付き!

pizza

ハレとケ珈琲のピザ

サバのオリーブ漬けと徳島県特産すだちのピザ。防災月間のイベントで作ったメニューがとっても人気で、定番メニューになったんだとか。

cake

ハレとケ珈琲のスイーツ

パティシエの妹さんが作る絶品ケーキ。定番のレアチーズケーキと季節のケーキをチョイス。大のチーズケーキ好きが今まで食べたチーズケーキの中で一番美味しいと豪語するほど・・・!

非日常空間でいただく美味しい食事とコーヒーは、至福のひととき。取材に来たことを忘れてずっとここにいたいと思うほど・・・。
人がいなくなったはずの場所に、再び人が集まって、新たな出会いと面白い化学反応が起きている。ハレとケ珈琲は徳島県にとってそんな場所になってるんだなんだなと感じました。

そして、そんな場所を見事に作り上げた植本さん。「自分で何かを起こす人間ではない」とおっしゃる裏側には、底知れぬパワーが隠れていて、たくさんの人を惹きつける植本さんの魅力を感じずには入られませんでした。

3年経った今でもアイデアが止まらないといった様子に、取材させていただいた私たちもドキドキワクワクした素敵な時間でした。ありがとうございました。