育児と仕事はゼロかイチかじゃない。育休中もちょっと働く「半育休」やってみませんか? ── 橋本 吉央

育児と仕事はゼロかイチかじゃない。育休中もちょっと働く「半育休」やってみませんか? ── 橋本 吉央

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橋本 吉央(はしとも よしちか)

福島県出身。NPO法人フローレンスに勤務。新卒で大手システム開発ベンダーに就職。第一子の誕生をきっかけに自身の働き方を考え直し、転職。現在はメディア編集・ライティングとシステム開発を社内ダブルジョブで担当。第二子誕生時に3ヶ月半の育児休業を取得。育休中にも働く「半育休」を紹介するブログ「パパ半育休からの時短なう」にて、男性の育児休業や働き方について発信中。

Fledgeをご覧のみなさん、こんにちは。パパ半育休からの時短なう」というブログをやっている橋本と申します。普段は子育て支援のNPOでシステムやメディアの仕事をしています。

今年2017年の1月に第二子となる男の子を授かり、その際に3ヶ月半の育児休業(以下、育休)を取得しました。ただし、ただの育休ではなく、育休を取りつつも一部働く、「半育休」というスタイルでした。

今回はその半育休について、どういったものなのかご紹介させていただきます。

「育休、取ってみたいけど、ちょっとハードルが高いなあ……」という男性もきっと多いと思いますので、そんな方に「そんな選択肢もあるのか!」という気づきを与えることができれば幸いです。

半育休 ──「育児休業を取りながら一部働く」という選択肢

半育休はその名の通り半分育休ということで、育休でありながら、会社でも働くというちょっと変わった休業のスタイルです。

多くの場合、育休中は育児に専念し、会社の仕事は一切しないというのが一般的ですが、実はもともと育児休業の制度自体が、育休中に業務をするということも可能になっているんです。半育休は、そのオプションを利用した働き方・休み方になります。

ポイントをまとめるとこんな感じです。

半育休とは、育児休業を取得しつつ、通常より短い時間働くこと
・通常の育休と別の制度ではなく、育休の制度内に含まれる
・男女ともに使える
・月80時間までの業務であれば、育児休業給付金が給付される
・会社からの給与も支払われるので通常の育休より収入がアップする


半育休は通常の育休のオプション的な位置づけとなるため、男女関係なく利用することができます。

ちなみに「半育休」という言葉も、特にオフィシャルなものではありませんが、表現としてわかりやすいので普及してほしいと思っています。

重要なのは、あくまでも育児休業期間中であり、雇用保険から育児休業給付金が支払われる状態であるということ。その上で、短時間、会社の業務も行うというのが基本です。

そのため働く時間には制限があり、育児休業給付金を受給する条件は、働く時間が「月80時間まで」となります。

ちなみにこの勤務時間制限、かつては、「月80時間まで」ではなく、「月10日まで」というルールでしたが、最近の法改正によって、月80時間までOKとなりました。

これは地味に重要で、日数の制限がなくなったことで、1日2〜3時間だけ毎日働く、スーパー時短勤務みたいなこともできるようになりました。

しかも、在宅勤務も普及してきている昨今であれば、通勤時間もカットして本当に必要な仕事にだけ時間を割く、というのもやりやすくなってきています。

また、育休中の収入アップが見込めるのも重要です。育児休業給付金は、ざっくり言うと育休前の月給額面の50〜67%なのですが、半育休の場合は会社からの給与がここにプラスされます。

とはいえ、さすがに給付金と給与の両方をもらうことで育休前より収入が増える、ということはありません。給付金と給与を合わせた金額が、フルタイム時の月給額面の80%を超えないように、給付金のほうが減額されます。ですが、通常の育休より収入がアップするのはなかなかのメリットです。

実際、どんなように働けるのか?

考えられる働き方はいろいろありますが、例えば以下のようなパターン。

1.能動的に仕事はしないが、トラブル対応やどうしても本人に聞かないとわからないことが出てきた場合に業務に入ってサポートする

2.属人的な要素を排除できない仕事(例えば、記事を書く、登壇する、取材を受ける、など)を育休中も行う

3.人員体制的に業務を他のメンバーに引き継ぐのが難しい場合に、引き継げなかった仕事を無理のない範囲で行う


僕がやっていたのは「2.」のパターンで、育休中はメディア編集・ライティングなどを担当し、在宅勤務をしたり、オフィスに出勤したりして短い時間働いていました。

▲子どもを抱っこしながらの作業は難しいですが、リモートミーティングはときどき実施しました。

時間の制約もあるので、事前に職場と業務内容をしっかりすり合わせしておく必要がありますが、想像より柔軟に働くことができる制度です。もっとも、育休中なので家事・育児は大変ですが……。

半育休なら、パパも取りやすい

2014年に日本労働組合総連合会が行った調査によれば、男性の育休を取得できない理由の上位は、

1位:仕事の代替要員がいない
2位:経済的に負担となる
3位:上司に理解がない

となっています。


出典:パタニティ・ハラスメント(パタハラ)に関する調査「育休を取得したかったができなかった・取得したいができないと思う理由 (複数回答形式)」より

半育休の最大のメリットは、「引き継ぎを完璧に終わらせなくても大丈夫になる」ということ。属人性の低い業務を優先的に引き継ぎ、どうしても本人にしかできない業務については、育休中も本人が担当する、というやり方をすることで周囲の負担はかなり軽減されます。

引き継ぎがちゃんと済む場合も、「育休中も連絡を取れるし、(家庭との調整の上で)緊急対応もできるよ」という状況になるだけで、チームとしては格段に動きやすくなるでしょう。

また第2位の「経済的に負担となる」についても、半育休が負担を解消する可能性があります。

前述の通り、通常の育休だと収入となる育児休業給付金は月給額面の50〜67%ですが、半育休の場合はここに給与が加わり、最大で月給額面の80%まで収入がアップします。

しかも育休中は社会保険料が免除されるので、手取りで考えると、育休前との差はもっと小さくなります。

第3位の「上司に理解がない」については、ぜひそんなところからは異動なり転職なりで脱出すべし!……と言いたいところですが、「こんな制度もあるんスよ」という感じでどうにか懐柔するか、「いざという時は業務できますから!」という覚悟を見せて押し切るために提示してみるのもいいかもしれません。

半育休を取得する際の注意点

半育休はこのとおりメリットも多いですが、いくつか注意点もあります。

例えば、社会保険料については、通常、育休中は免除となりますが、会社から給与を受け取っている場合、雇用保険料が免除されなくなります。また、厚生年金保険料・健康保険料については、「育休中も、毎週月曜は出勤して7時間働きます」といったような、「定期的な就業」とみなされるような場合、こちらも免除されなくなる場合もあるそうです。

ですので、半育休取得を検討される場合は、事前に人事や社労士さんとしっかり確認しておくのがよいかと思います。

特に育休からの復帰を目指して超短時間勤務するというのは、働き手にとってもよいと思うのですが、社会保険料の免除がなくなる=収入が減ることを理由に断念するというケースもありえることを考えると、このあたりはもう少し労働者にやさしくしてほしいなと思います。

そして何より、仕事をするといっても、あくまで育児休業中。主としてやるべきことは育児と家事、そして(夫の場合は)妻のケアです。そこを忘れずに。

時短勤務とはどう違うの?

「超時短勤務」なんてワードが出てきたので、時短勤務制度(短時間正社員制度)とどう違うか気になる方もいるかもしれません。

時短勤務の制度がどういうものかの説明はこちらの記事(短時間正社員制度のメリット・デメリット)をご覧いただくとして、簡単に違いを説明すると、まず、時短勤務の場合、1日の勤務時間をフルタイム(8時間)より短くするというだけで、その他、就業日数や休暇取得の条件などはフルタイムと変わりません。場合によっては残業などもあるかもしれません。

一方で半育休は、最大80時間という制限の中でどう働くかはその人次第です。基本は仕事はせず、どうしてもその人の力が必要な突発的な事態になったときだけ対応するということも可能ですし、短時間で対応できる程度のタスクを受け持つというやり方もできます。

ただし半育休はあくまで育休であり、休業が主です。80時間という枠はありますが、育児に支障のないよう、職場・家庭と調整してできる範囲の業務を行うことが重要です。

時短勤務と半育休について、働く時間や収入など、簡単な比較表を作ってみました。こちらもご参考に。 

 

時短勤務

半育休

働く時間

1日の勤務時間を6時間まで短くできる

育休を取りながら、月に80時間まで働ける

働き方

・基本は勤務
・原則として、フルタイム勤務の時間が短くなっただけ
・会社と取り決めした日にち・時間で働く

・基本は休み(育児休業)
・80時間の制限の中でどのように働くかは人による

収入

・法律では特に定めなし
・8時間勤務→6時間勤務の変更であれば、基本給を6/8にすることが多い

・育児休業給付金(おおよそ月給の2/3)+働いた分の給与
・ただし給付金と給与を合わせた額が育休前月給の80%を超えないよう給付金が調整される

社会保険料

・雇用保険:特に変わらず
・厚生年金:子が3歳になるまでは、フルタイム(8時間)相当の基本給で納めたものとされる(実質一部免除)

・雇用保険:働いた場合は、保険料納付必要あり
・厚生年金:保険料は原則免除。ただし働き方によっては免除とならない場合がある

※利用条件について、詳細は厚労省のサイト等をご確認ください。

働き方にグラデーションがあってもいい

半育休と時短勤務はそもそも休みか、働くかという点で土台が異なり、それゆえ各制度の制約なども違います。

ですが、「がっつり働く」から「育児に専念する」までをグラデーション的に考えると、連続した働き方のあり方と捉えることもできます。

例えば、

育休が落ち着いてきたら、1日2時間在宅勤務にする
→慣れたら1日4時間(20営業日ならぎりぎり80時間以内)に時間を伸ばし、出社する日も増やす
→時短勤務で本格復帰

のようなこともできるわけです。

育児休業給付金をもらいつつ、育児にも時間をしっかり割きつつ、復帰に向けて少しずつ働くことができるのは、だいぶ助かるのではないでしょうか。

業務内容や勤怠の取り決めなど、職場と調整しなければいけないことも多いですが、企業の側としても、少しずつ業務を回したり、育休からのスムーズな復帰につなげられるというのはきっとありがたいはず。

「一億総活躍」や「働き方改革」が叫ばれる昨今、こんな働き方・休み方ももっと広まってもよいですよね。

特に、男性が家事育児にコミットすることは少子化問題解決のためのクリティカルイシューです。

最近お子さんが生まれたパパ、もしくはもうすぐパパになるという皆さん、「育休、取ってみたいけど、ちょっとハードルが高いなあ……」という気持ちがあるなら、半育休というオプションを利用して、「仕事にも家庭にもコミット」を目指してみてはいかがでしょうか?

▼橋本 吉央さんの最新の情報はこちらでチェック!
ブログ:http://ysck-hashimoto.hateblo.jp/
Twitter:https://twitter.com/ysck_hashimoto

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