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有機農業との出会いがもたらした、お金や生産性だけじゃない生きることの豊かさ。

有機農業との出会いがもたらした、お金や生産性だけじゃない生きることの豊かさ。

有機農業との出会いがもたらした、お金や生産性だけじゃない生きることの豊かさ。

地方での生活にスポットを当てた本連載。第4回目は、栃木県・那珂川町で有機農家をされている浜中陽平さんにお話を伺いました!

浜中さんの畑にやってきたつもりが、『馬頭農村塾』なる場所を発見!ここは一体何をしているところなのでしょうか?

浜中陽平(はまなか ようへい)

栃木県那須塩原市の『アジア学院』で農業を学び、『帰農志塾』の研修を経て那珂川町で新規就農。夫婦で農薬・化学肥料不使用にこだわった『陽だまり農場』を営む。NPO法人『馬頭農村塾』の管理・運営を務める。

誰でも農体験ができる『馬頭農村塾』と有機農家を経営

早速ですが、ここはどういった場所なのでしょうか?

浜中陽平さん(以下、浜中):『馬頭農村塾』は、敷地にある古民家や畑を使って、誰でも田舎暮らしや農業を体験できる施設です。一人あたり一泊千円で寝泊まりしていただくこともできます。僕たち夫婦はここの畑で有機農家『陽だまり農場』を営んでいます。

ご夫婦で有機農家をされているんですね。

浜中:はい、約120種類の有機野菜を栽培し、レストランに届けたり、有機栽培について理解してくれる方にネット販売しています。

有機農家だけではなく、馬頭農村塾を始めたのはなぜだったのでしょう?

浜中:ここは、僕が通っていた『アジア学院』という学校の元校長先生の土地なんです。

馬頭農村塾の管理者の方々はその校長先生を含め皆さん高齢で、この場所の担い手がいない状況でした。そこで当時学生だった僕に声がかかり、運営をしながら農業をやろうと決めました。

▲入ってすぐ、立派なツリーハウスが!

海外支援を目標に、外国人の中で農業を学ぶ

浜中さんが農業に興味を持ったきっかけはなんだったのでしょう?やっぱり、ご実家が農家だったとかですか?

浜中:いえ、実家も農家ではないですし、大学では科学の勉強をしていました。大学時代はつまらなくて、大学卒業後もやりたいことが何も見つからず、何か他にもっと自分にできることは?と考えて、漠然と海外に憧れるようになりました。ありがちですよね(笑)。

それで、渡航の資金を貯める目的でアルバイトをしていましたが、2011年に東日本大震災が起こり、そこからは復興のボランティアをしながら日本全国を周りました。

ボランティアで京都を訪れゲストハウスに泊まったとき、そこのスタッフから聞いてアジア学院の存在を知りました。那須塩原市にあるその学校は、途上国から来た学生に有機農業の技術とリーダーシップを指導しているとのことでした。

国際文化にも触れながら、技術を学ぶことができる。「まさに自分のやりたいことだ!」と感じ、その足で栃木県に向かってオープンキャンパスへ参加し、入学を決めました。

決断力がすごいです。海外へ行く目的も果たしたのですか?

浜中:それまでは漠然と「海外へ行きたい!」と言っていましたが、アジア学院でのある出来事をきっかけに、日本で農業をやろうと考え直すことになります。

アジア学院では2年間、外国人に混ざってコミュニティ開発と有機農業を学びました。農家不足や環境破壊、自殺率、そういった日本の抱える問題について知っていく中で、あるクラスメートから、「日本にはこんなにたくさんの問題があるのに、なぜ海外へ行きたいのか?」と聞かれて、僕は何も答えることができなかったんです。

それで、日本で農業をやろうと決意し、『帰農志塾』という日本でも有数の厳しい研修施設で有機農家を学びました。

“消費者との近さ”が有機農業ならではの魅力

なるほど。そこから新規就農されて今にいたるのですね。単刀直入に聞きますが、農業の仕事、正直飽きたりしないですか?

浜中:大変で嫌になることはあっても、飽きることは絶対ないですね。

有機農業は年間150種類くらいの食物を育てています。しかも1年に1回しかできないものも多いので、人生で考えたら数十回しか挑戦できません。そんな中で毎年少しづつ改良をしていく必要があります。

そんなに多くの種類を扱っているとは驚きです。有機農業ならではのおもしろさってどんなところでしょうか?

浜中:消費者との距離が近いことだと思います。有機農業は、自分たちのやっていることを発信して、応援してもらう関係づくりがベースにあります。直接消費者に野菜の説明をして、農業について理解してもらうことができますし、効率は良くないかもしれないけど、人とのつながりが生まれていくという楽しみがとても大きいですね。

あと、里山での農業は平野よりもむずかしい点が多いのですが、山から流れてきた水や、自然のもたらすいろんな生物に活かされていることを感じることができます。効率性だけでない、ここならではの魅力ですね。

▲広大な敷地を持つ『陽だまり農場』。「あの家の手前あたりまで畑です」と浜中さん。

“食”の大切さを一人でも多くに伝えたい

これからやっていきたいことはありますか?

浜中:今は農業で手一杯ですがこの馬頭農村塾を発展させて、お金から離れた生活にも、豊かさがあることを発信していくのが夢です。

僕らはここで大きな農家になってお金儲けをしたいんじゃなく、いろいろな体験をしてもらって、何か新しい価値観に気づくきっかけを提供したいと思っています。それはなぜかというと、自分が学生のときふらふらとして道を失って、何をしたら良いかわからないとき、アジア学院に行って、道が拓けたからです。

ここの古民家などの施設を使って、宿泊施設をするのもひとつの手だし、レストランにして畑の野菜を使ったりするのも良いと思います。

だからこれから、この土地を使って何か新しいことを始めていく仲間を探していけたらなと思います。

▲『馬頭農村塾』の敷地内には、手作りのピザ窯やドラム缶風呂も。

ここへ来る人にどんなことを伝えたいですか?

浜中:ここに来る学生さんでも食についてあまり興味がない人も多く、ファーストフードが中心の生活で自炊しない人も少なくありません。

そういう人に、食べることの持つ本当の意味を伝えたいですね。安心安全を謳う国産野菜やお米は巷にも溢れていますが、一概に全てが安全ではないことなどを知ることも大事だと思います。

もし、自分の体を作るものの8割が自分の手で作ったものであれば安心ですよね。そういったことに気づいてもらって、ぜひ野菜の味の違いも感じて欲しいです。

その第一歩として土に触れる体験を提供する活動も行っていて、2〜3時間農作業を手伝ってもらい、無料で野菜をお渡ししたりしています。気軽に来てもらって、農業の楽しさと大変さを知ってもらえたらうれしいですね。

取材を終えて

お客さんはただ買ってくれる人ではなく、自分たちのサポーターのような存在。という浜中さん。どんな思いで食物を育てているのか、思いのすべてを発信し応援してもらう、そんな仕事の仕方は、とてもうらやましいものです。浜中さんの畑で育った野菜は、ぎっしりと身が詰まり味が濃く、パワフルな思いが野菜にまでも伝わっているような気がしました。