時給を上げるにはアイデアで。5時間勤務で働き方を考える—フューチャーイノベーション

時給を上げるにはアイデアで。5時間勤務で働き方を考える—フューチャーイノベーション

時給を上げるにはアイデアで。5時間勤務で働き方を考える—フューチャーイノベーション

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いま働き方改革が話題ですが、中でも長時間労働の是正には強い関心が寄せられています。しかし働く時間を無理やり短くしても業務量が変わらなければ残業は避けられません。そもそも生産性向上の難しさから時間短縮に踏み切れないこともあります。

このような状況の中で、1日5時間勤務を実施している不動産会社があります。東京に本社を置く株式会社フューチャーイノベーションです。勤務時間を午後1時~6時までとし、それ以外の時間を個人の時間に充てるという画期的な働き方をしています。どうして5時間勤務にしようと思ったのでしょうか。同社代表取締役社長の新倉健太郎さんにお話を伺いました。

第1回
時給を上げるにはアイデアで。5時間勤務で働き方を考える—フューチャーイノベーション
第2回
毎日5時間勤務でプライベートも気力も充実、主体性が持てる職場環境—フューチャーイノベーション

新倉 健太郎(にいくら けんたろう)

株式会社フューチャーイノベーション 代表取締役 中央大学卒業後財閥系の大手ディベロッパーに入社し、日本を代表する大型商業施設の開発に携わる。38歳で不動産投資のベンチャー企業に転職し、入社3ケ月目で役員になり年収も1億円超に。その2年後となる2017年には独立を果たし、現在フューチャーイノベーションの代表を務める。

無駄な作業を省き、社員に考える時間を持ってもらう

 

フューチャーイノベーション代表取締役新倉 健太郎さん1

5時間勤務を取り入れたキッカケを教えてください。

新倉健太郎(以下、新倉):前職では大手不動産ディベロッパーで勤務していたのですが、本当は5時間で終わるような仕事を8時間かけてやっているという感覚がありました。夜遅くまで仕事をすれば寝不足になり、仕事の効率は落ちます。しかし仕組みを作れば5時間勤務にしても大丈夫だと思い、会社創業と共に踏み切りました。

結果として、昼間に眠くなっている社員を見かけることもなくなり、やってよかったと思っています。従業員は趣味や勉強の時間など自由に使っています。全体として共通しているのは、友人を含めて人と会う回数が増えたことですね。

多くの人と会うことは仕事に、ひいては人生にもとても良い刺激になります。良くも悪くも私たちは人からしか影響を受けないので、その機会が純粋に増えるのはいいことだと思います。

具体的にどのような仕組みを整えたのでしょうか?

新倉:無駄なことを省き、成果につながることを集中的にできるようにします。8時間で行なっていたことを5時間で終わらせようとすれば、効率を考える必要がある。作業は外注し、従業員には考える時間を持ってもらっています。

収入は「時給×労働時間」ですが、経営者としては働く時間を短くしたからといって給料を下げたくない。時給を上げるには仕事の質を上げないといけませんが、仕事の質を上げるためには作業ではなく、アイデアを出すしかないんです。そのために作業を減らし、従業員に考える時間を増やしています。

また、無駄を省くために行っていることですが、午後1時半~と午後5時~の2回、20分間誰とも話さない「集中タイム」を設けています。周りから質問されて手が止まり、集中力が切れないように1人でしかできないことに時間を費やしてもらいます。また、仕事に期限をもたせ、逆算して考えるように時間意識を持たせます。

無駄な時間を省いて「考える時間」を増やしたことで、社員にはどのような変化がありましたか?

新倉:積極性は増していると感じますね。サイト運営や販路拡大を任せた社員の働きぶりを見て「あ、こんなことができるようになったのか」と感じることはあります。

動画の編集を担当する社員が、ユーチューバーがどうやって検索件数をあげているかを話題にしていることがあり、その社員はいまや「ユーチューバーになってしまうかも」とまで言っている。半年前までやったことがないことで成長するなんて、人ってすごいなと思いますよ。主体的に動いた結果ですね。

僕は独立前に大企業とベンチャーでの勤務経験しましたが、大企業では仕事が細分化され、スペシャリストを養成しようとする。これは転職させないやり方とも言えます。対してベンチャーでは仕事量は多いですし、質も求められます。

仕事は携わっていること単体ではなく、関連することをどんどん吸収した方がいいです。営業なら、集客も物件の選定も両方できた方が仕事の幅は広がりますよね。そうやって関係する業務をどんどん巻き取って、伸びてほしいのです。

経営者は会社がなくなっても困らないけど、社員はそうはいかない。自分の経験の学びから弊社の社員達にも、他社でも使えるスキルを持ってもらいたいと思っています。これは面接でも伝えていることです。

営業も効率化を。苦手はどうやったら楽にできるか?

 フューチャーイノベーション代表取締役新倉 健太郎さん2

不動産業界は営業というイメージが強いです。営業を効率よく行うコツはなんでしょうか?

新倉:弊社ではポッドキャスト(※)で不動産に関する情報を70回ほど配信してきましたが、それだけ聴いてくれる人ならアプローチしやすく、顧客になってくれる可能性が高いと言えます。営業からすれば面談回数が大幅に減少するので、作業を減らしていることになる。こうすれば、少ない人数で大丈夫なのです。

以前関連会社に出向した時、顧客リストを渡されてひたすら電話させられたことがあります。僕は知らない人に電話するのが嫌いで、どうしようかと考えた結果、メルマガを送ることにしたんです。メルマガなら一回の手間で多くの人に送れるので時間的に節約できる。返信をしてくる人は関心があるので、成約する確率は上がりますよね。大切なのは一回の作業で終わらせることなのです。

弊社は不動産業者ですが、クリエイター色が強いですね!

さすが、会社概要にあるように「不動産とITの融合」ですね!

(※)ポッドキャストとは、インターネット上で音声や動画のデータファイルを公開する方法のひとつ。自分の好きな番組を登録すると、新たに公開されたデータが蓄積される。

しかしその一方で、営業職だと成績不振などで頑張らないといけない時期があると思います。そういった場合はどう対応するのでしょうか?

新倉:おっしゃる通り、営業職では5時間勤務が難しい場合があります。成績がいい人はいいけど、そうでない場合は質が足りていないので、その分を時間をかけて対応するしかないです。面談の数で言っても僕なら3人に1人は成約できるけど、20人に1人しか成約できない営業であれば、6倍以上の差を時間を使って埋めないといけない。

このバランスは本当に難しいですね。バックオフィスなら決められたことがある程度終わればいいですが、営業は成果が出ない時は、負荷をかけないといけない場合があります

そうした場合は時間で解決するんですか?

新倉:営業では仕方ないですね。顧客の都合に合わせることもありますから。営業の成約確率を上げさせる(能力を上げさせる)ことと、時間がかかるお客さんを集めないという仕組みをつくるという2つのやり方で対応していきます。

独立願望を持つ社員に、社内独立する仕組みをつくりたい

本当に素晴らしい取り組みですね。しかし、まだまだ御社のような働き方をする企業は日本では少ないです。新倉さんから見て、日本の働き方の問題点は何だと思いますか?

新倉:日本は職人的で、時間をどれだけ使って働くかという発想になってしまうことですね。なのでいかに楽にするか、効率化するという考えになりにくい。米アップル社のiPhoneのように私たちの生活を楽にするイノベーションが日本から生まれにくいなあと感じます。価値観の問題もあるので、国として難しいのかもしれませんが。

それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

新倉:社員に良いパフォーマンスを維持してもらうため、健康でいてくれることが第一だと考えています。人間ドックなどをどんどん取り入れていきたいです。

また、2018年に実行できるかわかりませんが、独立願望が出てきた社員に会社が1000万円ほど出資をして「社内独立」させたいと思っています。経営者側に立たせてみて、ダメだったら戻ってくることを認める。

先にもお話しましたが、いろんな仕事ができるようになって主体的に動けるようになると、ゴールは経営だと思うんです。何でも責任をとる必要があるわけですし。僕自身も当初は経営に消極的だったんです。でも様々なことができるようになって、消去法で経営者になりました。

ただし僕はさみしがり屋なので、社員には独立後も少なからず関わっていたいと伝えています。

一同:(笑)

ありがとうございました!

編集後記

働き方への意識が強く、社員がベストなコンディションで仕事ができることを第一に考える姿勢を感じました。

取材陣からの質問に対して即座に回答されていたんですが、それだけ確固たる信念がある証拠ですね。テンポ良く、かつユーモアを交えながら取材陣を笑わせてくれる素敵な方でした。また取材した会議室には仕事効率や仕事術についての書籍が多数並んでいて、社長の頭の中が垣間見えたような気がします。

▼今回お話を伺った会社
株式会社フューチャーイノベーション

第1回
時給を上げるにはアイデアで。5時間勤務で働き方を考える—フューチャーイノベーション
第2回
毎日5時間勤務でプライベートも気力も充実、主体性が持てる職場環境—フューチャーイノベーション
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