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ゴーゴー!“前のめり” ── NPO法人フローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた理由

ゴーゴー!“前のめり” ── NPO法人フローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた理由

ゴーゴー!“前のめり” ── NPO法人フローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた理由

社会問題の解決に取り組むNPOの中で、ひときわ「働き方」に真摯に向き合っている団体があります。それが認定NPO法人フローレンスです。

フローレンスは、子どもが37.5度以上の熱を出した時に保育園に代わって預かってもらう、いわゆる「病児保育」の事業を中心に複数の事業を展開しています。

そんなフローレンスは、これまでに社内で様々な働き方に関する取り組みを実施。その成果は『働きがいのある会社』ランキング6年連続受賞、『女性が働きやすい職場ランキング』で2位を獲得するなど、外部からの数々の表彰が物語っています。

今回はそんな同団体の取り組みにおける旗振り役である、「働き方革命事業部」マネージャー斉藤さんに、これまでの取り組みや、次々と施策を実行に移す“スピード感”を維持する秘訣について伺ってきました!

斉藤 幸子(さいとう さちこ)

NPO法人フローレンス 働き方革命事業部マネージャー 認定NPO法人フローレンス 働き方革命事業部 人事マネージャー。新卒で入社した「100年続く、旧態依然とした」IT企業にて人事などを担当、その後2008年にフローレンスに転職。新規事業立ち上げなどを担当後、現職。3児の母。

第1回
ゴーゴー!“前のめり” ── NPO法人フローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた理由

事業を立ち上げたキッカケは代表の母が耳にした一言

NPO法人フローレンス斉藤幸子1

フローレンスが立ち上がった背景には、どんな理由があったのでしょうか?

斉藤 幸子(以下、斉藤):2005年に代表の駒崎が病児保育事業を開始したのが始まりです。なぜ立ち上げたかというと、駒崎が自身の母親から“ある話”を聞いたことがキッカケだったんですね。

ある話とは?

斉藤:駒崎の母はベビーシッターをしていて、定期的にご利用いただいている顧客がいたんですね。ですが、ある日突然「もう明日から来なくていいですよ」って言われたそうなんです。

それを聞いて、駒崎の母は何か失敗でもしてしまったのかなと思って顧客に理由を尋ねたんです。

するとその方は、実は勤務先の会社から「子どもが頻繁に熱を出して会社を休むような人は、会社として雇用を維持することができない」と言われて解雇になってしまったそうなんです。つまり、もうシッターを頼む必要がなくなってしまった…ということだったんです。

そんなことがあったんですね…。

斉藤:その話を聞いた駒崎は「子どもが熱を出すのは当たり前なのに、それで仕事を辞めさせられる社会はおかしい!」と激怒して、その課題の解決のために事業を立ち上げることを決意したんです。

『女性が働きやすい職場ランキング』でも評価された「働き方改革」の歴史

フローレンスさんは、そんな経緯から病児保育の事業を開始されたわけですが、現在では複数の事業を展開されていますよね?

斉藤:はい。病児保育の事業から始まったわけですが、事業を進めていくに連れて様々な課題が付随して見えてきました。それが待機児童の問題だったり、障害児保育の問題だったり、あるいは働き方の問題だったり。私たちはそれぞれの課題に対して、事業を展開する中で課題の解決に取り組んでいます。

保育業界というと長時間労働やサービス残業など、労働環境の問題が度々話題に上がります。そんな中でフローレンスさんは『女性が働きやすい職場ランキング』に掲載されるなど、職場環境に関して外部から高い評価を受けています。どういった点が評価のポイントだと思われていますか?

斉藤:フローレンスでは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」というビジョンを掲げています。

その中で「働き方」については、病児保育の事業を進めていく中で見えてきた「親子の笑顔をさまたげる要因」の一つだととらえ、社内でも様々な取り組みを行ってきました。外部の評価機関からは、そういった点を評価していただけたと考えています。

パンフレットに記載されたビジョンの内容
▲パンフレットにもしっかりとビジョンが記載されています

斉藤:具体的な取り組み内容としては、まず2007年に「働き方革命事業部」を立ち上げ、働き方改革を進めてきました。

当時としてはすごく先進的で、世の中的にもまだ在宅勤務すら導入していない企業が大半だった中、いち早く着手してきました。以降の動きについては、こちらにまとめてあります。

「フローレンス働き方革命の歴史」の表

ダメ元でも意見が言える。風通しの良さが社内の特徴

在宅勤務や副業など、最近でこそ制度を個別に導入している会社さんは徐々に増えてきましたが、一環してこれだけ多くの取り組みを実施されている企業はなかなか少ない印象です。

斉藤:フローレンスでは社員から要望が挙がった際、その都度どう対応すべきかを検討した上で制度化してきましたので、気づいたらいつの間にか増えていた…という感じですね(笑)

社員のニーズを上手くすくい上げてきた結果だと思うのですが、どこにポイントがあるんでしょうか?

斉藤:現在、本部の座席はフリーアドレスになっているので、たまたま隣に座った人同士で「こんな制度あったらいいよね!」という雑談レベルの話をしたり、働き方革命事業部にもたくさんの人がいるので、みんながそれぞれ「こんなことを言ってたよ〜!」というような話をよく共有しています。

あとは普段からざっくばらんに何でも話し合える組織なので、ダメ元でもとりあえず言ってみるという文化が根付いているんですね。

例えば、子どもが体調を崩した時に通常の休みとは別に取得できる「看護休暇」があるんですが、「子どもが3人もいるとすぐに使い切っちゃうから、何とかならない?」という感じで現場からも相談のメールが飛んできたり。

この看護休暇の件も含め、中には叶えられない要望もあるんですが、気軽に意見や要望が言えて、またそれが許される雰囲気というのはフローレンスの大きな特徴の一つなのかなと思っています。

社内で社員同士が話している様子
▲インタビュー前後のわずかな時間にもメンバー間で情報共有がそこかしこで行われていました

フローレンスさんは、以前からそういった雰囲気だったんですか?

斉藤:そうですね。少なくとも私が入社した当時から今のような雰囲気でした。私が以前に勤めていた企業は真逆の雰囲気でしたので、私がフローレンスに来て一番驚いたのが実はこの部分でした(笑)

そうだったんですね!

斉藤:みんな、割と好き勝手言うな〜って。良い意味でですよ?(笑)

(笑)

革新を止めないスピード感を維持するための評価項目

フローレンスさんは、日々様々な取り組みを積極的に実施されている印象が強いんですが、この“スピード感”を維持できる要因はなんでしょうか?

斉藤:フローレンスには、ビジョンの下に「行動指針」というものがあるんですが、その行動指針の中に『ゴーゴー!“前のめり”』という項目があるんですね。

代表の駒崎は「いくら組織が500名を超える規模になろうが、ベンチャーマインドは絶対に失わない」という主旨のメッセージを繰り返して発信していて、組織全体としてもその姿勢を貫いています。

フローレンスの行動指針の一つ「ゴーゴー!“前のめり”」
フローレンスの行動指針の一つ「ゴーゴー!“前のめり”」

斉藤:また仕組みとしては、成果・評価の中に「スピード感」を評価する項目があるというのも特徴ですね。

その評価項目について、詳しく教えてもらえますか?

斉藤:一番はビジョンにどれだけ共感しているか、またビジョンに基づいた行動、業務を推進できるのかという点を評価していて、その次に来るのが「人材育成」の観点です。ちゃんと人が育つ環境を作れるのか、フィードバックが適切にできるかという点ですね。

あとはチームワーク、やりきる力、現場感などの指標があるのですが、その中には「イノベーション力」と「変化への対応」という項目があります。

日々新しい課題に直面し、短いスパンの中でやり方を変える必要がある場面に遭遇した場合、イノベーション力が足りていないとどうしても守りに入ってしまうんです。「そんな期限だと無理だし、もっと時間を掛けて検討しないと…!」って。

ですが、私たちの場合は「新しいやり方を試してみて、もしダメだったらその時はその時でまた考えて変えていけばいい」というマインドで進めていくことを重視していて、実際にその点を評価しています

組織として改革のスピード感を緩めないためにも、しっかりと行動と評価を上手く連動させていくことが重要だと考えています。

社内の普及に役立った「在宅勤務制度」導入の実証実験

NPO法人フローレンス斉藤幸子2

これまで斉藤さんが「働き方革命事業部」として社内改革をしてきた中で、一番記憶に残っている事例は何ですか?

斉藤:一番記憶に残っているのは「在宅勤務制度」ですね。なぜかというと、“私自身”が実験台になりましたからね(笑)

そうだったんですね!

斉藤:私は2008年にフローレンスに入社して、当初は働き方改革コンサルタントとして他の企業の働き方改革を担当していたんです。その後、社内のWebを担当することになったんですが、その中で「Webの業務って、細切れよりはある程度こもって集中してやった方が効率いいよね?」という話になったんですね。

そこで、自宅で試してみようという話になり、ひとまず一ヶ月間、在宅勤務を実践する中でどれくらい効率が上がるのか、どんな課題があるのかを探るべく私の在宅勤務がスタートしました。

ただ、これは実際に試してわかったんですが、私はずっと一人で黙々と仕事をするスタイルがあまり合っていなかったので、ものすごく疲弊してしまって。「人と話してないと無理です!!」ってすぐに報告しました(笑)

その後、1週間のうち3日は家で集中して作業をすることにして、後半の2日はミーティングに出るために出社するやり方に変更したり、今度は一日置きに在宅と出社を切り替えたりと、色々なパターンを実際に試しました。

自分自身が体験してみないことには、良いも悪いも言えないですからね。

斉藤:そうなんです。人によって最適な頻度は異なるにせよ、やはり必ずしも毎日出社して仕事をするよりも在宅勤務を入れた方が効率が上がったことは実感できましたので、社内で普及していく際にも、自分の経験を元に実感をこめて伝えられたのが大きかったですね。

当時のフローレンスとしても、在宅勤務制度をはじめ様々な制度を社外に向けて発信した結果、本当に立ち上げ間もない時期だったにも関わらず、優秀なスタッフが数多く入社してくれたんです!そういう意味でも、在宅勤務の事例は私自身とても印象に残っていますね。

自分たちの「働き方革命」を社会に発信していく

NPO法人フローレンスwebサイトトップページ
▲背景で再生されるムービーも印象的なフローレンス公式サイト

最後に、現状のフローレンスの完成度、そして今後について伺えますか?

斉藤:「完成度」については、どこまで行っても100%になることはないんだろうなと思っています。

言い訳みたいですけど、その時々の組織の理想形があると思っているので、30人だったときの理想の組織のあり方と、500人になった時の理想の組織のあり方は違うなと思っています。

ですから、現状に甘んじず、常に「今は7割くらいの完成度」だと思って、5年先を見据えながらやっていかないといけないと思っています。

今後についてですが、社内でいくら制度を整えたとしても、スタッフからは日々何かしら声が挙がってきます。これはまさにフローレンスが取り組んでいる事業と同じで、課題はいくら解決しても次から次に出てきます。

そういう意味でも「働き方革命事業部」としては諦めることなく、常に新しい働き方を模索して、メンバーが働きやすい環境を整え、またその事例を社会に対して発信していきたいと思っています。

NPO法人フローレンス斉藤幸子3

次回予告

今回はフローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた秘訣について伺いました!次回は東京から金沢に移住し、フルタイムのリモートワーカーとして活躍されている同社の社員の方にお話を伺っています!こちらもお楽しみに!!

▼今回お話を伺った会社
認定NPO法人フローレンス

第1回
ゴーゴー!“前のめり” ── NPO法人フローレンスが保育業界で「働き方革命」を起こせた理由