<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=1176794389076832&ev=PageView&noscript=1" />

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(初級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(初級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(初級編)

日本におけるホラクラシー経営の第一人者であるダイヤモンドメディア株式会社の武井さん。

編集部では過去にも取材をさせて頂いたことがありますが、企業がホラクラシーを正しく理解し、導入するにはまだまだノウハウや成功事例が少なすぎると感じています。そこで、武井さんに「ぜひ、そのノウハウをFledge内で公開させて下さい!」とご依頼したところ、なんと快く引き受けて下さいました!!

そして全4話(35問)の質問にお答えいただきました。

間違いなく完全保存版の記事です!ホラクラシーを知らない人も、これを機会にぜひ知って欲しいと思います。

代表取締役 武井 浩三(たけい こうぞう)

日本で最初の「ホラクラシー型」組織である、ダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役。自らのブログでもホラクラシー型組織のテーマを中心に積極的に情報発信中。

1.ホラクラシー型組織の最大のメリットはなんですか?

無理がないので価値のある組織・事業が作れるということに尽きると思います。言い換えれば、ホラクラシーの方が長い目で見れば儲かる(笑)

もう少し言うとホラクラシーとは自然の摂理に抗わない組織の構造とメカニズム(力学)の事なので、経済合理性、持続性、社会性、自然環境への配慮等々を最大化させることで、無理なく自然とできるようになることがメリットと言えます。

2.ホラクラシー型組織の最大のデメリットはなんですか?

うーん。デメリット。無いと思うんですけどねぇ(笑)

なぜならホラクラシーは、自社や自分自身だけでなく外部の全てのステークホルダー(顧客、パートナー、コミュニティ、自治体、社会、国家、もっと言うと自然環境、全ての生物鉱物)にとって、自然で健全な関係性を保つための組織形態のはずなので、世の中にとってそもそもデメリットが生まれないのが本来的なホラクラシーだと思っています。

強いて言うなら前例が無いので仕組みや情報のインフラを作るのが難しいということですかね。

あ、あと、経営者や個人にとっては、エゴというか私欲的な「もっと売上が欲しい!」とか「早く会社の規模を大きくしたい!」とか「楽して手っ取り早く給料を上げたい!」とか、そういうことが全くできなくなってしまうというのがデメリットかもしれませんが、他の人にとってはデメリットではないので難しいところですね(笑)

3.なぜホラクラシーを導入されたのですか?

ダイヤモンドメディアがこういった非管理型経営を始めた2007年には、ホラクラシーという言葉は、まだ日本にはありませんでした。なので「ホラクラシー」という言葉自体にこだわっていないので「ホラクラシーを導入した」という感覚はありません。

本当に良い会社を作りたいなぁと漠然とした感情を具体的に落とし込んでいく、ということを繰り返していくうちに、自然と形ができてきたという感じです。

「なぜ管理をしない経営をしようと思ったのか?」という質問だとすれば、「一度会社を潰した経験から、世の中にとって本当に価値のある事業、価値のある組織を作りたいと思ったから」と回答すると思います。

4.ヒエラルキーだった組織が、途中からホラクラシーに変わることは可能でしょうか?

可能です。ヒエラルキーという組織構造は、置かれた環境下に対して最適化されているだけなので、環境を変えれば自然とホラクラシーに変わることができます。というかホラクラシーに変わってしまいます。その環境を整えるのが大変なんですけどね(笑)

具体的には「情報の透明性」「付与された権力の放棄」「報酬の分配システム」の3つを整えれば、組織は勝手にホラクラシーになります。

5.上司がいないことによって、判断に迷う社員はいないのでしょうか?

それは、上司がいないことによって迷っているのではなく、彼もしくは彼女が、判断する知識や能力をまだ備えていない、という事実があるだけだと思います。能力が高い低いというのは、背が高い低いみたいなものだと思っていて、個体差なのでそれ自体に良いも悪いもなくて。

ダイヤモンドメディアでどのように意思決定や判断が行われているかというと、①分かる人に相談する、②分からない人が無理に判断しない、という2つに尽きると思います。

ですので上司という固定化された役割は必要ないと思っています。

6.ホラクラシー型組織を目指して「みんなで話し合う」時間を増やしました。正しいですか?

基本的には正しいと思います。ホラクラシーにおいて組織の一体化を目指すには、何よりもプロセスを共有することが大事だと感じています。つまり一緒に考える、ということ。

ただ、弊社が過去に失敗して大いに反省したことの一つに、「何でもかんでも話し合ってしまう。」ということがあります。その事案にあんまり関係のない人まで呼んで会議をしたり、ひとりふたりで決められることなのにわざわざ10人呼んで会議してしまうとか。

あと、定量的なデータや事実が無い状態で、お互いの主観だけで話し合うと永遠に平行線になってしまう場合なんかもあって、「朝まで会議」が横行していたというひどい時期もありました。話し合いを「会議」というオフィシャルな場以外で行うことがとても重要だと思います。日常的なコミュニケーションの中で話し合いを解消してしまうという感じ。

弊社の場合、コツは3つあります。①チャットツールや社内SNSを活用する、②雑談しやすいオフィス環境を作る、③ブレインストーミングを多用する。この3つで社内のコミュニケーションがかなり活性化している印象です。

もう1点だけ、別の視点からコミュニケーションの活性化というものを考えてみたいと思います。あくまで私見ですが、対人間での情報流通というものは「コンテクストが強いところから弱いところに流れる」という傾向があるように思います。

例えば「社歴が長い人の方が低い人よりもよく喋る」「年齢が高い人の方が低い人よりもよく喋る」「能力が高い人の方がよく喋る」「肩書が上の人の方が下の人よりもよく喋る」等です。

この「コンテクストの偏り」がコミュニケーションの全体性を阻害すると考えると、「上司部下が無い」「肩書は自由」「給料は相場で決める」などの立場をフラットにする制度が、そのコンテクストを無くすのに機能していると思っています。

7.メンバー間での信頼関係が強くないとホラクラシーは成立しないですよね?

そもそも信頼関係って何なんでしょうかね?(笑)

僕もいまだによく分からないのですが、ダイヤモンドメディアの今までの経験で言うと、信頼というものは仕事や何かの共同作業を通じて、結果として残るものであって、最初に作ろうとして作るものではないし、ましてや作れないものだと感じています。

「良い会社を作ろう!」「お客様に良いサービスを提供しよう!」という考えに反対する人って、恐らく皆無だと思います。でも実際の仕事の中では、それができなくなってしまう場合ってありますよね?

仕事の中で信頼関係が維持できなくなってしまう場合って、その人の能力と業務にミスマッチが起きている時だと思っていて、それを解消させるように色々改善をしていくのですけど、その際に結構多いのが、そもそもその人がその仕事に適していないので業務から外れる、もしくは会社自体を辞めるというケースです。

なのでダイヤモンドメディアに残っている人や、いまだにつながりがある人たちの間には強い信頼関係があると思います。あくまで結果として。

8.こんな会社にホラクラシーを導入しても失敗するという特徴は何ですか?

ホラクラシーのような生物的組織において、最も邪魔というか障害になるのは経営者のエゴだと思います。

「自分の思うとおりに社員を動かしたい」「マーケットシェアを拡げたい」「利益率を5%上げたい」というものはエゴである場合が多いと思いますし、なんだったら「良い会社を作りたい」という想いすらエゴになってしまう場合があると感じています。非管理型経営ではコントロールや結果に対する執着を手放していくことが不可欠だと思うので、組織内で既得権益をなくさないと上手くいかない。

稲盛和夫さんがよく「私心なかりしか」と、おっしゃられていますが、私心が強いとホラクラシー的な組織にならないと思います。僕自身もまだまだ自己研鑚中ではありますが、むしろ人間から私心や煩悩を無くすのは不可能だとも思っているので、ダイヤモンドメディアではエゴが暴走しない仕組み作りを心がけています。

例えば「代表・役員の選挙制(厳密には投票で決めませんが)」「給料を相場で決める」「成果・業績・労働時間と給料は連動しない」などの制度が、個人のエゴの介入を許さない場の力によるマネジメント(市場の原理)です。

9.ホラクラシーの理解度を高めるために、必ず読んでおきたい書籍はありますか?

とても良い質問ですね!僕の断片的な説明よりも書籍の方が全体のイメージが湧くと思います。

コーチングやコミュニケーション・トレーニングなどの、関係性を円滑にするようなソフトスキルについては、ここでは省かせて頂きます。なぜならホラクラシーとは組織構造の話なので、あくまでも構造設計がきちんとなされているかが重要であると思うからです。

ただ、具体的な制度設計やオペレーションなどに触れている書籍は世界中を見てもありませんので、あくまでイメージを固めるために参考になる書籍をピックアップしてみました。

奇跡の経営(リカルド・セムラー著)
セムラーイズム(リカルド・セムラー著)
経営の未来(ゲイリー・ハメル著)
非常識経営の夜明け(天外伺朗著)
山田昭男のリーダー学(天外伺朗著)
わら一本の革命(福岡正信著)
リンゴが教えてくれたこと(木村秋則著)
働かないアリに意義がある(長谷川英祐著)
ピーターの法則(ローレンス・J・ピーター著)
ザッポスの奇跡(石塚しのぶ著)
社員をサーフィンに行かせよう(イヴォン・シュイナード著)
流れとかたち(エイドリアン・ベジャン著)
武学探究(甲野善紀著、光岡英稔著)
生物の進化に学ぶ乳幼児期の子育て(斎藤公子著)

※アメリカのブライアン・ロバートソンの著書「ホラクラシー」は、参考図書として挙げておりません。ダイヤモンドメディアの取り組むホラクラシーは前述の通り構造体としての設計なのですが、ブライアンが当該著書で述べているのは会議やプロジェクトの運営メソッドのようなソフトスキルに当たると思ったからです。理想の組織像については恐らく一致していると思うのですが、構造体としての参考にはならないと判断しました。

10.ホラクラシー型組織では一定の知識・経験が必須に思えます。新卒を採用しても良いものなのでしょうか?

全く問題はありません。ホラクラシー組織の中で働く上で、ホラクラシーやその他の組織論などの専門的な知識を学ぶ必要はありません。もちろん知らないより知っていた方が便利だとは思いますが。

そもそもダイヤモンドメディアは新卒・中途・正規雇用・フリーランス・協力会社などを区別していません。仲間、チーム、組織、顧客と対話をするスキル・知識は必須と言えるかもしれませんが、これも座学的に学べるものでは無いと感じています。

学んだ人しか組織に居られない、というのは組織という土台として余りにも脆弱だと思います。それってつまりは、組織が個々人の知識や能力に依存している状態とも言えますから。

専門的な知識が無くてもダイヤモンドメディアに居続けられる人は、世の中に価値を生み出している人だとも言えると思いますし、自然とその方向に整っていくような制度設計になっています。