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ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(上級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(上級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(上級編)

ダイヤモンドメディア株式会社の武井さんによる、ホラクラシーQ&A 1000本ノック。中級編に続いて、いよいよ上級編です。どうぞ!

代表取締役 武井 浩三(たけい こうぞう)

日本で最初の「ホラクラシー型」組織である、ダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役。自らのブログでもホラクラシー型組織のテーマを中心に積極的に情報発信中。

21.ホラクラシー導入のために必要なステップを教えてください。

良い質問ですね!みんな具体的なやり方を知りたい訳ですからね。

ホラクラシーは別の言葉で言うと「複雑系」と呼ばれるのですが、複雑系は立体構造なので、構成要素を単純化してリスト化する事ができません。でも時間軸で説明することができます。

僕がフレームワーク化したホラクラシー化のステップは超シンプルで、たったの3ステップです。この3ステップで、業種・業態、規模、営利非営利を問わず、全ての組織をホラクラシー化させることが可能です。

▼組織のホラクラシー化のための3ステップ
1. 情報の透明化(情報インフラの整備)
2. 役割の流動化(固定化された役割や権力、既得権益を無くす)
3. 場の力のマネジメント(相場の報酬システム、ファシリテーションによる会議など)


企業規模やフェーズによって、全体に行き渡らせるための期間には差が出ると思いますが、理論上はどんな規模の組織にも当てはめることができます。

規模が大きい組織ほど相場が機能するので安定感が生まれると思いますが、ホラクラシーは全体性という意味なので、不必要に大きすぎる組織は分裂した方が良い場合もあるかもしれません。

自然の摂理とは必然性のことでもあると思うので、必然性がなければ企業規模を大きくしない方が良いですし、逆に必然性があれば大きく括った方が良いと思います。

22.給与は「相場」で決まるというのがなかなかイメージがつきません。「相場」とは、どのような要素によって成り立っているのでしょうか?

最も身近な相場である「株式市場」が例えとしては理解しやすいと思います。上場企業の株価は需要と供給で決まります。株価を決める「誰か」がいるわけではありませんよね?意思決定者がいないけれども、受給のバランスで株価が保たれる。これが相場です。

また別の例ですと、スーパーマーケットなどで売られている商品の価格も相場で成り立っていますよね?高すぎると売れないし、安すぎると儲からない。そして競合する商品や代替商品が沢山ある中で、顧客と競合とのバランスの結果として価格が形成される。これも相場だと思います。

前述しましたが、企業とはそもそも「資本市場」「競争市場」「労働市場」という3つの市場に晒されています。この「労働市場」を適切に機能させることがダイヤモンドメディア流のホラクラシーの最大の特徴であると思います。

会社の内部に「労働市場」を持つということは、2つの相場に分解できます。

1つは社内での「給料相場」。もう1つは社外における相場、弊社では「マーケットバリュー」と呼んでいますが。社外におけるマーケットバリューとは置き換えが利くかどうか、という側面が大きいように思います。

例えば「彼のような人材が他社に転職したらいくらぐらいの報酬を得られるか」「この人ぐらいの能力を持った人材を採用するのはどれくらい大変か」「この人の仕事をアウトソースしたらいくらぐらいでできるか、もしくはアウトソースできないのか」というような問い。

これら2つの相場からの観点で、ダイヤモンドメディアの給料は決定されます。この「相場」を適切に機能させるために、そもそも情報の透明性が必要不可欠でもあります。

23.報酬に関して、労働分配率や人件費比率などの目安は定めているのでしょうか?

労働分配率、人件費比率は集計できるように全てデータベース化されています。

今現在の会社の状態を客観的に把握するために数字を見ることはあります。しかし目安や目標は定めておりません。売上や支出全体に対する人件費比率は、ダイヤモンドメディアもまだまだ30名程度の小さな会社ですので、小まめに見ています。しかし、それ自体が直接的に意思決定に関わることは殆どないと思います。(なぜ「思います」と答えたかと言うと、私が採用に全く関与していないので分からないのです(笑))

全ての数字には背景がありますよね?悪い黒字もあれば、良い赤字もある。良い支出もあれば、悪い売上もあります。我々は意思決定が本質からブレないようにするために、あえて全ての数値的な目標を持っておりません。しかしリアルタイムにかなり細かく把握しています。だから破綻することもありませんし、業界の標準的な人件費比率などもある程度は把握しております。

価値があるかどうか。これだけが我々にとって重要なことであって、価値のあるお金は高くても払いますし、価値のないお金は1円でも使いたくありません。その基準は金額の多寡ではなくあくまで「価値」にあると思います。

24.給与を完全にオープンすることで、妬みや不必要な競争、それによる個人プレーが助長されませんか?

同様の質問をよくされるのですが、これは全く逆の方向に力が働きますね。

給与が開示されると不当な報酬や給与格差の歪などが全てあらわになってしまうので、その差を正当に説明できない場合には、報酬額自体にテコ入れをしないといけなくなります。そうすると正当に成果を上げて顧客や仲間や会社に貢献している人の報酬が自然と上がっていきます。

社内政治や上司へのゴマすり、個別交渉による駆け引きなどが入り込む余地が一切なくなるので、とにかく社内の風通しが良くなります。一生懸命働いていても、経営者に不当に搾取されているとか、どうせ頑張っても上司に手柄も報酬も持っていかれる、というような感覚が無くなります。事実、そうなので。

給与をオープンにするということは人事権を手放すということと同じだと思っています。一般的な組織では、人事権という権力はものすごい力を持っているはずです。いわば生殺与奪権(※)です。

その脅威から開放されることでしか、社内における心理的安心は得られないと思っています。そして権力者がいない環境で、給与という具体的な数字にまで落とし込むために、株式市場のような「相場」が必要になってくるのです。

(※)生殺与奪権(せいさつよだつけん):相手を殺すも、生かすも思いのままにできる状態。またその権利のこと。

25.ホラクラシー型組織において、例えば意見が割れたときに、どのように物事が決定するのでしょうか?

これは回答が難しい質問ですね。ダイヤモンドメディアでは意思決定というプロセスが分散化してしまっているので、いつどこでどのような意思決定がなされたのかが分かりにくいのです。前提として客観的情報をしっかりと集めて情報の分析そして、決定を下すという傾向はあります。主観で判断しないというか。

それでももちろん事業の展開やオフィスの移転など、影響の大きな決定事項はあるので、そういう時にはとにかくブレストを用いた会議を頻繁に行います。方向性を揃えて互いの思考を一体化させると、二極対立のような構造はほとんど生まれません。

それでも両極の意見が存在する場合には、リスクやコストが無ければとりあえずやってみますし、大きな代償を伴う場合には決定自体を延ばして放ったらかす。また状況によっては、意思決定できる人が独断的に最終判断する場合もあります。ですので決まったルールやパターンはありません。

組織的にNGのルールとしては、多数決による意思決定は特に重要な場面においては絶対にしません。多数決はマジョリティを取ってマイノリティを捨てる意思決定方法です。しかしながらリーダーシップとは常にマイノリティですので、組織内で多数決の意思決定を繰り返すと、組織からリーダーシップが失われていってしまいます。そうすると「社内政治」「派閥争い」「ルール第一主義」のように組織が官僚化して腐敗していきます。

26.Q1で「ホラクラシーのメリットは無理なく自然とできるようになることである」とありますが、何らかの外部要因によって、事業が一気に赤字に転落したとします。このような一大事でも、無理のない自然体で乗り越えられるのでしょうか?

考え方として2通りで説明できそうな気がします。

1つは、自然体でいるということは不要になったら、とっとと無くなってしまった方が良い、という究極的な考え方です。自然の摂理の一部として事業自体に社会的必要が無くなったとすれば、無理に事業を生き長らえさせる必要もないと思います。

公的事業と違って、民間の株式会社の良いところは、潰すことができることだとも言われています。事業を通じて社会貢献する者として考えることは「どうすれば世の為、社会の為になるか」ということだけなのではないでしょうか。

それともう1つの考え方というか、ホラクラシー的に事業を行っている上での感覚の話なのですが、ホラクラシーの世界観には「競争」という概念がありません。「適切な住み分け」しか存在しません。

競合他社を出し抜きたい、マーケットを寡占したい、というような考え方は、そもそも顧客や市場、社会には全く関係というか必要が無いはずです。そういう感覚の中で事業を無理なく在るべき姿に育てていけば、社会的に事業が不必要になってしまうという事態も、そうそう起きないように思います。

天変地異のような事態が起きたら、もうそれは事業とか会社の利益とか個人の利益とかの話ではなく、皆で地球を守ろうよ、という結論に強制的に至るのではないでしょうか(笑)

27.会社が危機的な状況だと、どうしても能力の高い人間が指示や命令をして、統率を取った方がシューティングが早いように思いますが、そんなことはないのでしょうか?

弊社ダイヤモンドメディアの内部での話をしますと、上司部下のような「会社が公式に与えた権力」というモノが無いので、その都度その都度で適切な人がリーダーシップを発揮します。発揮しない時もあります。

その中でも緊急度の高い状況では、判断の取れる人が独断的に意思決定をしてスピードを最優先して対応する、という場合もあると思いますし、実際弊社の中でもあります。サーバーのトラブルなど、インフラ系のトラブルは緊急度が高いですね。

ホラクラシーだから統率を取ってはいけないという訳ではないと思っています。能力や経験値の差によって、トップダウン的に「とりあえず、これやってみてよ」というような関わり合いもあると思います。重要なのは必要性・必然性であって、それが実態の伴わない権力や既得権益、立場の違いなどから生まれない、ということだと思っています。

28.ホラクラシーを実践するために、公開・共有することが必須だと考える情報は何でしょうか?またその理由についても併せて教えてください。

会社内部の金銭関係の情報は全てだと思います。給与や個人の経費などまで。それ以外に定量化できる情報はすべてデータベース化して可視化すべきだと思います。

頭脳労働が主体のIT産業では労働時間と成果に強い相関関係が無いので、レイバーデータの可視化は、必要性としては製造業などの比較的実態労働に近い産業に比べると低いと思います。(ダイヤモンドメディアでもどこまでのデータを可視化するかは、永遠の議題です。)

分析をして改善ができる活動はデータ化して公開すべきですし、分析をしてもあまり意味のない活動はデータ化しても得られるものが少ないので、しなくても良いと思います。その線引は「過ぎたるは及ばざるが如し」的なものだと思うので、あくまで「最大のパフォーマンスを発揮する」というアウトプットにつながっているかどうか、が基準だと思います。

定性的な情報の公開やデータベース化については、チャットツール、社内SNS、社内Wikiのようなツールを活用することが必須だと思います。チャットツール上でのオープンな議論は、企業の透明性そのものだと思います。会議もチャットツール上で展開すれば、参加していなかった人も簡単にオブザーブすることができますし。もしかすると定量的な情報よりもコミュニケーションの透明性の方がホラクラシーには重要かもしれませんね。

29.これからの時代に生き残る企業とそうではない企業の違いについて教えてください。

そもそも何をもって「これからの時代」を定義するか、というところからだと思うのですが、個人的にはこれからの時代は「予測不可能的」であり「情報化された世界」であり「統合に向かう世界」だと思っています。

ダーウィンの進化論では「環境や変化に適応した生物が生き残る」と言われています。それは紛れもない真実というか、それ以外に無いと思います。なので変化に対応できる感度や柔軟性が組織に必要になるのは明らかだと思います。

また、想定外の事態が起きた時に被害を最小限に抑えたり、即座に復帰に向かうようなレジリエンス(復元力)も必要になってくると思います。レジリエンスのような力は生物学では自己組織化とも呼ばれます。

これらは色々なところで話題に上がっているので、誰もが頭では理解していると思います。でも具体的に何をどうしたら良いのか、が見えていない。だから漠然とした不安感が残っている。そんな状況が今の世の中(特に日本)だと思います。

そのヒントになるのが、ダーウィンの進化論で説明しきれていない、もう一つの「生物・鉱物の進化論」です。それは「どの方向に進化が進んでいるのか」という論点です。それを解明している書籍や論文では下記のように説明されています。「全ての生物・鉱物は、流れがより円滑に効率的に向かう方向へ進化し続けている。」

情報通信技術が生まれる前のアナログな環境下においては、実はヒエラルキーという組織形態が、最も情報流通効率の高い組織構造でした。自然界にも同様のツリー型構造は沢山見られます。猿や狼などは生存確率を高めるためにヒエラルキーを作ります。河川の支流や植物の葉脈や人間の血管は、ヒエラルキーと同じようにツリー構造です。

しかしITの発達によって情報伝達の方法が劇的に進化しました。前述の通り「より円滑で効率的」な方向に。この進化があるからこそホラクラシーが存在し得るのだと思います。

30.現在、他社と連携した新しい採用の仕組みを構築されたと伺いましたが、なぜこういった取り組みを開始されたのでしょうか?

今まで不動産×フィンテック×ITという領域に専念して事業を行ってきましたが、2017年の秋頃から人材事業を開始しました。人材紹介の許認可も正式に取得しました。弊社が、こういった新規事業へ参入する際は「この業界が儲かりそう」とか「このマーケットが伸びてて熱い」とか、そういう金銭的な判断基準は一切無視しています。あくまで必然性に任せています。その中で、なぜ人材事業を始めたのか。まずはこのサービス自体の説明をさせて頂きたいと思います。

弊社が新たに始めた「Tonashiba」という人材サービス。簡単に言うと「社員シェアリング」です。「隣の芝生は青く見える」という諺がありますが、我々の感覚では「青く見えるなら、とりあえず行ってみればいいじゃん?」です(笑)

元々弊社が人材事業開始の3年ほど前から、自社の事業やフェーズに合わなくなってきたメンバーを、知り合いの会社にお試し転職させてもらって、相性が良ければそのまま採用してもらう、合わなければ戻ってきてまた別の会社にお試し転職する、という事を何度もやっていました。

というのも、透明性の高い組織を作っていると、会社や事業の変化に合わなくなってくる人材というものが浮き彫りになってしまいます。全ての情報が透明なので、いわゆる「ぶら下がり社員」というモノが存在できません。この浮き彫りになってしまったメンバーをどうしようか、という話し合いからこのサービスの原型が生まれました。

仕事とメンバーのスキルとのミスマッチは、あくまでミスマッチであって、個人の責任ではないと我々は考えます。なので「合わなくなったら、合う会社に転職した方が良いんじゃない?」という流れも、会社の中でごく自然と発生してしまいます。そもそも日本だけでも400万事業者いるわけですから、1社に固執する必要もないだろうと。

そしてこの構想を懇意にしている数社に話したところ、「面白そう!」「うちも参画したい!」というかなり前のめりな声を頂いたので、これは想像以上に世の中に必要とされているなぁと思い、思想に共鳴する企業が集まる場としてプラットフォームを立ち上げました。

また弊社では副業をしている正規雇用のメンバーもいます。昨今「副業解禁」の風潮が強まっていますが、一般の企業に勤める方が副業をするって、ハードルが高いですよね。しかも内職のような仕事ではなくて、他社の仕事を手伝うとなると。

そういうのを気軽に企業間でやってしまおうよ、というのがこの社員シェアリングの「Tonashiba」です。まず他社の会議に参加してみる、次に週1日か2日、他社の仕事をしてみる、そして良ければそのまま転職もできてしまう。企業同士の壁を無くして、自分の持つポテンシャルを最大限に活用しながら自由に仕事ができる世の中。それが「Tonashiba」の目指す世界観です。2018年はこのプラットフォームを世に拡げて行きたいと思っております。