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ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(中級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(中級編)

ホラクラシーを徹底解剖!ダイヤモンドメディア武井代表Q&A 1000本ノック(中級編)

ダイヤモンドメディア株式会社の武井さんによる、ホラクラシーQ&A 1000本ノック。初級編に引き続き、中級編をどうぞ!

代表取締役 武井 浩三(たけい こうぞう)

日本で最初の「ホラクラシー型」組織である、ダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役。自らのブログでもホラクラシー型組織のテーマを中心に積極的に情報発信中。

11.ホラクラシー型組織について、周囲から一番聞かれる質問は何ですか?

質問しやすいというのと、一般的な組織論から最もかけ離れているという理由からでしょうか、やはり「報酬体系、給与制度、人事評価」の具体的なシステムに関する質問が多い印象です。

「上司がいないのにどうやって給料を決めるのですか?」「相場で決めるってどういうことですか?」「『私は月給100万円欲しい!』とか言う人が出てきませんか?」「成果報酬なんですか?」「利益の分配はどうしているのですか?」

具体的には上記のような質問ですね。一つひとつに個別に答えることもできなくは無いと思うのですが、報酬の分配って色々なものと緻密に絡み合っているので、個別解決できないというか、整えると全部がいっぺんに解決するという感覚なんです。だから説明が難しい(笑)

そもそも全ての営利組織は「資本市場」「競争市場」「労働市場」という3つの市場に晒されています。それぞれの中で市場のニーズに応えるものは支持され、マーケットフィットしないものは厳しく淘汰される。ですがこの中で、労働市場が最も歪があると考えています。

なぜならば労働者自身が労働市場にさらされるのは就職・転職活動を行っている一瞬しかないからです。企業の内部においては、内部のメカニズムが働くので、労働者は企業の報酬形態に最適化してしまいます。

しかし本来は、労働市場における価値を高めることこそがキャリアと呼ばれるものであると思います。ダイヤモンドメディアは社内にいながらもすべての人が労働市場に晒されます。ぶっちゃけ、めちゃめちゃシビアですがそれこそがフェアネスの追求に繋がっていると思っています。

12.ホラクラシー組織で活躍できる人の特徴は何かありますか?

ダイヤモンドメディアで長年ホラクラシーを続けてきた結果として感じるのは、自分自身を実力以上に良く見せようとしたり、能力以上の対価を得ようとする、というような行動がホラクラシーにおいては、組織という生き物に最も嫌われるようです。

そういう行動を取っていると生き物が不要なものを排出するように、自然と吐き出されてしまいます。これも伝え方が難しい(笑)吐き出された人が一方的に悪いという訳ではなく、ただそのときに会社が求めているものとその人の能力が合わなくなってきた、という話なのですが。

ダイヤモンドメディアで長い間吐き出されない人は、等身大・自然体で仕事をしている印象がありますね。無理に背伸びしないというか、でももちろん頑張るんですけどね。

13.ホラクラシー型の組織において、経営者、およびメンバーが特に意識すべき点はなんですか?

これはホラクラシーに限った話では無いと思うのですが、稲盛和夫さんのおっしゃるとおり「私心・私欲・我欲・エゴ」だと思います。これらが個人や会社をおかしな方向に引っ張っていってしまいます。

ヒエラルキーの組織って、エゴを暴走させて原動力に変えて走らせる側面があると思っているんですね。そういう内部の力学というものが個人のエゴによって捻じ曲げられ、お客様や市場に関係のないことにものすごい労力を割かれてしまう。いわゆる社内政治とか派閥争いとか最近だと忖度(そんたく)なんて言われてますけど(笑)

ああいったものは全て、組織内部におけるコンフリクトであって、本来的には全く不必要なものだと思っています。これを個別に解決するのではなく解消する(そもそも問題自体を無くしてしまう)のがホラクラシーという組織構造だと思っています。

なのでパーソナルに言えば「自分の考えていることは本当に自分以外の全てのためなのか?」と説い続けることが大事だと思いますし、組織の制度などをチューニングする際にも「誰か特定の個人のための仕組みになってしまっていないか?」と問うことが大事だと思います。

14.国内において、ホラクラシー型組織の数は今後どのように変化すると考えますか?また、その理由はなぜですか?

急激に増えていくと思います。事実、最近立ち上がっているスタートアップなどで規模が急拡大していない組織は、実態としてかなりホラクラシー的だと思います。透明性が高い組織の方が良いに決まってますからね。副業OK、時短、リモートワーク、週4、デュアルワーク、コワーキング、などなど働き方の文脈では話題に事欠かないですが、ホラクラシーは全てを包括しているとも言えますので、方向性的に間違いないと思います。

増えていくにしても、なぜ急激に、と思っているかというと、ホラクラシーはネットワーク型組織とも言えるのですが、ネットワークをつなぐ技術やサービスがとんでもない速さで発達してきているからです。

IoT、ブロックチェーン、仮想通貨、ICO、SNS、チャットツールすべてが、人間、モノを問わず、個々間の関係性をリデザインしていると言えます。ホラクラシーもそうです。ホラクラシーとブロックチェーンやICOやSNSなどはとても相性が良いです。これらがこれからもっともっと相乗的に絡み合って共進化していくと思います。

あ、あともう1点急激に増えるであろう要因として、具体的な組織設計などについて、弊社がコンサルティング事業を開始したという点も挙げられます。自社の紹介ですみません(笑)

15.導入したけど今は廃止した制度・取り組みについて教えてください。また、それはなぜですか?

これは今まであまり触れてこなかったですね。すごく良い質問。我々にも気付きがありそうです。まず頭に浮かぶ過去の取り組みを羅列して、やめてしまった理由を簡単に説明しようと思います。

・給料を自分で決める「自己申告制」
自己申告を加味するとプレゼンテーションが上手い人の給料が上がってしまい、社内の給料相場が乱れるてしまうという現象が生まれてしまいます。市場の原理を研究した結果、自己申告(自己評価)を一切排除しました。

・個人の目標を決めて自分で管理する「目標管理シート」
7年間ぐらい試行錯誤して継続させましたが、目標設定が得意な人不得意な人、書いても目標達成できない人、書かなくてもものすごい成果をあげる人、そもそも目標が正しいのか、目標に意味があるのか、などと掘り下げた結果不要だということになり、一切やめてしまいました。何一つ困ることはありません。

・社内取引をする「アメーバ経営」
売上を部署間で分配するアメーバ経営を導入しました。アメーバ経営の原則の中にある「一対一対応」や「ガラス張り経営」などの原則はいまだに残っているのですが、プロフィット業務・ノンプロフィット業務に別ける、部署間で社内取引をするという側面は、ホラクラシーを阻害してしまいました。ホラクラシーは全体性そのものなので、区別して分けるという取り組みが合わないようです。もちろん収益・支出などを細かく把握すること自体は絶対に必要なのですが。

・自分の成果を細かく管理する「個人P/L」
数字管理を細分化する取り組みとして個人のP/Lまで落とし込もうとしました。これと給与も多少連携させて。でも現実的に個人のP/Lを把握するのは不可能なのと、アメーバ経営と一緒で社内取引が発生するので、取り分の奪い合いが生まれてしまいました。社内で奪い合っても意味が無いのでやめてしまいました。

・毎日価値観について深め合う「クレドミーティング」
ダイヤモンドメディアには明文化された理念が無いのですが、仕事そのものが理念であると考えているので、その価値観を共有して深め合うために、毎日のようにクレドミーティングを実施していました。6年間くらい。でも、いくらこういう時間をとってもお客様のためになっていないと気付きやめてしまいました。これはビジネスモデルに拠ると思います。ホスピタリティがビジネスのコアコンピタンスである場合には、このような仕組みは強力にプラスに働くと思います。しかしダイヤモンドメディアのビジネスモデルは、かなり専門的なビジネスソリューションなので、それを強化するものを制度化する方がお客様のためになると気が付きました。

・自分の夢をプレゼンテーションする「夢プレ」
自分を仲間に知ってもらうための夢プレも6年くらい続けました。基本的にこう言った取り組みは面白いんですけどね、でも意味が無いと感じてやめてしまいました。営利組織って、仕事を通じた関係性なので、パーソナルな部分を理解し合う前に、互いの仕事をリスペクトできることの方がよっぽど重要だと考えるに至りました。

・360度評価を毎週繰り返す「社内NPS」
NPSとはネットプロモーターズスコアの略で、商品やサービスを知人に紹介したいと思うかどうか、という1軸だけで0から10の11段階で評価をするという満足度の評価手法です。これをメンバー同士で互いを評価し合うことを半年くらいやりました。しかも毎週。でもこれは大失敗でした。やればやるほど人間関係が明らかに悪くなっていきました(笑)

そこで気付いたのは、誰かに評価されるってすごくストレスフルな行為であるということ。評価という仕組みが生まれると、意識的に良い評価をされるための行動を取ろうとしてしまうのが人間です。でもそういう最適化ってとても局所的。「評価をする」という行為自体が会社に不必要なのだと気付いて、給料を相場で決めるシステムを作り上げました。なのでダイヤモンドメディアには人を評価をするというシステムはありません。相場はありますが。

・武井と毎月1対1面談をする「タオ会」
これも6年くらい続けましたね、毎月。でもやめちゃいました。これは完全に僕の自己満足でしたね。深く理解し合うという名目で、1人30分~1時間ずつくらい時間を取って腹を割って話し合っていました。僕からアドバイスをしたり。

でも僕のアドバイスの精度の低さが酷くて(笑)コーチングを勉強したりして色々試してみましたが、結局会社ができることは環境の整備だけであって、人間を変えるというのはおこがましいなと思うようになりキッパリやめました。

・毎週開催する定例の「経営会議」
毎週KPIや全社の進捗を確認するための経営会議を行っていた時期がありました。でも情報の共有も意思決定も自由にやっているので不必要になってやめてしまいました。

今では、経営会議のような選ばれた者だけの固定化された会議は百害あって一利無しだと感じています。選民意識が生まれかねないというか、経営会議のような会議が固定化されてしまうと、やっぱりそこに権力が生まれてしまいます。ホラクラシーの大敵は権力なので経営会議をやめてしまいました。でもどうにか会社は存続しています(笑)

他にも色々な制度が出ては消えていきましたが、細かいものを挙げるとキリがないので、現在のダイヤモンドメディアの制度に活きている教訓的なものだけをピックアップしてみました。

16.国内のホラクラシー企業の中で、参考になった企業や取り組みはありましたか?

新しい経営スタイルを実践している企業は、世界中調べましたが、日本にはかなり参考になる例が多いと感じました。その中でも単純に「良い会社」ではなくて、非管理型の経営を実践しており、社内に自然の摂理的な自浄作用が働いている企業が幾つかありました。それが「未来工業」と「メガネ21」です。もちろん他にもそのような会社は存在すると思うのですが、上記2社は書籍やホームページから具体的な取り組みや考え方の深いところまで知ることができたので、ダイヤモンドメディアでも参考にさせて頂きました。

未来工業の創業者の故山田昭男氏の経営手法は、ものすごい天然の非管理型だと思います。権力というものを完全に手放している印象です。「報告連絡相談はしなくていい。」という彼の発言は、一見とても過激なものに映りますが、本質として「上司が命令をするから、報告や連絡が必要になる。命令を無くせば必然的に報告連絡相談は不必要になる。」という理論があります。彼がそれを意識していたかどうかは別として。(彼の本当の発言は「ホウレンソウなんてポパイに食わせちまえ!」です(笑))

そして広島のメガネ21(創業者:平本清氏)は、もっと踏み込んだ経営をされています。会社に利益を残さずに全て分配してしまうという取り組みなどは、究極に近い経営の民主化だと思います。給料などの社内情報を全て公開してしまう点などは、ホラクラシーそのものだと思います。

ここで両社の経営を説明しきることはできないので、ご興味のある方は書籍やホームページをご覧頂くことをお薦めします。

山田昭男の書籍一覧
平本清の書籍一覧 

17.ホラクラシー経営に向いている業界、業種、ビジネスモデルなどありますか?

IT業界のような、時間や場所に比較的制約が無くて、なおかつ情報化しやすい業種は、ホラクラシー化しやすいように思いますが、それは一長一短でもあると思うので、基本的には全ての業種業態で可能だと思います。

ただ、色々な非管理型企業を研究したのですが、全ての業種業態にホラクラシーを適用させるには「相場」で決める報酬システムが必要不可欠だということも分かってきました。ほとんど全ての企業において、報酬システムというものは良くも悪くもビジネスモデルに最適化してしまっています。

これはつまり固定化されていると言えるので、ビジネスモデルという大枠だけでなく、収益構造や顧客層が変わるだけでも報酬システムの見直しが必要になってしまいます。ましてや新規事業の立ち上げや経営の多角化、イノベーティブな事業創出などに足を踏み入れると、既存の報酬システムは全く機能しなくなってしまいます。

報酬システムが機能しない、というのはどういうことかというと、優秀な人材に適切な報酬を支払えなくなってしまう、もしくは、適していない人材に不必要に高額な報酬を支払ってしまう、ということです。これでは優秀な人材ほど新たな領域に踏み出しにくい環境になってしまいます。本来は新規事業のような難易度の高いものほど優秀な人材がアサインされるべきなのに。

今のところの僕の結論からいくと、「相場」による報酬の分配システムは最も汎用性の高い報酬制度であると思います。そしてそれを社内に作り上げないことには、ホラクラシーが本来持つ無限の自然の力を活用しきれないと思います。

18.ズバリ御社での採用基準について教えて下さい!

「人相」です!以上!(笑)

19.新しいメンバーが入った場合、仕事の仕方に慣れるまでに時間がかかったり混乱することはありませんか?工夫していることなどがあれば教えて下さい。

ホラクラシーというか、ダイヤモンドメディアでの働き方は、確かに少々特殊ではあると思います。2017年の今現在では。将来的にはこれが当たり前になると思っていますけど。上司がいないし、教育もないし、キャリアパスもない。あるのは「自然の摂理」という漠然とした方向性のみ。実際過去には、中途で入社したメンバーが働き方に慣れずに1ヶ月で再転職をした、というケースもあります。

ダイヤモンドメディアとして「他の企業に移ってしまうこと」を悪いことと捉えていないので、1ヶ月で転職してしまうとか、10年勤めた方が転職してしまうとか、長く勤めることが善、という風に決めつけずこだわらず、あくまで自然に任せてやっておりますが、それでもやっぱり、働いてみる前と後でのイメージのギャップを少しでも減らす努力は必要だと思い、こんなものを作ってみました。

ダイヤモンドメディア サバイバルジャーニーガイド

このサバイバルジャーニーガイドのプロローグをご紹介します。

【プロローグ】
ダイヤモンドメディアで楽しく生産的に働くためには、私達が目指す自然の摂理に則った労働環境を理解する事が必要になります。この労働環境は、ダイヤモンドメディアやダイヤモンドメディアで働く人があなたに強いるものではありません。自然界に存在する法則そのものです。この自然の摂理を理解しそれに適応する事で、結果として誰もが楽しく生産的に働く事が出来るようになる事をダイヤモンドメディアは目指します。

このガイドは、新たなダイヤモンドメディアメンバーが迷いや不安に直面した時に、多少の道標や心の拠り所になる事を目的として作成されました。

地に足を着け、自らの人生を自らの足で歩いてゆく事をディープグラウンディングと言います。社内において自分が最も貢献出来る領域を、仲間との相談を重ねながら模索するプロセスの事を、ここではサバイバルジャーニーと呼びます。そしてサバイバルジャーニーを健全に体験するためのガイドラインが、この「サバイバルジャーニーガイド」です。

サバイバルジャーニーは自然の法則そのものですので、時に楽しく時に厳しく、 その時々で姿を変えるでしょう。しかし、良い面も悪い面も含めた全てがあなたの人生であり、サバイバルジャーニーはそんな人生の縮図とも言えます。そのプロセスにおいて重要な事は、サバイバルジャーニーを通じて、あなたがあなたらしく輝く術を見つけ、自らの人生を自らの足で歩む事です。あなたの旅路が光り輝くことを心から祈っています。

20.社員のホラクラシーに対する理解を深めるために、実践されていることはありますか?

特にありません。というのも、関与する全ての個々人が、知識として理解しないと機能しないシステムや組織構造は、そもそも意味が無いと思うからです。ましてや我々の顧客にとっては、弊社の社内の組織構造やシステムは関係ありません。顧客が求めるのは「良いサービス、良いプロダクト、良い顧客体験」ですから。でも逆説的に言うと、それだけを追求できるようになっているのがホラクラシーだとも言えます。顧客に無関係な社内政治や内部の力学を一切排除しているので。

ダイヤモンドメディアで働くこと、そのものによってホラクラシーを体感し、知識だけでなく経験知を獲得し、身体的にも理解できるようになると思っています。ですので「実体験」というものが社内には溢れていると思います。「給料を話し合って決める」「上司部下がない」「社長役員を選挙と話し合いで決める」「社内の情報が全てオープン」こういった弊社の取り組み全てが、ホラクラシーの理解を深めるためのプロセスであり経験であると思っています。