「制度」ありきで働き方は改革されない。パラレルキャリアを「文化」にするクリニカル・プラットフォーム

「制度」ありきで働き方は改革されない。パラレルキャリアを「文化」にするクリニカル・プラットフォーム

本日は現在抱えている課題も含めてリアルなお話をできればと思いますので、よろしくお願いします。

開始早々、取材の意気込みを語ってくれたのは、クリニカル・プラットフォーム株式会社で正社員として働きながら、ご自身の会社を経営している堀辺 憲さん。

同社で初めてパラレルキャリアをスタートした堀辺さんと、経営企画を行っている﨑田 博之さんから、パラレルキャリアの制度を導入した背景やその後の運用について詳しくお話を伺って参りました。

第1回
「制度」ありきで働き方は改革されない。パラレルキャリアを「文化」にするクリニカル・プラットフォーム
第2回
限られた時間の中で、より良い質の「生きる」と「働く」を ── クリニカル・プラットフォーム

﨑田 博之(さきた ひろゆき)

2007年に監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)に入所、マネジャーとしてIT業界、小売業、製造業、商社等への監査・IPO準備支援、組織構築・業務改善・M&A・事業計画作成等のコンサルティング・アドバイザリー業務に従事。2016年よりクリニカル・プラットフォーム株式会社に参画し、ファイナンス業務及びコーポレート部門の立ち上げに携わる。公認会計士。

堀辺 憲(ほりべ けん)

1996年に株式会社クボタ、2004年に3M Japanにおいてセールスならびに事業開発、マーケティングに携わる。 2012年より株式会社ディー・エヌ・エーでコーポレートコミュニケーションに従事し、一般社団法人日本ソーシャルゲーム協会(JASGA)の啓発委員も務める。以降、コイニー株式会社、株式会社ビズリーチ、クリニカル・プラットフォーム株式会社などのスタートアップ、IT企業でPR部門の立ち上げやマネージメントに携わる。2016年1月にmixtape合同会社を設立。サポートのためのワークフロー管理ツール「formrun」を開発。共同創業者 兼事業統括責任者として、プロダクトマーケティングを推進。2016年12月のリリース後、6ヶ月で1,800を超えるユーザーを獲得。

パラレルキャリアを会社の「文化」に

── 堀辺さんがクリニカル・プラットフォームでパラレルキャリアをスタートしようと思ったキッカケを教えて下さい。

堀辺 憲(以下、堀辺):入社前から「キャリアの自己実現をしていきたい」「世の中へサービスを提供することへ積極的に関わりたい」という想いがあって、起業しようと決めていました。

ただ、実際に働きながら起業するという手段は時間や財務的な観点から非常に難しいため、パラレルキャリアを認めてくれる企業に入ろうと思いました。そこで出会ったのが、クリニカルプラットフォームだったんです。
弊社代表の鐘江はコンサルティング出身で、多様な働き方に対して寛容でした。

── 堀辺さんがクリニカル・プラットフォームに入られる前から、パラレルキャリアを行っている方はいらっしゃったんですか?

堀辺:いましたが、パラレルキャリアの明文化はしていませんでした。
魅力的な働き方とか、多様な価値観を認めることは、一つのカルチャーにも繋がります。そういった意味でも、パラレルキャリアを明文化させましょうという働きかけをしました。

── では、堀辺さんが中心となってパラレルキャリアの明文化が進んでいったんですか?

堀辺:いえ、初めは具体的な制度もなければルールもなく、不文律のような形でスタートしました。

そんな状態を変えてくれたのが﨑田なんです。彼は入社してすぐ「パラレルを会社のカルチャーとして根付かせましょう」と呼びかけてくれました。

── なぜ、﨑田さんはカルチャーとしてパラレルキャリアを根付かせて行こうと思ったんですか?

﨑田 博之(以下、﨑田):前提としてのお話をすると、「制度」と「文化」は違うと思っていて「制度」を作っても活用する人としない人はどうしても出てきます。
それを踏まえた上で「制度」を活用する人と活用しない人がお互いに理解し合える「文化」にしない限り、「みんなが等しく多様な働き方ができる」といった最終的な目的やゴールにたどり着かないと感じました。

なので、会社の「統制」を図るための「制度」ではなく、会社の「文化」を根付かせるための一歩としての「制度」設計はすべきだと思ったんです。
「パラレルキャリアやリモートワークって何のためにあるんだっけ?」「何を目的にするんだっけ?」という部分を意識して「制度」に落とし込むようにしました。

堀辺:ルールからはみ出ちゃいけない、他の人がやってないことをやってはいけないと自己判断でブレーキを踏んでしまいかねませんからね。

メンバーが自分に合った働き方を通じて生まれたパフォーマンスの向上や、社内の限定された空間や機会では得られないイノベーションなどを、会社は期待しているんです。多様な働き方を行うには「会社」の目標と「個人」のパフォーマンスや視座がマッチングしないと意味はないと思います。
「会社」も「個人」もどのゴールを目指しているか分からないまま、流行りに乗って「うちもやりましょう」ではたぶんアジャストしない。

だからこそ“制限をかける制度設計”ではなく、“文化が根付いて広がる制度設計”を目指しています。

── ただあるだけ、では疑問しか生まれないですよね。「何であるの?」っていう。

堀辺:本当にその通りで、いきなり新しい制度を取り入れたと言われてまず「Why?」が出てくると思うんですよ。そこに理由をしっかり説明してあげないと次に「Why?」が生まれて、使わない人が出てきたり、反感を食らったり、それこそ制度そのものが崩れてしまう。結果、「やらなきゃよかった」になってしまうんですよね。

期待以上の責任を果たしてこそ、パラレルキャリアが成り立つ

── 実際いかがですか?「パラレルキャリアを始めてよかった」と感じますか?

﨑田:課題は沢山ありますが、やって良かったと思います。パラレルキャリアは各々のセルフマネジメント力が必要不可欠ですし、接触する相手のバックグラウンドも多様になるのでコミュニケーション力がより求められてきます。組織の中でも当然に必要なこの2つの力が、パラレルキャリアによって鍛えられていると感じます。

── そういった力を身につけるために行っている取り組みはありますか?

﨑田:それはなくて、自然と身についていると思いますね。
というのも、少人数の組織で各々のミッションがお互いに明確なので、その役割を果たせなけば組織全体に迷惑をかけることになります。特にパラレルをやっていると、後ろ指をさされるリスクが高いので、自然と高められているのかなと思います。

堀辺:仕事をしっかりやって、更に自身のキャリアを実現しているのは一つのロールモデルですよね。でも、仕事がちゃらんぽらんで「あいつ全然できてないじゃん」と周りから思われているのに、自分のやりたいことをやっていたら、それはパラレルキャリアとして成立しません。
パラレルキャリアに求められていることは、与えられたミッションに対して期待以上の責任を果たすこと。責任を果たしてこそ会社からも期待されて、事業やチームへのインスピレーションにも繋がっていくと思いますね。

経営者任せにしない。会社はメンバーみんなで経営するもの

── 社外での活動内容ってみなさん社内でオープンにされてるんですか?

堀辺:オープンにしている人はオープンにしてますが、社外での活動内容を常にリポートする必要はありません。

メンバーがお互いの環境や機会を自然と理解しあうのは一番良いことだと思いますが、最低限のルールからはみ出していなければ、強制も否定もする必要はないと思いますね。
一方で会社のカルチャーとしてそれが絶対に正しいかは実際に分からないので、そこはメンバーみんなでディスカッションして、確認し合って高めていかなければならない部分だと感じてます。

上の人間が勝手に決めて上意下達するものではないですし、声の大きい人や目立つ人が絶対にリードしてしまうので、そういう人ばかりがリードしないように心がけてます。

── 上の方から意見を言うより、なるべくメンバーの声を吸い上げるようにしてるんですか?

﨑田:そうですね、ボトムアップが多いです。
代表自ら、みんなが意見を言いやすいように環境を作ってくれています。

堀辺:もちろん、すべての意見を取り入れると会社としてブレてしまうので、経営陣はメンバーへ丁寧に意思確認をしながらしっかり舵取りをしてくれています。

── メンバーみなさんが、会社をアップデートしていこうという意識が凄く高いですね。

堀辺:従業員という意識下ではなく、個々が経営視点をもって事業に参画している点が背景にあると言えます。共通のミッションとビジョンのもとに、各々が役割に対してコミットメントする。そのために、必要なコミュニケーションは積極的に行っていくというのがカルチャーとして根付いていますね。

また、組織もフラットな階層を採用しているため、自然とオープンディスカッションが生まれやすい環境だとも思います。

── パラレルキャリアで得られたことを活かせるのは凄く重要ですよね。自分も会社も、どちらともに還元ができてこそ成り立つものですよね。

堀辺:パラレルキャリアを推奨する会社はまさに「還元」を期待していますよね。
会社で提供できる機会や経験は限定的ですが、社外から得られる機会や経験は非常に貴重です。
パラレルキャリアで得た知見、スキル、カルチャー、失敗事例も成功事例も含めて会社や事業そのものにフィードバックできる点は大きいのではと思います。

目的・目標を明確化することが、パラレルキャリアには重要

堀辺:「他社さんがやっているならうちもやった方がいいかな…」と目的や効果を考えず、制度ありきで検討されるならそれは絶対にやめた方がいいと思います。「制度」ありきで物事を考えるのは「手段」を「目的化」しているので失敗するケースが多いです。

会社に課題があって、それを解決するための一つの手法として取り入れる、会社としての必要性を考えなければ機能しないと思います。まずは自分たちの会社の課題は何なのかミッションは何なのか、それを改善するためにはどんな方法があるのか、その方法の一つとしてパラレルキャリアが合うのであれば導入すべきですね。

── 会社の向かうゴールや目標にフィットすることが重要ですよね。

﨑田:それも重要ですし、僕は自律性を鍛える一種の機会としてパラレルキャリアという選択肢を認めるのは凄く効果的だと思います。実践して経験を積んだ方が成長は早いので、例えば新しい事業を自分でやってみたら経営者の気持ちも分かってタイムマネジメントも学べます。

大企業であれば割り当てられたタスクをきっちりこなすことが重要かもしれませんが、うちのようなスタートアップでは、限られたリソースで戦わないといけないので、マーケティングが採用を担当し、エンジニアがセールスも担当する、みたいにマルチに対応していく必要があります。でも、会社の中だけで必要な知識・スキルを全て身に付けるのは難しいので、パラレルキャリアでそこを補填することもできます。

クリエイティブな人、マルチな人を育てて増やして行かなきゃいけない。与えられた仕事だけをこなす環境でそのレベルに自分を高めていくのは難しいので、パラレルキャリアは一つの良いやり方だと思いますね。

次回予告

お二人とも会社の「文化」を醸成させていくにはどうすればいいのか常日頃から考え、実践している様子がお話を伺っているだけで目に浮かびました。それくらい情熱を持って会社と向き合っている、「会社」と「個人」の対等な関係が出来上がってる、と感じました。

次回は、そんな熱いお二人からパラレルキャリアを始めたことでの苦労話や、新しい発見などなど、パラレルキャリアを実践しているお二人だからこそのお話が満載です。

 

第1回
「制度」ありきで働き方は改革されない。パラレルキャリアを「文化」にするクリニカル・プラットフォーム
第2回
限られた時間の中で、より良い質の「生きる」と「働く」を ── クリニカル・プラットフォーム
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