会議は30分、退社時間は厳守。BuzzFeedのエディターが「午後6時」に帰れる理由

会議は30分、退社時間は厳守。BuzzFeedのエディターが「午後6時」に帰れる理由

会議は30分、退社時間は厳守。BuzzFeedのエディターが「午後6時」に帰れる理由

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魅力的なコンテンツを続々と生み出し読者の注目を集めるBuzzFeed Japan(以下、BuzzFeed)。原則、外注を使わず少数精鋭で活動しているにも関わらず、編集部には長時間労働になりにくい体制が整っています。前回の記事では、具体的な施策や考え方について、古田編集長にお話を伺いました。

この記事では、BuzzFeed編集部で午後6時に退社する特集エディター・小林明子さんをご紹介します。小林さんには2人のお子さんがおり、旦那さんが単身赴任(※2018年3月取材時時点)のためワンオペ育児をしながら記者と編集の仕事を精力的に取り組んでいます。どうやってそのような働き方を実現しているのかを聞きました。

第1回
大手メディアと同じことはしない。BuzzFeedが目指す効率的なメディアの運営方法
第2回
会議は30分、退社時間は厳守。BuzzFeedのエディターが「午後6時」に帰れる理由

小林 明子(こばやし あきこ)

1977年岡山県出身。2000年、毎日新聞社に入社。結婚・出産後、フリーライターを経て、2008年に朝日新聞出版に入社。週刊誌AERAの記者として、働き方や子育てなどのテーマを主に取材。2016年9月、BuzzFeed Japan入社。「#metoo」「国際ガールズデー」「LGBTウィーク」など、様々な特集企画を実施している。

そもそも午後6時に退社しないと保育園に間に合わない

編集だけでなく、ご自身で取材や執筆もする多忙な中で、午後6時に退社するためにどのような工夫をされているのでしょうか?

小林 明子(以下、小林):退社時間をあらかじめ決めて仕事をします。私は子どもを保育園に預けていますが、延長保育を使っても午後6時に退社しないとお迎えに間に合わなくなるんです。工夫というよりも、「そうするしかなかった」わけです。

それに、仕事はどこかの時点で見切りをつけないと終わりがありません。「6時に帰る」という気持ちを持つことで、業務時間を無駄なく過ごそうという意識が強まります。また、私のような事情を抱えた人がいることを踏まえてマネジメントが行き届いていることも、今の働き方ができている大きな要因だと感じています。

たとえば、具体的にはどういった例がありますか?

小林:「保育園に子どもを迎えにいかなければならない私が確認できるように18時までに原稿を出す」という配慮よりも、それぞれの記者が重視しているのは「この原稿をいかに多くの人に届けるか」ということです。

18時台以降の帰宅時間帯に記事が配信されていれば、スマートフォンでより多くの方に読んでもらいやすいという実証例などがありますので、その時間帯を目指して頑張って記事を出す。出したら帰る。結果的に、ダラダラ時間をかけて仕事をしない文化が浸透しています。

かけた時間ではなくアウトプットで評価するマネジメントが徹底していますから、事情がある人もない人も、後ろめたさを感じずに退社できます。

小林さんは以前、雑誌で記者をされていたと伺っています。媒体を紙からネットに変え、BuzzFeedに転職されたのはなぜでしょうか?

小林:小学生の息子がニュースを紙ではなくiPadなどを使ってネットで見る姿を目の当たりにし、「子どもが読むようなメディアで記事を書きたい」と思ったことがきっかけです。

私はこれまでライフステージに応じて仕事を変えてきました。20代は新卒で新聞社に入社し、結婚。退職してフリーライターになりました。記者の仕事は多くの人がイメージするような「夜討ち朝駆け」(事件が起これば、深夜や早朝に取材に出向くこと)をすることもあります。別の働き方をしたいと思った時に選んだのが雑誌の記者でした。以来、10年間勤めました。

雑誌編集部に勤務していた時には、印刷前の最終確認となる校了紙のチェックがあったのですが、確認作業は夜遅い時間帯に及ぶこともあります。役職がない状態であれば自分の担当記事を納めて「帰ります」と言えても、管理職を目指すとなるとそうはいきません。

校了紙チェックを自宅でできないかを上司に交渉したものの、結果は「No」。一方でネットであれば、基本はオフィスで働いていても、もしもの場合は自宅でも仕事ができる利点があります。その点もBuzzFeedに入社した理由のひとつですね。

「生産性とは何か?」を考え直すきっかけに

BuzzFeedで働いて変わったこと、感じたことを教えてください。

小林:私の中で「生産性とは何か?」という意味合いが変わりました。たとえば、短時間で記事を仕上げて発信したり、PV数を稼いだりすることだけが生産性ではないんですよ。編集長の古田はそのような意識を持っています。

BuzzFeedのミッションは、「人々の生活や社会にポジティブなインパクトを生み出すこと」。それをどうしたら実現できるかメンバー全員で考えます。このミッションはとても重要だと思いますし、社内にはそんな文化が根付いています。

働き方にしてもチーム単位にこだわらず、社内で協力できるならチームの垣根を超えて取り組みます。また、見出しのABテストをしたり、ひとつの記事で写真は何枚使うのが適切かをよく話し合ったりもします。「先日出したあの記事の反応はこうだった。次はこうしたらいいんじゃない?」みたいな議論は社内で活発に行われていますね。

あと、私には書きたいことがたくさんあるので自分でも取材に行ったり、記事を執筆したりします。「これをやりたいです」と言えばできる点は良いところだと思っています。

BuzzFeedで働いたからこそ実現できた事例を教えてください。

小林:直近の事例では、3月の「国際女性デー」で特集を組んだことです。特集の目的は、「国際女性デー」という言葉を多くの人が知ってもらうこと。BuzzFeedがどういう発信をすれば社会の意識が変わるかを考えるわけですが、社内で同特集に割ける人員は限られており、記事の量産は困難です。ならば一つひとつの記事がたくさん読まれるようにしよう、と決めて企画を練りました。

発信の仕方は記事を出すことだけではありません。イベントを開催したり、プロの漫画家に寄稿してもらい「国際女性デーとは何か」を理解してもらいやすくしました。また初の試みとして、「#あのときのわたしへ」というハッシュタグで盛り上げてみたらどうか?という提案もしました。

どうやって思いついたんですか?

小林:長時間労働でひねり出したものではなく、子どもと一緒にお風呂に入っていた時にふと、「昔、日本一短い親への手紙というのがあったな」と思ったんです。Twitterの最大入力文字数は日本語では140文字なので、短い手紙を書いてもらうという形にしてみようと思い立ちました。

このアイデアは私が出したものですが、SNSで拡散させるにはどうすればいいか、イベントの開催はどのタイミングがいいかといった点は社内の各チームに相談して決めました。社内の連携によって、読まれるコンテンツを生み出せる環境があります。

また、届けたい層が20代女性だったので、その年代の女性記者に話を聞いて特集の内容を考えました。どうしたら少ない戦力でコンテンツの効果を最大化できるかをみんなが自然に考える習慣があります。

会議は原則30分。相手の時間を使う意識を持つ

ネタ出しや企画についてのミーティングは頻繁に行われているんですか?

小林:ミーティングは1日に3~4本あります。実施時間は、何かの振り返りを行う場合は1時間ですが、通常は30分です。人の時間を使うという意識が大切で、「果たして1時間が本当に必要か?」を考えるので、1時間だと長いと感じる人が多いですね。実際、内容によっては30分でも1時間と同じ結果を出せると思っています。

ミーティングを30分で終わらせるために工夫することは何でしょうか?

小林:何について話をするのかを事前に共有してもらい、会議にスムーズに入れるようにします。編集部内では何でも共有する文化が浸透していて、メンバーが自発的に議事録をGoogleドキュメントに書いていることも多いです。

そうすることで取材や出張などで会議に参加できなかった場合でも、どんなことが話し合われたかが把握できます。議事録を見て「このプロジェクトに加わりたい」という場合は、「理解した箇所から入ってきてください」というふうに進めることができます。

あと、メンバーはスケジュールをGoogleカレンダーに入れて共有しています。関係するメンバーの予定を見て、空いている日時にミーティングを設定できるので、日程調整の手間を省けます。またSlackを活用して、オフィスにいる・いないを問わずコミュニケーションが図れています。

編集部内で長時間労働をすることはないのでしょうか?

小林:社内に頻繁に残っている記者がいる場合、エディター間で「最近、◯◯さんが残りがちです」など状況を共有し、直属の上司と面談を行います。仕事を抱えすぎているのか、コンディションが悪いのかなど、記者の置かれている状態の把握に努め、見て見ぬ振りはしません。

ただ長時間労働がNGかと言うと、必ずしもそうではありません。仕事の状況によっては、一気に仕上げたい時もあります。もちろん体を壊すまで働くのは論外ですが、ある程度までは古田は口出ししません。「休める時に休めばいい」という考えで、個人の意欲に対しては柔軟な対応が取られます。

最後に、小林さんから見てBuzzFeedはどんなメディアだと思いますか?

小林:企画を柔軟に受け入れる文化があります。例を挙げると、少し前に花粉症のことを描いた「スギ社長」という動画がありました。若手メンバーが主導してチーム横断で進め、会議室で撮影したものです。倫理的に問題がある企画はNGですが、よほどのものでない限りは通ります。

あとは、エンタメ、医療など特定の分野に強いメンバーが加入すると、その分野の読者層が広がるんです。たとえば私はジェンダーや子育て、女性活躍についての記事を得意としますが、それらは私が入社する前は編集部で書ける人が少なかったんです。

ライターとしても、自分が好きなジャンルを書く方が気持ちがいいですし、質にも良い影響があります。個人の特性を生かして記事を書ける環境というのが、BuzzFeedの大きな強みなのではないでしょうか。

編集後記

2人のお子さんを育てながら大きなプロジェクトを抱える記者として第一線で活動するには、「終わりの時間を決める」「区切りをつける」「時間を大切にする意識を持つ」など、様々なやり方を実践していることがわかりました。

でも何よりも、古田編集長が中心となって行われる労働環境の整備があるからこそできるのだと感じます。これによってメンバーはパフォーマンスを最大限に発揮できるのです。

執筆:そのべゆういち(@prepapayuyu
企画・編集:たくみこうたろう(@kotaro53
写真:つるみほ

第1回
大手メディアと同じことはしない。BuzzFeedが目指す効率的なメディアの運営方法
第2回
会議は30分、退社時間は厳守。BuzzFeedのエディターが「午後6時」に帰れる理由
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