全社員が株を保有するオーナー!!?個の主体性がハンパない上場ベンチャーがあった──株式会社アトラエ

全社員が株を保有するオーナー!!?個の主体性がハンパない上場ベンチャーがあった──株式会社アトラエ

このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年6月に東証マザーズに上場を果たした株式会社アトラエ。主力サービスの成功報酬型求人メディア『Green』を筆頭に、完全審査制AIビジネスマッチングアプリ『yenta』、組織改善プラットフォーム『wevox』などHR業界に旋風を巻き起こす、今最も業界で注目を集めるHR Techベンチャーだ。そして、アトラエと言えば、その一風変わった組織スタイルにも注目が集まる。上司と部下の垣根を取っ払ったフラットな組織で、ホラクラシー型組織とも呼ばれている。2016年11月には、日本で初めて全従業員に対して、特定譲渡制限付株式を付与したことで大きな話題にもなった。目的は、従業員が経営陣と同じ目線でやりがいを持って仕事に取り組めるようにするためだ。
こんな魅力溢れる新しい組織スタイルを作った、アトラエの代表取締役を務める新居氏に独占インタビュー。たっぷりと魅力をお届けします!

第1回
社員に誇りとやりがいを。役員が人事権を手放した究極のホラクラシー型組織──株式会社アトラエ
第2回
全社員が株を保有するオーナー!!?個の主体性がハンパない上場ベンチャーがあった──株式会社アトラエ
第3回
ワクワクする組織でイキイキ働く。「週3日・時短勤務」子育てと両立した自分らしい働き方──株式会社アトラエ

新居 佳英(あらい よしひで)

1974年生まれ、東京都出身。上智大学理工学部卒業後、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。当時150名程度で未公開ベンチャー企業であった同社にて、人材紹介事業部の立ち上げから、関連会社の代表取締役を経験。2003年10月にI&G Partnersを設立し代表取締役に就任。2014年7月、株式会社アトラエに社名を変更。2016年6月、東証マザーズに上場を果たす。

日本初!全社員が真のオーナーに

▲上場した日(2016年6月15日)の集合写真

── 2016年11月に、日本で初めて特定譲渡制限付株式を全従業員に付与したことで話題になりました。この狙いについて教えてください!

新居:そもそも経営陣だけが株を持っていること自体、全社員経営者主義を目指しているアトラエにとっては違和感がありました。「人生を賭けている社員たちがこの会社のオーナーであるべき」という考えがあり従業員持株会を始めたんですが、これだと給与の一部からしか付与できなくて。それ以外の方法で業績に合わせた連動賞与みたいなカタチで株を付与したいなと思ってたんです。ただ、従業員に対する労働の対価は現金で支払わなければならないという労基法の決まりがあるので、そこを法律的にどうクリアするかという問題はあったんですが、弁護士事務所と相談して、この仕組みを導入しました。それにより決算の状況さえ良ければ毎年社員に株を付与できるようになりました。

── すごい…!全員が真のオーナーですね。

新居:もちろん株だけではなく、他にもありますよ。例えばみんなが経営者視点をもってよりよい組織を創り上げていくために、「ワーキンググループ(以下、WG)」を導入しました。

── 具体的にはどんなことを話し合う場なんですか?

新居:これまで経営メンバーが検討し決定していたことを、社員自ら企画し検討を進めていく取り組みです。例えば先にお話しした「評価制度」も一つのWGが検討を進めていますし、他には新卒採用についてや、会社の重要なイベントについてなど、具体的な検討内容はバラバラです。他にも、最近で言うと月に1回「アトラエプレミアムフライデー」として金曜の午後16時〜18時半の業務を全てストップし、4〜6人のチームに分けて話し合いをしています。ここでは「理想の組織を作るための課題点や改善策」という大きなテーマに沿ってディスカッションをしています。

── そこで良いアイデアが出てきたら役員会議で話し合うイメージなんですか?

新居:そのまま進めることも多々ありますよ。ただ、内容によってはさらに検討すべき場合もあるので、その際は「経営ミーティング」という会社にとって重要なことを議論する場で検討しています。プロジェクトリーダーを含む4人で行ってますが、社員も信頼してくれているので、これまで決定に対する不満は出てきていませんね。

── それにしても、みなさん本当に当事者意識が強いですよね?

新居:そうですね。そこがアトラエという組織の根幹なので。ずっと言い続けてますし、そういうカルチャーが根付いてるのが大きいですね。オフィスの壁に「Ask not what your company can do for you,ask what you can do for your company」って書いてあって、つまり「会社が何をしてくれるかを問うのではなくて、自分が会社に何ができるかを問おう」ってことなんですよ。会社を変えるのは自分だよねと。隣の芝は青くない。この会社の芝が仮に茶色になっちゃって、居心地が悪いと思った時に青い芝に行こうとするんじゃなくて、この芝をどうやったら青くできるかを真剣に考えて、青に変えられるかが大事だよと。一方で、会社として大切にすべきは、みんなの意見を尊重して変われる組織であり続けること。自分の意見が通る、という実感値と成功体験を全員が持てているので、より当事者意識を持ちやすいんだと思います。

▲壁にはアトラエのカルチャーを象徴する英文が刻まれています。

事業や組織に誇りを持つチームプレイヤー集団

── あとは採用の段階で相当フィルタリングしていますよね?どんな人を採用してるんですか?

新居:他の会社と見てるポイントは大体同じですが、唯一違うとしたら人間性の部分をすごく見ます。どんなに優秀でもチームプレイヤーじゃない人は採用しないし、利己的な人も採用しませんね。

── そういう意味では、自己成長が第一の人は違いますか?ベンチャーに所属する人に割と多い気がしますが…。

新居:自己成長が一番の目的だとしたら違います。うちは教育機関ではないので。アトラエは、チームで集まってどういうアウトプットをするかを大事にしています。例えば、サザンオールスターズは歌が上手くなるために歌っている訳ではないですよね?ファンを楽しませて、世の中にメッセージを伝えたくて、世の中の人を盛り上げたくて歌ってるんだと思うんです。盛り上げるためには、もっと歌が上手くならないといけないんだと。そうやって手段として自己成長を求めるのであれば、それはもちろん大歓迎です。

── あくまで自己成長を手段として捉えらる人ですね!ちなみに、入社してくるメンバーは、アトラエのどこに魅力を感じて入ってくる人が多いんですか?

新居:「自分たちの事業や組織に誇りを持てて、正しいと思ってることを本気でやっているチームに入りたい」っていうイメージだと思います。とにかく売上を上げるためだけにやっているとか、自己成長のためだけにやってるとか、稼ぎたくてやってるとかじゃなくて。仲間と共に凄いことを成し得たいと思っている人の集団だと思っています。

── 確か新卒の割合が高かったと思いますが、カルチャーを大事にしているからこそ、まっさらな新卒を多く採用されているんですか?

新居:新卒にこだわってる訳ではないですが、結果的に新卒の割合は75%くらいになってます。わかりやすいようにあえて偏った表現で説明すると、他社での勤務経験がある人は、社長や発言力のありそうな人の顔色を伺ったり、どうしたら自分が出世できるかばかりを考えたりと、アトラエには必要のない癖がついてしまっている傾向が高いと思っています。その傾向があまりに強いと会社のカルチャーを壊してしまう可能性だってある。だからどうしても中途採用者の比率が低くなる傾向があります。

── その癖は変われないんですかね?

新居:いや、もちろん変われる人もいます。実際に中途入社で活躍している社員もいますし、逆に彼らはそういった部分に疑問を持ってストレスを感じてたんでしょうね。でも多くの場合、一度ついた癖を直すのはなかなか難しいと思います。

求められるのは、暗黙のルールを感じて判断する能力

── 特に中途で入社された方は、前職との比較ができるので、入社した直後に良い意味でギャップを感じているような気がしますが、どうなんでしょうか?

新居:事前にどんな会社なのか話してはいるんですけど、それでも「ここまでだとは思わなかった」っていう人が多いですね。でもうちに馴染んでしまうと、もう前職には戻れないでしょうね(笑)例えば、公認会計士の資格を持った メンバーがいるんですが、彼を採用するまでに30人の公認会計士と面接してるんですよ。31人目の奇跡って言われて入社してきて(笑)それでも最初の3ヶ月くらいはみんなから「サラリーマンぽいなー」って言われてて。でも今となっては「彼女が家に来てるんで、家に帰って一緒にランチしてから戻ってきまーす!」って言って一回帰っちゃいますからね(笑)

── 働き方も本当に自由なんですね(笑)例えば短時間勤務とか週4日正社員など制度化はされているんですか?

新居:特に制度化をしている訳ではないですね。貢献をしてくれた度合いに応じて報酬を支払うというだけで、ほぼ何でもオッケーの会社です(笑)3〜4人の会社ってそんな感じじゃないですか。その流れで40人まで増えた感じですね。なので100人になっても変わらないと思いますよ。自宅勤務も制度化している訳ではないですけど、やるべきことが出来ていればなんでもありだよねっていう暗黙のルールがあって、それがアトラエのカルチャーとして染みついているので。そもそも、出社しなければいけないというルール自体がないんでね。

── 例えば明日出社するとかしないとかは、共有はされているんですか?

新居:仲間やお客様に迷惑だけはかけないようにしよう、というのが唯一のルールですね。なので、関係各所に家で働くのかスタバで作業するのか、何時に会社にくるのかっていう共有はちゃんとしようってなっていて。ただこれも言語化している訳ではなく、暗黙のルールの中で行われていますね。

── アトラエのカルチャーを感じて判断する。暗黙のルールの中で、自然と行動できれば、各自がいろんなケースで判断できるようになりますよね。

みんながみんなの働き方を認め合うカルチャー

── みなさん、常に会社にいる訳ではないと思いますが、ミーティングなどオンラインで行うことも多いんですか?

新居:そこはチーム次第だし、ミーティングの性質次第ですね。
例えば、ディスカション系のミーティングはオンラインだと難しいので集まってますけど。そもそも、みんな会社が好きなんで、基本的には出社してることが多いかな。お母さん社員とか、時間帯によってどうしても難しいケースは自宅からスカイプで参加している人もいますけど。

── お母さん社員の方は、子供が小さいとお迎えとかもありますもんね。

新居:そうですね。お母さんの働き方も結局は一人一人環境は違うので、杓子定規にルールを作っても駄目だと思うんです。

── となると、個々にアジャストするしかないんですかね?

新居:それが一番ですよね。それをみんなが認め合うこと。時短で働く人とか週2日しかこれない人とか、お互いがお互いをリスペクトする環境を作らないと。レギュラーで活躍しているサッカー選手が管理栄養士の帯同しているおばちゃんを馬鹿にしちゃったら成り立たないんですよ。同じ方向を向いて、それぞれの役割に責任を果たしていればなんだっていい。週5日フルで働いている人が週2日の人に「もっと頑張れよ」って思っちゃったら組織として成り立たない。そこはお互いの状況を理解し合ってリスペクトし合う。そういう考えを浸透させてカルチャーとして馴染むことが大事だと思いますね。

── そうしないとダイバーシティな組織は作れないですよね。お話を聞いてるとアトラエという組織の弱点というか課題が全く見えてこないんですけど(笑)ズバリ組織上の課題ってあるんですか?

新居:もちろんありますよ!一番は、採用する人にこだわり過ぎてなかなか採用ができないことかな。事業の成長に組織の人数が追いつかないこと。自社メディアの「Green」からエントリーもたくさんいただくんですが、なかなか通過できないのでちょっと厳しすぎるかもしれません(笑)

── すごい…(実際の通過率を聞いて、インタビュアーも絶句)

社員がエンゲージメント高く働ける組織を

▲取材後に撮影したミーティング風景。アトラエらしさを垣間見れました。

── それでは最後に今後の展望についてお聞かせください!

新居:事業としては、HR Techの会社としてまずはアジアのNo1になることが当面の目標です。そのために、既存サービスの拡大をして行くこと、HR Techのサービスラインナップを増やして行くこと、あとは海外に進出すること、この3つを軸に3〜5年くらいは展開して行くと思います。組織については、あまり変わらなくて、社員がエンゲージメント高く働ける組織を維持して行くこと。これは人数が増えても、外国人の従業員が増えても、他の企業を買収することがあっても、いろんな人たちを巻き込んでそういう組織を創れるようにしていきたいなと。

── 事業シナジーがあってもカルチャーが違い過ぎたらM&Aは難しいですよね?

新居:難しいと思いますね。ただ僕らがやっていることって、社員を圧迫することではなくて社員が熱意をもって自由に働けるようにすることなので、最初は戸惑いがあるかもしれませんが、きっと、みんなにとってより良い方向に向かうと信じています。

── そういう組織再生みたいな事業はやらないんですか?(笑)

新居:世界中の多くの人を魅了する事業を展開して行きたいので、少ない人から多くのお金をもらうビジネスよりも、お金は少なくてもいいから多くの人に影響を与えられるサービスの方がいいと思ってるんです。

── なるほど!影響範囲ですね。そういう考えも浸透してるんですか?

新居:もちろん!例えば、「yenta」に関していうと僕はノータッチです。最終の予算と人員に関してはさすがに入ってジャッジしましたが、事業アイデアとか事業計画に関してはメンバーだけで勝手にどんどん進んでいます。オールアトラエとして最適なメンバーでチームを構成した方がいいよねっていう発想があるんで、僕が入った方が良いビジネスもあるし、yentaのように全く僕に声がかからないサービスもありますね(笑)

── それを社員のみなさんが判断できることがすごい!いろいろ貴重なお話をいただきありがとうございました。記事にするのが楽しみです!

 


と、写真撮影も終わり、最後の雑談中に聞きそびれたことをもう一つ。

── ちょっと聞きそびれちゃったんですけど、複業(副業)はありですか?

新居:例えば講演して講演料をもらうとか、本を書いて印税をもらうとかは全然オッケーですよ。ただうちの女性社員がいきなり夜のクラブで働き出したらそれは駄目ですね(笑)それってほぼお金のためだけになっちゃうんで。

── 会社作るとかはありですか?

新居:会社作って何をやりたいか?が重要だと思いますし、現状だと個別ケースで決める感じですね。どうしてもこれがやりたいけど、アトラエも辞めたくないってことであればいいんじゃないってなるかも知れないですし。ただ、基本的に頭のどこかがそっちに取られちゃうので、その分、適切な評価をしないといけないかなとは思いますけどね。そういう評価制度ができていれば問題ないかなと。あとは、後ろめたくない起業であればって感じじゃないですか(笑)


いかがでしたか?
アトラエの考え方など、もっと詳しく知りたい方はぜひホームページや新居社長のブログをご覧ください。アトラエの考えがすごく理解できますし、何より学びが多いです。

新居さんの取材を終えて

上司と部下の垣根がない、役員が人事権を持たない、特定譲渡制限付株式を全従業員に付与、定期的な全社員参加の会議、個々に合わせ柔軟な働き方などなど。上場企業とは思えない柔軟性と組織力がとにかくハンパなかったです!みんなが働きがいを感じられる仕組みとその仕組みを最大限に活かせるメンバーが揃っているんだろうと強く感じました。
お話を聞いていて、正直アトラエで働く社員がすごく羨ましく、まさに「人々を魅了する会社」の姿がそこにはありました。

今行われている表面的な働き方改革よりも、アトラエのように社員が「働きがい」を感じられる、そんな会社やそう言う考えを持った経営者が増えることの方が、よっぽど本質的な働き方改革だと感じます。

そして、アトラエの考えが一人でも多くの経営者に届くことを願って、本記事を締めたいと思います。

第1回
社員に誇りとやりがいを。役員が人事権を手放した究極のホラクラシー型組織──株式会社アトラエ
第2回
全社員が株を保有するオーナー!!?個の主体性がハンパない上場ベンチャーがあった──株式会社アトラエ
第3回
ワクワクする組織でイキイキ働く。「週3日・時短勤務」子育てと両立した自分らしい働き方──株式会社アトラエ
この記事をシェアしよう!
TAGS
もっと便利に!

記事のクリップを使ってオリジナルのライブラリを作りましょう。

すでにアカウントをお持ちの方
or

ソーシャルアカウントで登録/ログイン