企業と個人が信頼をベースに関係性を築く「アライアンス」という新しい雇用の形

企業と個人が信頼をベースに関係性を築く「アライアンス」という新しい雇用の形

企業と個人が信頼をベースに関係性を築く「アライアンス」という新しい雇用の形

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働き方の多様化が叫ばれる中、従業員の雇用を守る代わりに企業への従属を要求する終身雇用モデルの維持が難しくなっています。ひとつの会社で勤め続けるという考えは薄れ、転職したり、起業したりする人も増えています。

このような風潮の中で、企業と個人は最適な関係性を探る必要に迫られています。注目を集めているのが、企業と個人の間を信頼関係で結ぶ「アライアンス」という考え方です。

アライアンス(Alliance)には、英語で「同盟」や「提携」という意味があります。人材を自社に囲い込み、個人が持つ人生のあり方やビジョンが二の次にされがちだった従来の雇用とは異なり、企業と個人双方が手を取り合い「信頼」をベースにして互いに価値を与え合おうというやり方なのです。

企業と個人がコミットする内容を設定し、信頼で結びつく

アライアンスは、米国・シリコンバレーにある企業が実践してきた新しい雇用の形です。大切なのは、企業と個人が相手に対して「どのような価値をもたらせるか」をベースに考えること。ざっと表すと、次のような感じになります。

・企業「当社が設定した目標を達成するために、ここの役割で経験豊富なあなたの力を貸してもらえますか?その代わり、あなたがやりたいことを応援します」

・個人「私の夢を実現するためには、どうしてもこのポジションが必要です。その代わり、企業の目標達成のために、私は◯◯の点でコミットします」


企業と個人は対等な関係にあります。「忠実に働くなら、雇用を保証しよう」という終身雇用は比較的安定した時代には機能しましたが、変化がめまぐるしい現代では通用しません。企業も、終身雇用を保証しにくくなっています。

一方で個人も、企業と雇用関係を維持し社会的保証を得ながらも、自分らしく生きようという意識が強まりました。アライアンスが注目される背景には、こうした時代の変化があります。

コミットメント期間を設定して、ミッション達成で信頼を構築

では、どのように導入すればよいのでしょうか。大切なのは、企業が掲げる目標達成はもちろん、個人の目標も重視して話し合うことです。

企業と個人は「コミットメント期間」を設け、双方ミッションの期限内達成に全力を注ぎます。コミットメント期間は、「ローテーション型」「変革型」「基盤型」の3つの型に大別されます。どのような内容を行うかは、個人の適性や職位、最終目標によって異なります。

ミッションを成し遂げることで企業と個人の信頼関係が強まり、最初はローテーション型を経験した人が変革型に挑戦するなど、複数のコミットメント期間を組み合わせることもできます。

「ローテーション型」「変革型」「基盤型」3つの表▲『ALLIANCE アライアンス人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』(ダイヤモンド社)を参考

退職後も人間関係は持続 優秀な人材の採用に繋がるメリットも

アライアンス導入のメリットは、企業と個人の両方が、互いを認め合いながら信頼関係を構築できることです。どちらか一方の力が強く、もう片方が不満を抱えるということがなくなります。

中でも顕著なメリットは、退職後も人間関係を維持できることでしょう。終身雇用モデルにおいては、退職は裏切り行為とみなされ、在職中に築いた関係がなくなってしまうことがあります。

アライアンスでは信頼をベースにした関係を重視するため、個人が転職した後も繋がりを保つことできます。「卒業生」となり他社で様々な経験を積んだ退職者の中には、再び自社に戻ってくる人がいるかもしれません。企業からすれば、その人物が社外で得た知見を自社に取り入れることができます。

また、自社をよく知っているわけですから、求人においてもメリットがあります。求める人物像に近い人間を紹介してくれるかもしれません。卒業生自身が顧客となったり、顧客を紹介するケースも考えられます。

日本人経営者が導入している実例も

一方で考えられるデメリットは、スムーズに受け入れられるかということです。アライアンスは米国で生み出された新しい雇用の形のため、未だ終身雇用の意識が強い日本企業では革新的すぎるかもしれません。

そんな中でも、日本人経営者が実際に取り入れているケースがあります。

・enhance games, inc.

enhance games, inc.

米国にある開発会社enhance gamesのメンバーは、会社員ではなく個人事業主か個人法人のクリエイターとしてプロジェクトにコミットしています。

同社代表の水口さんは、次のように述べています。

「自分のやりたいクリエイティブを、やりたいだけ、責任をもってやる。エンハンスのメンバーは全員、自分のことは、自分でマネジメントします。その分、他に比べると報酬額は高いかもしれません。ちなみに、報酬は基本的に、ほぼ自己申告で決まっています(信じられないかもしれませんが)。だからここには、働かない人や、やる気のない人は1人も存在しません(enhance games, inc.の会社情報より)」

・Spacelook

Spacelook

渋谷区にあるアプリ開発企業Spacelookでは、「個人と組織を対等にする」「個人は組織に対し、組織は個人に対しお互いの将来像を実現することに協力し行動する」ことなどを意図して、アライアンスを導入しています。給与は自己申告制で、会社からいつ抜けてもいいし、またいつ戻ってきてもいい仕組みです。

まとめ

働き方改革では労働時間の短縮に焦点が当たりがちですが、人口減少が進む中でいかに人材を活用するかという視点も忘れてはいけません。

最近では複数の会社やプロジェクトに関わる複業も注目されますが、自社にとって有益な人材を確保するためにも、企業と個人を雇用というよりは信頼関係で結ぶアライアンスという考え方は企業、個人の双方にとって有効な手段になりそうです。

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