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恋の地域おこし協力隊!持続可能な地域おこしとは?福岡県筑後市

恋の地域おこし協力隊!持続可能な地域おこしとは?福岡県筑後市

恋の地域おこし協力隊!持続可能な地域おこしとは?福岡県筑後市

地方創生の目玉の一つとして導入された地域おこし協力隊。

任期を満了した隊員の6~7割が、活動していた地域に定住する反面、任期満了前に去る隊員も多く、実際には約半数が定住を果たせていないとも言われています。

実際に任期を満了した協力隊卒業生のインタビューをお届けするこのシリーズ。

今回は、福岡県筑後市の協力隊を卒業した溝口善也さんのお話です。

北九州出身の溝口さん。若い頃に演劇の魅力に惹かれて役者になるために上京。

10年ほどしてから筑後市の地域おこし協力隊としてUターン(Jターンになるのかな)。

独創的なプロジェクトをいくつも立ち上げ、素晴らしい活動を展開しました。

溝口善也(みぞぐちよしや)

1984年3月生まれ北九州出身。 役者、CSRコンサルタントを経て筑後市の地域おこし協力隊へ。 恋木神社という恋愛のパワースポットがある筑後市で恋に関する企画立案。 公金に頼らず継続できる活動をモットーに企業や団体のメリットとまちの課題を掛け合わせイベントを行う。 現在はその経験を活かし、広告代理店で企業のブランディングやステークホルダーからの信頼獲得につながるプランや従業員エンゲージメントを高める企画立案などを行なっている。

役者から地域おこし協力隊というのはかなり大胆な転身でしたね。

役者を志したのは、演劇の「自分以外の立場になりきる行為」になることに興味を持った事がキッカケでした。
頑張ったんですが鳴かず飛ばずでしたけどね。(笑)

そんな時に東日本大震災が起こります。
少しして知人から声をかけられて復興支援のグループに入りました。
『対話工房』というプロジェクトで、津波でコミュニティーが断絶したところにコミュニティーを再生しようと、建築家とかアーティストとかのクリエイターが集まりました。
その活動で、2年間ぐらいは東北と東京を行ったり来たりしました。

『対話工房』での活動が大きなきっかけに?

結果的にはそうでしたね。
震災から2年も経つとさまざまな活動が補助金や寄付が少なくなって活動を継続することが厳しくなってきました。
予算が底をつくことで良いことがどんどんなくなっていくのはよくない。
それならということで、良い取り組みと資金を結び付けられるようなことができればと、企業のCSRコンサルティングの会社に入りました。

支援される側から支援をする側になったわけですね。その後の展開はいかがでしたか?

楽しかったですよ。
様々な企業の企画をしたり、国際的なCSRの流れも知ることができて勉強になりました。

しかし、震災から時間が経つことで全体的にCSRの中の地域活動から距離を置く企業が増えてきました。
社会の潮流は国際的なガイドラインに沿った報告をしていく方向になり、私たちの会社も、株主投資家に向けた報告をしていく流れにならざるを得ませんでした。

でも、パソコンを前に仕事をしながら「現場で課題を見つけ活動をしたい」という思いがどんどん強くなり、そのタイミングで家族が病気になったこともあって31歳の時に福岡に戻ることにしました。

そこで地域おこし協力隊に出会うことになる。

とにかく自分のやりたいことをやりたいという思いが強かったですね。
自尊心をそこそこ保てて、そこそこやりがいがあるという仕事も考えましたが、そこそこというのは実はほとんどやりがいなんてないんじゃないかなと。笑

いろいろな人を巻き込みながら適切で持続可能性のあるプロジェクトを作っていきたいのですが、これを個人でやるのは難しい。
美術館とか演劇の関係の仕事も調べたけれどもなかなか条件に見合うところが見つかりませんでした。

試しに「地域おこし 求人」でググってみると「地域おこし協力隊」というページが表示されたのが協力隊との最初の出会いですね。
直感的に「ああ、なんかこれいいな」と思ってしまいました。

活動地域として筑後市を選んだのはなぜですか?

その時点で募集が出ていたのは筑後市を含めて2つでした。
両方に応募して両方とも受かったのですが、筑後市には恋木神社があって、そこでの「恋のくにの素敵な出会い応援事業」というのが面白いなと。

もう一つの方は地域特産品の6次化がミッションでしたが、まさにレッドオーシャンに飛び込むことになります。
企画営業は得意なのでそこそこ結果を出せるだろうとは思いましたが、それよりも恋のくにの出会いというキーワードの引力が強かった。(笑)

出会い応援事業という枠組みで人を巻き込むことをやっていこうということですね。協力隊としての活動をもう少し詳しく教えてください。

コミュニティは作るだけではなくて、そこからあと一歩進むためにはいろいろな人と分かり合える、わかり合おうとできるかどうかがポイントだと僕は思います。

地域おこし協力隊なのですが、あまり「地域おこし」をしようという気はありませんでした。
応募したときの提案には「税金を使わずに企業を巻き込んで事業を起こしていくこと。その成果をもとに次のステップに進んでいくこと」と書きました。
実践的なことをきちんと進めていきたいという思いが強かったんです。

CSRコンサルタントの会社にいたときには数字をきちんと整えて報告するという机上のことばかりやっていました。
そうではなくて、きちんとステークホルダーとつながって企業が信頼を集めて、その信用をもとに企業が事業展開するのを支援するコンサルティングをしたかった。
民間を地域に巻き込んで独立して事業を回していくということにこだわりたかったんです。

地域に民間を巻き込む仕掛けを協力隊として進めていくということですね。

はい。
それと地域おこしの特徴として有志のメンバーが集まり活動をしていますが、僕はまちの課題の当事者が自覚し、前向きにその課題と向き合う流れを作りたかったんです。

協力隊としてやりたかったのは、地域おこしに関心がある層ではなく、地域おこし無関心層に「あなたの地域おこしってこういうことだよ」と伝えて、今自分がやることを楽しみながらするように促すことでした。
それが巡り巡って最終的に地域につながっていくのだと思います。

それが「恋活部」という形で誕生したのですね。

恋木神社だから恋活をしたのですが、実は恋活にこだわるつもりはありませんでした(笑)
恋活事業ですからカップルを増やすことがベストなのですが、その場でうまくいくだけではなく「次も頑張りたい」、「自分なりにもっと工夫したい」という人を増やしたかった。
これはけっこう叶ったなと思っています。

参加する人たちって「この歳になってまだ結婚できないの?」という感じで虐げられてきました。
「コミュニケーション能力がないからダメなんだよ」「おしゃれじゃない」とか言われ続けて自己肯定感を持てなくなる。

そこで自分が伝えたのは「そんなこといいからとにかく前向きになろうよ」
そして、前向きになるにはこういうことをしたらいいのではないかをみんなで考えていくようにしました。

参加者の背中を溝口くんがしっかり押してあげたと。

参加した人にまわりの声を気にせず、自信を持ってあきらめずに継続してほしいという思いがありました。

参加者の声で一番嬉しかったのは、初めて会った参加者に「これまでいろいろな婚活イベントに参加してきてマッチングしなくて凹んでいたけれども、これは参加してよかった。こんなイベントは初めてでした」という言葉。

婚活中の方によく聞く話では、婚活イベントでみんなでワイワイ盛り上がって一緒にスイーツ作ったりしてけっこう仲良く話をしても、最後にマッチングできなかったら、今日の1日は何だったんだろうって思ってしまう。
あんなに楽しく話したのに選んでくれなかったって思うのはかえって残酷だと思いませんか?

イベント後も日常は続いていくんです。

婚活というツールを通じて自分のまわりで起きていることを自分ごと化して、自己肯定感を上げてアイデンティティーを確立して、自分の次の目標を見つけていく。
これを応援したかったんです。

普通の婚活は相手を見つけに来ますが、溝口さんの婚活では相手だけでなく自分も見つけることができるわけですね。

前向きに生きる人が増えることは地域にとってもプラスになるはずです。
恋活部の他に「恋流会」もあるのですが、もう自分がいなくても他の人がすべてやってくれるようになっています。
終わった後に勝手にお客さんが片付けをしたりとかしてくれて、もう一つのコミュニティが出来上がっているんです。
退任後の現在も、僕がいなくても税金をかけずに継続しています。

ゲストではなくてメンバーの1人。

自分たちが幸せになるために自分たちが前向きにいてくださいというメッセージをずっと発信していましたが、その想いは届いたと思っています。

しっかり結果を残して来た協力隊活動ですが、その3年間を振り返っていただけますか?

3年間を総括するととても楽しい3年間でした。
まちのプレイヤーと地域課題の当事者をフラットにつなぐことができたのではないかと自分では思っています。
お別れ会の時に集まってくれた顔ぶれを見て「溝口くんの3年間を因数分解したようだ」とコメントしてくれた方がいます。
おとなしめな人もいれば派手目な人もいて確かにそうだなと。(笑)

リクルートのゼクシィとタイアップしてマッチングアプリを使ったイベントをしたことがあります。
大きな企業はマスに世の中を捉えていて、ミクロなところが実際は見えづらく、逆に自分たちはミクロな課題は見えていますが、社会全体に対するインパクトはありません。
本当に困っている人たちと、社会に出会いの価値を発信する企業をつなげた点では意義深いイベントだったと思っています。

まさにミッションの「出会いの創出」を実現できたわけですね。

地域おこしとよく言いますが、当事者やサービス提供者も抽象化されているケースも多い気がします。
地域おこしをすると言ってイベントをするけれども「にぎわいの創出」という抽象的な言葉で終わってしまう。
そうではなくて、この課題に対してこんな活動を行い次につなげていきたいとか、「こういう寂しい思いをしている人がいるから」「こうやると喜ぶ人がいるから」という思いをしっかり持つべきだと思います。

地域おこしの目標は、十年後にも地域の賑わいが継続できていることだし、そこに暮らす人たちがその人たちなりのやり方で幸せになることだと思います。
ここまで意識していない人が多いのではないでしょうか。

出会いこそ地域おこしの原動力というわけですね。現在、協力隊として活動している人たち、あるいはこれから協力隊になろうとしている人たちにメッセージをお願いします。

ズバリ、やりたいことがあるかどうかが大事だと思います。
「自分だったらこんなことができる!」というところにワクワクできていないと。

まず、なぜ自分がここにきたのかを今一度問い直すこと。
そして、この場所で誰が困っていて、自分だったら何ができるか考え抜くこと。

その上で人間関係を丁寧に作って、行政とも説得と納得を繰り返してお互いが分かり合える努力をしてください。
自分のやりたいことをきちんと説明することはとっても重要だと思います。

自分がいる自治体の総合戦略はきちんと理解したほうがいいですね。
これを丁寧に教えてくれる職員さんがいたのはラッキーでした。
また、組織の論理を知っていることも大事です。
不平や不満を並べるよりも、具体的にどうすればいいのか、少しでも良い落としどころに持っていくにはどうすればいいかを考える方が、協力隊としての生産性は高いと僕は思います。

 

恋活をキーワードに「恋活部」「恋流会」「ご意見ください恋活」とさまざまな取り組みを通じて筑後市の人たちの背中を押して来た溝口さん。地域おこし協力隊卒業後は『株式会社 千年市場』(https://www.sennenshijo.com/)に就職。現在は非公式で立ち上げた「企業おこし協力隊」としてワクワクする取り組みをたくさん仕掛けています。これからの活躍がますます楽しみですね。

 

 

インタビュー:阿部昭彦(fledge公認アンバサダー)

プロフィール:阿部昭彦
東京で29年間、国語教師として勤め早期退職。
東海道を自分で歩く旅の最中、宿場町が寂れている様子に地方を元気にする活動に取り組むと決心。
福岡県柳川市の地域おこし協力隊として空き店舗をリノベしたコラボレーションスペースを立ち上げまちに新しいコミュニティを創造した。
現在は「地域おこし舎」(http://chiikiokoshi.jp/)として①SDGsワークショップ②マイクロブックレット制作③各種講演を行なっている。
東京・福岡・沖縄の多拠点生活者。演奏歴40年のベテランベーシストで。好きな言葉は「イエスアンド」。