「主体性」から導かれる、ひとりひとりの能力と可能性を挽き出す働き方

「主体性」から導かれる、ひとりひとりの能力と可能性を挽き出す働き方

「主体性」から導かれる、ひとりひとりの能力と可能性を挽き出す働き方

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2016年11月18日(金)~24(木)の7日間で開催された“働き方の祭典”、TOKYO WORK DESIGN WEEK。(以下、TWDW) このTWDWの千秋楽となる最終日に行われた、「ひとりひとりの能力と可能性を挽き出す働き方」をテーマにしたトークセッションに参加してきました。

働くひとりひとりが、もちまえの能力や可能性を最大限発揮できるような働き方を実現するために必要な「主体性」をキーワードに進んでいった、トークセッションの内容をお届けします。

「働く」上で必要な「主体性」

“はたらくをさまざま視点でみて新たな価値を挽き出す(ひきだす)”をコンセプトとしたwebマガジン「WORK MILL」で編集長を務める遅野井宏さん。そんな遅野井さん呼びかけのもと、大学で講師を務めるお三方、長田太郎さん、松下慶太さん、安斎勇樹さんが賛同し、今回のイベントが開催されました。
ひとりひとりの可能性を挽き出す働き方」というテーマで行われた本トークセッション。一体、何故このテーマを投げかけたのか。それには遅野井さんの働く現場に対する、こんな想いがあったからなんです。

遅野井 宏氏:日本の働き方にはたくさんの問題点があります。
例えば、本当なら大事にしたい個人的な事情(育児や介護)を我慢したり諦めたりする時があるとします。そうすると、家族を含めた大切な人たちも我慢や諦めることが増えてしまいますよね。
それらを長年蓄積して、自分自身の可能性に気づかないまま言われたことだけをこなして。結果、「定年まで勤めあげればいいや…」という価値観で働いている人や場面を、私はいっぱい見てきました。

そんな人や場面を見てきた中で、今の日本の働き方には多くの不自然が内包されていると思ったんです。
じゃあ逆に、自分らしさ(可能性)を思いのままに発揮できてる状態ってなんだろうと考えた時、それは「Natural Being」なのかなって思ったんです。「Natural Being」って直訳すれば「自然な状態」という意味ですけど、そんな状態で生き生きと働いてる人たちが、ひとりひとり価値を生み出していける組織は凄く強い組織なはずなんです。

そんな「Natural Being」の考えをもとに、私はWORK MILLというメディアで色々な働く現場へ取材に行ってます。その取材の中で最近頻繁に出てくるキーワードが主体性なんです。
例えば、Crazy Weddingの創業者である山川咲さん。山川さんは社員ひとりひとりに「あなたが事業の主体、人生の主体だよ」と常に意識してもらえるように働きかけていて、仕事に対する「主体性」を持つことを大事にされています。
もう一人、ケンブリッジテクノロジーの白川充さん。白川さんは、「主体性はワークスタイルからもたらされるものであり、日々の鍛錬や所作から育まれると考えていて、だからこそ、日々の働き方には「主体性」が凄く大きな要素」だと仰いました。

このように「主体性」はとても重要なテーマになっているんです。このトークセッションでは、その「主体性」というキーワードにエッジをかけてお話をしていきます。

 

仕事をする上で重要な「主体性」とは何なのか。そしてその「主体性」を挽き出すためには何をすべきなのか。登壇者の方が考える「主体性」に対する想いをお伝えします。

遅野井 宏(おそのい ひろし)さん

~PROFILE~

1999年に入社したキヤノンでプリンターの事業企画を担当し、その後同社で社内変革コンサルを担当、2012~2014年にはMicrosoftで働き方改革のコンサルを務めた後、現在はオフィス家具の岡村製作所で働き方のリサーチや情報発信を行っている。この経験から、自社だけではなく日本中の働き方の問題点や海外の新しい働き方を知り、仕事と並行して筑波大学で大学院生として色々な働き方の研究をしている。「WORK MILL」というwebマガジンとビジネス誌の編集長としても活躍。

 —— 遅野井さんの思う「主体性」についてお聞かせください。

尊重してほしい「個」を持っていることだと思います。
組織側はひとりひとりを「個」として尊重することを実現しなきゃいけない一方で、個人としては組織に対して尊重してもらいたいという「個」を持っていることが凄く大事なんです。

ひとりひとり、何がやりたいのかを言語化しなかったり、雇用に値する能力をちゃんと磨き続けなかったり…結果、会社に人生を預けて終身雇用で勤め上げてしまう。自分のキャリアや色んなものを組織に預けてしまって、自分から「主体性」を一旦外してしまうことが、「主体性」を挽き出せない大きな問題点だと思っています。

—— 「主体性」を挽き出す(ひきだす)方法とは何でしょう?

組織と個人との間で綿密にきめ細かく対話をすることですね。
ひとりひとりがどんなことを思って、どういう風に感じて、何をやっていきたいのかを組織はしっかりと対話すること
。この地道な積み重ねを通じて、個人としての「主体性」が育まれて、組織と個人が受け入れ合い、認め合うことに繋がっていくのかなぁと考えてます。

▼長田 太郎(おさだ たろう)さん

~PROFILE~

東京生まれ。大学では土木工学科で橋梁の疲労設計を勉強をした後、花の仲卸に就職。仲卸に勤務している間に国内MBAを取得。大学院卒業後、商品開発ベンチャーやコンサルティングファームで経営のコンサルタントを経て、現在は株式会社エイプルジャパンの取締役。また、立教・早稲田で大学講師として企業とタイアップして大学生に提案の場を用意し、学生が商品や事業を企画する授業を行う。

—— 長田さんの思う「主体性」についてお聞かせください。

責任の範囲を広く捉えて、それ自体を自分で決めることかなぁという風に考えています。
「主体性」のある人は上司に何か仕事を頼まれた時、「それ、本当にやる意味あるんですか?」とリスクを取って言える人になれますよね。自分が周りとの関係性を振り返り、この作業は何のためにやっているのかという目的を問い直す、そして個人的な欲求と仕事との意味付けが上手くできることこそ、「主体性」があるんじゃないかなと思うんです。

単に自主的な人は言われた事をそのままやってしまうけど、しっかりと目的を読み取れれば「やらないことも選択肢になる」んですよ。そして周りとの関係性と個人的な欲求を上手く結び付けられれば、モチベーションが上手く保たれて、更に「主体性」が育まれるんじゃないかなと考えてます。

—— 「主体性」を挽き出す(ひきだす)方法とは何でしょう?

自分と他者を相対化してみることが重要ですね。
自分の置かれている環境の中でどういう役割を担っていくか、他者にどういう風に見られているか、ということを認識しないと本当の「主体性」は発揮できないんですよ。自分が出来ることや分かることを他者と共有して、他者との違いをわかっていくことで真のリーダーシップともいえるような、組織で機能できる「主体性」が生まれるんだと思います。

▼松下 慶太(まつした けいた)さん

~PROFILE~

専門はメディア論や学習論。京都大学を卒業後、フィンランドで大学研究員を経て実践女子大へ。立教大学や中央大学でも講義を行い、ワークスタイル・ワークプレイスをフィールドにメディア論の立場から研究を行っている。また若者のソーシャルメディアなどメディア・コミュニケーションについて研究も進めている。最近はメディアなど「オンライン」だけではなく、それを前提としたリアルな場、「オフライン」では何をやるか、にも注目し、それに関連したワークショップやプロジェクトベースの授業を進めるなど、アクティブラーニングにも力を入れている。

—— 松下さんの思う「主体性」についてお聞かせください。

正解を探りに行くことなんじゃないかな。
誰かに答えを求めていくのではなく、自ら正解を探りに行くことこそ、「主体性」だと思いますね。会社の上司に、正解を知っているものだと思って接して指示を待っちゃうことは良くなくて。自分でせなあかんな…と、正解を探りに行く方向にどうチェンジしていくかが「主体性」のポイントになってくると思いますね。

あ、それと、もうひとつあって、「面白がれる」こともポイントですね。「面白がれる」、これはうちの子を見ていて思ったんですけど。うちの子、ガラスに映った自分を見てめちゃくちゃウケてるんですよね(笑)ガラスの前で10分くらい笑ってて(笑)大人からすれば何が面白いの?ってことも、子どもたちはそれを凄く「面白がれる」んです。それって割と大事だなと。
面白いこと、面白い会社、面白い仕事があると思いがちだけど、そうじゃなくて、学習や教育でも興味持って「面白がれる」かどうかが重要なんです。

—— 「主体性」を挽き出す(ひきだす)方法とは何でしょう?

「リアル」から「リアリティ」にしていく過程がポイントなんですよね。
「リアリティ」って「リアル」ではないんです。「リアリティ」は、嘘で構成されてるフィクションが、演出によって本物「っぽく」なることで。その演出にはむしろ徹底した「リアルさ」が求められるんです。
「リアリティ」を演じるプロセスや「リアル」に近づいていこうとするアプローチ、そういったことが学びや成長の鍵になるし、「主体性」や「自律性」を挽き出すんじゃないかなって思います。

▼安斎 勇樹(あんざい ゆうき)さん

~PROFILE~

東京大学大学院情報学環で助教。教育工学・学習科学を専門に、人の学びや創造性に関して研究している。大学在学中に学習支援系のビジネスで学生起業。その時、「学びと創造の手法」であるワークショップに出会い、ワークショップの魅力に惹かれ大学院では学際情報学府に進学。教育工学・学習科学の観点から、ワークショップや、参加者の創造性やコミュニケーションを引き出す学習環境をデザインする方法について研究し、書籍や論文を出版している。最近はワークショップのテクノロジーを使って、企業の人材開発、組織開発、商品開発のコンサルティングも行っている。

—— 安斎さんの思う「主体性」についてお聞かせください。

「問い」と「遊び」ですね。
近ごろ、アクティブラーニングという言葉が流行っていますけど、そもそも本当に主体的になっているなら、自然と学びは起こるものだと思うんです。それじゃあ、人はどんな時に学んでいるのかと考えてみた時、キーワードは「問い」と「遊び」だと考えていて。
人が何かを自ら学んで創りだすことは、まず本質や前提を問い直すような「良い問い」に出会ったとき。そして、外発的な目標を意識しないで、何かを”ただ面白い”と感じて、「遊んでいる」とき
です。

皆さんは働くなかで、どのような「問い」を持って、そして「遊んで」いますか?というのが、僕からの「問い」かけです。

—— 「主体性」を挽き出す(ひきだす)方法とは何でしょう?

固定観念を揺さぶるような問いを立てて、ともに対話することだと思います。そして、その「問い」をストレートに投げかけるだけじゃなく、「問い」を「遊び心のある活動」に埋め込むことも効果的なんです。「遊ぶ」というのは、ただ楽しむということではなくて、目の前のことを違う角度から眺めてみること。これは「問う」ことも「遊ぶ」ことも、どちらの本質でもあると思います。
ひねりのある視点から実験するという姿勢を持って、その機会を周りと共有することが、コミュニティの「主体性」を挽き出すことにつながる
んじゃないかな。

【編集後記】

このトークセッションに参加して、私自身、改めて「主体性」って何なんだろうって考えたんですけど、めちゃめちゃ難しくて…何とか絞り出したのが、「疑問を疑問のままにせず行動すること」だと思ったんです。

ただ、自分にその「主体性」があるか考えた時に、全然「主体性」ないなと気づいたんですよ(笑)だから自分自身に「問い」を投げかけてみたんです。何故、「主体性」がないと感じるのかを(笑)
そしたら、何事にも余裕を持っていないことが分かって。いつも焦燥感に駆られているというか、何かに焦っているから、疑問を抱く時間もなく、疑問を抱かないから行動しないんだなって。

でも、それってこのトークセッションに参加しなければ気づかなかったんですよね!参加したからこそ、改めて自分の想う「主体性」と向き合えたし、欠けている部分を理解することが出来たんです。
いきなり「主体性」を身につけるのは難しいかもしれないけれど、このトークセッションでお聴きした挽き出し方を参考に、焦らず「主体性」を身につけたいし、その「主体性」を組織に還元していきたいと感じることのできるトークセッションでした!

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