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MSDで女性が活躍できる仕掛け「管理職から率先して進める意識改革」の秘訣に迫る!

MSDで女性が活躍できる仕掛け「管理職から率先して進める意識改革」の秘訣に迫る!

MSDで女性が活躍できる仕掛け「管理職から率先して進める意識改革」の秘訣に迫る!

離職率の高いイメージがある業界のひとつに、製薬会社を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんなイメージを払拭するような外資系製薬会社があります。

それは、MSD株式会社

年齢、性別、国籍、障がいの有無にとどまらず、且つ「在宅勤務制度」や「同性パートナー登録制度」など、社員のあらゆる多様性を認めて活かす「ダイバーシティ経営」を行っている会社です。このような経営方針から、同社では女性活躍が目ざましく、これからの時代の新たな働き方を邁進されています。

さまざまな取り組みをしている同社ですが、女性活躍の秘訣は「社内の意識改革」だといいます。どのような「意識改革」のもと多様な働き方を実現し、どのような変化が起こっているのでしょうか。まずは、MSD株式会社がなぜ「ダイバーシティ経営」を行い、どのような制度を導入しているかについてお伝えしていきます。

MSD株式会社とは

MSDは、2010年10月1日、万有製薬とシェリング・プラウが統合し、MSDとして日本における事業を開始しました。グローバルヘルスケアリーダーMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の一員として、日本の皆さまに医療用医薬品やワクチンをお届けし、革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。強固なパイプラインと世界140カ国以上で事業を展開するグローバルなネットワークを活かし、未だ満たされていない日本の医療ニーズに積極的に応えていきます。

MSD会社概要冊子より抜粋

MSDが行う「ダイバーシティ経営」とは

「サイエンスと医療の最前線に立つヘルスケア企業へ。すべては患者さんのために」というビジョンを実現するために、「サイエンス」「医療」「ヘルスケアビジネス」の3つの最前線に立つことを目指しています。

⑴サイエンスの最前線(革新的な医薬品とワクチンで日本の医療ニーズを満たし続けます)
⑵ 医療の最前線(先進的な方法によって、患者さんに届ける価値を最大化します)
⑶ ヘルスケアビジネスの最前線(高い倫理観を持つ優れた人財を育成し、次の革新を起こすために成長し続けます)

この上記(3)「ヘルスケアビジネスの最前線」の実現に際して、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」の推進を行っています。

推進をするにあたり、女性を含めた“全社員”が十分に能力を発揮できる環境の構築や、働きやすい仕組みを提案しています。また同時に、管理職の社員が多様化促進の責任を担うことも戦略推進の方針として定めています。

そんなMSDがダイバーシティ経営の中でも特に力を入れているのが「女性活躍推進」です。

2011年当初、女性管理職数よりも男性管理職数が多くの割合を占めていました。とはいえ、外資系ということもあり、内資系の企業と比較すると割合は多く、2011年時点での女性管理職の割合は約10%。しかし、製薬会社内でも多忙を極める営業現場の女性管理職は数名程度%ほど。女性だけにこだわらず様々な多様性に目は向けているものの、女性管理職を増やすことにより、多様性を受け入れやすくなると考え、ひとつの指標として女性活躍推進に力を入れ始めた経緯があります。

女性活躍推進のための具体的な取り組み

女性を含めた“全社員”が十分に能力を発揮できる環境の構築や、働きやすい仕組みのひとつに「在宅勤務制度」があります。

MSDに統合するより前、2009年に週1日を上限として在宅勤務制度を導入。2016年4月より「理由不問、日数上限なしの在宅勤務制度」として制度の拡充に踏み切り、現在は毎月約500名の社員が在宅勤務を利用しています。仕事と子育てを両立するのに時間的な制約がある女性社員や、仕事以外の時間を大事にしたい社員のニーズに応えることで、優秀な人財が集まると考えています。

2018年7月には「ワークスタイル・イノベーション月間」を実施し、社員約3,500名がテレワークを活用する施策も取り入れ、web会議システム等のデジタルツールを利用した数十人で行うミーティングも実施しています。その他、裁量労働制度や在宅勤務制度等の柔軟な働き方等、時間や場所に縛られることなく、自分に合った働き方やパフォーマンスの出し方を自身でデザインできるため、子育て中も働きやすい環境を整えています。

そして、女性活躍推進の取り組みの中でもうひとつ注目すべきは、将来の女性リーダーを目指す社員の、自発的な行動と成長の支援です。

女性リーダーの育成をするために2011年8月に設立したのが「Female Leaders ネットワーク」部門を越えて自主的に集まった約200名の社員で運営され、ロールモデルとなる女性リーダーの情報や女性のキャリア形成の問題意識の共有などを行っています。女性社員だけでなく、男性社員もメンバーとして活動しています。

こういった活動以外にも、女性管理職候補向けのキャリア育成プログラムの成果も踏まえ、女性が働き続けやすい環境が整ってきており、管理職における女性の比率は2015年の約10%から2018年の約24%に上昇

そんな女性活躍を高い水準で実現できている背景には、「女性のキャリア育成」 「管理職から率先して進める意識改革」 「働き方の意識改革」があるとのこと。

今回は、そんな「管理職から率先して進める意識改革」について、2012年に最年少執行役員に就任、プライベートでは二児の母として仕事と家庭の両立を行う梅田さんにお話を伺います。

梅田 千史(うめだ ちふみ)

MSD株式会社 執行役員 急性期・病院製品(肝炎、感染症、麻酔)ビジネスユニット統括 ワクチンビジネスユニット統括。2012年にMSD最年少(30代半ば)で取締役執行役員財務部門統括に就任、2016年7月より現職。二児の母。

女性活躍推進の秘訣「管理職から率先して進める意識改革」 

MSDでは高い水準で女性活躍推進を行っていますが、その秘訣のひとつには「管理職から率先して進める意識改革」があると耳にしました。どのような意識改革を行っているのでしょう?

梅田 千史(以下、梅田):まずひとつに、制度の利用や業務の見直しをしていくようにしています。我々が制度を導入し始めて痛感したのは、「さぁ、みんな使ってください」と言ってもなかなか社員は使わないんです。弊社は真面目な社員が多いので、新しい制度ができても使っても良いのかと遠慮が働いていました。そのため、管理職から意識的に取り組んでもらうことが重要だと考えました。

もうひとつ、管理職向けワークショップではダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)を、一回限りではなく折に触れて実施しています。そこでは、ダイバーシティは“チョイス”ではなく“マスト”であるという話や、最終的には会社の成長にも繋がり、管理職にとっても社員にとっても良いことであるとメッセージを発信し続けています。

D&Iを始めた当初、みなさんから不安や戸惑いの声は上がりましたか?

梅田:上がりましたね。やはり昔から慣れ親しんできたものを変えるのは誰しも怖いことだと思います。

「ダイバーシティの考えなんて本当に必要なの?」とか、我々にはお客様がいるので「お客様に言われたら「夜遅くだろうと休みの日だろうと、お客様の要望に応えるべき」なんて声が非常に多くありました。「なんで女性だけ優遇されるんだ」といった話も出ましたし、色んな想いがあったと思います。

今もそういった不安の声や反感などが完全になくなったとは言えません。ですが、ここ数年で多様性の良さを言い続けてきたり、さまざまな制度を導入して個人の力を発揮できる環境を構築してきたことで、結果的に女性も男性も働きやすく、会社の価値も向上することをみなさん実感してきています。

さらに、実感すると上司の行動や言動も変わってくるんです。弊社では男性の育児休業が増えており、社員に子どもが生まれると分かった時には、上司から「育児休暇いつから取る?」と声をかけていますね。育児を周囲が応援する雰囲気が出てきて、やっとD&Iを本当に活用できるステージに来たなと思います。

やっとダイバーシティの考えが定着してきたんですね。しかし、これだけの大企業ですと浸透させていくのは大変だったのではないでしょうか?

梅田:時間はかかりましたね。D&Iを会社の戦略として掲げたのが2011年、そこからずっとやってきて、現在は女性営業管理職が2割、本社の女性管理職も4割近くなってきました。それ以外にも多様な環境にいる人たちが力を発揮できる環境もできつつあり、ここまで来るのに7年間かかってます。

とはいえ、社員にとっては大きな変化です。かなり積極的に色々な制度を取り入れていますしね。在宅勤務以外に、地域限定勤務子会社「日本MSD」の設立(※1)や、最近では同性パートナー登録制度(※2)もつくりました。多くの制度と仕組みをこの7年間で作ってきたので、時間はかかったものの大きく取り組んできたとは思いますね。

(※1)地域限定勤務子会社「日本MSD」…ある特定の地域で転勤をせずに働きたい営業社員のための子会社
(※2)同性パートナー登録制度…同性パートナー登録申請を会社に提出することにより、社員の同性パートナーを人事諸規定等における配偶者としてみなし、各種制度を適用

「ボトムアップ」なコミュニケーションから、社員の自律性を尊重する

MSDは日本全国に営業拠点をお持ちですが、本社との情報格差や浸透するスピードの差はなかったのでしょうか?

梅田:本社と営業現場では格差をつくらないようにはするのですが、やはりどうしても差は生まれますね。社長や営業関係の役員2~3人が中心となって日本各地の営業オフィスをキャラバンで周って会社としての考えや想いを話していますが、営業オフィスに行くと本社との距離の遠さを感じます。

なので、その格差を認識した上で、今後どのように差を埋めていくかを考えて努力し続けていこうと思っています。ただ、その課題は会社として半永久的に続くと思う一方で、社員の声を吸い上げる機会も多く取り入れているため、我々経営陣や管理職だけでなく社員の意見から課題解決につながることも多くありますよ。

大企業はトップダウン型の経営を行っている印象を抱いていたので、社員の声を吸い上げる機会があるのは意外でした。

梅田:トップダウンすべきは、我々のビジョンやミッション、お客様・患者さんへのコミットメント、コンプライアンスなどです。これは会社として譲れないので、トップダウンで現場に共有しています。

ですが、それを達成していく方法や手段は現場で働く個人のやり方で実行することで、最終的には彼らが責任を持って取り組めると考えています。現場ごとに仕事内容も違えば進め方も違います。それなのに上から言われた通りに行動していくのは、やらされ感が生まれて長くは続きません。だからこそボトムアップが重要だと考えています。

梅田さんご自身、執行役員の立場で多くの部下を抱えていると思いますが、コミュニケーションの部分はどのように意識されているのでしょうか?

梅田:シンプルに我々のやるべきこと目指すことは常に共有しています。会社として何を目指しているのかを伝えながらも、チームの意見を聞いて、「これなら目指せるね!」と目指すべき方向へ本当にたどり着けられそうかの意識は常に共有しています。

「言わなくても分かっているよね」「以前と同じやり方で良いよね」とか、そういった考えが通用しない、とても変化の速い世の中になってきているので。特に多様性のあるチームだと、前と同じやり方でと言っても受け取り方はメンバーそれぞれですし、多様性のメリットも活かせないので、意識してディスカッションを持つようにしています。

執行役員として、そして女性として「女性活躍推進」にかける想い

梅田さんご自身も「子育て」と責任のある立場での「仕事」を両立されてますよね。このように様々な取り組みが進んでいく中で、梅田さんご自身が感じている変化はありますか?

梅田:相談できる環境や対応できる環境は整ってきていると感じています。以前、子どもが一回入院したことがあって、たまたま夫も出張でいなくて、一週間くらい付き添いで病院にいなければならない時は大変でしたが、そういった事態でも、すぐに会社も周りのメンバーも理解してくれて、フレキシブルに対応してくれます。

出社しなくてもテレビ会議を使ってコミュニケーションも取れますので、仕事と育児の両立がしやすいと感じています。

会社が多様性を大切にしているからこそですね。それでは最後に、女性執行役員という立場から「女性活躍推進」に対しての想いや、今後の目標がありましたら教えてください。

梅田:MSDでは役員クラスになると3割以上は女性で役員レベルでは非常にダイバーシティが進んでいますし、課長職の女性も増えているのですが、部長職の女性はそこまで多くありません。

管理職になってもいいと思っている女性の後押しはある程度できてはいると感じますが、さらに上を目指したいと思う女性を増やしていくことが今後の課題だと思っています。

その課題を解決するための活動のひとつに「Female Leaders ネットワーク」があります。女性にとって管理職や上級管理職になるのは特別なことではない、スーパーウーマンじゃなくても大丈夫、と考えるきっかけを持ってもらえるようにしています。男性もこの活動に参加してくれているので、男性女性関係なくこういったディスカッションができるのはとても大きなことだと思います。

あとは個別のメンタリングも色々なところで実施されています。個人でメンタリングを引き受けている場合もありますし、以前行われた女性管理職研修でできたグループと、定期的にディスカッションする機会を持ったりしています。悩みを共有し合って、自分だけが悩んでいるわけではないのを意識するプロセスが大事だと思いますね。

様々な人たちとディスカッションをおこなったり、悩みを共有していくことで、今後のキャリアの形成についての意識も高まりそうですね。

梅田:高まっていると思いますね。なので、この活動はすごく大きいと思っています。女性だけではなく、一人ひとりが先々を見据えてどういった働き方を選択すべきか考えていくことが必要だと思っています。現在は一通りの制度は導入していますので、ここからは社員の意識改革が非常に重要になってきます。

さらに、営業現場や一部の顧客対応が必要な部署での働き方をどのように多様化させていくかも課題ですね。お客様のニーズに応えるのが我々の仕事ではあるものの、それが必ずしも24時間365日対応働くことではないと考えています。

そこはデジタルなツールを活用したり、色々な形で顧客への情報提供・サービス提供の在り方を変えて、お客様にとっても我々にとっても良いご提案が出していくことが次のステップだと思います。

編集後記

これだけの大企業でありながら、様々な取り組みを実践しているMSD。今まで築き上げてきた基盤に変化を加えることや、その変化がなかなか進まず上手く行かないことに不安を感じる瞬間も多くあったと思います。

しかし、多様性という価値観の重要性を信じながら、必ず成し遂げようという強い想いを感じたと同時に、会社の独りよがりではなく社員にとって価値をしっかり提供していこうする姿勢に感動。社員を「人材」ではなく「人財」として見ていると強く実感しました。

また、多様性の実現を少しずつ感じながらも、現状に満足することなく邁進していく姿に、MSDは常に変化し続けていく組織なのだという印象を受けました。「大きい会社だから変化させていくのが難しい…」と踏みとどまっている企業に「人財」獲得の未来はないかもしれません。常に変化し続ける精神を持つ企業こそ、「人財」獲得の勝者なのではないでしょうか。

執筆:鈴木裕華
編集:中野友香